殺人事件がなくなった理由
星成和貴
序
21世紀の日本は少子高齢化に悩まされていた。しかし、政府の様々な政策が功を奏し、子供の数は増えていった。
ここまではよかった。けれども、新たな問題も発生した。
それは、人口の増加。
およそ三億人にまで膨れ上がった人口は人々の生活に様々な弊害をもたらした。
まず、住居。狭い国土の中であるが故、高層マンションが乱立した。それでも足りなくなると、山を切り開き、海を埋め立て、田畑を潰し始めた。
そうなると、次の問題が出てくる。食糧だ。ただでさえ食料自給率が低かった日本。それがさらに、加速度的に悪化し、食料自給率が10%を下回るようになった。
さらに、職。人口に対し職が少なく、無職になってしまう人が増加した。
すると、家賃を払えず、家を失う人が増えてきた。
そうなると、マンションは空き部屋が増え、路上生活をする人が増え、治安も悪化した。
そんな状況を打破するため、政府が新たな法律を制定した。
それは、『国民進化法』。
国民の大多数はそれに反対した。しかし、与党が国会の9割を占めていたため、完全な独裁状態であり、可決されることになった。
その法律の内容とは、
『国民は増えすぎました。なので、優れた遺伝子を残すため、国民の皆さんには殺し合って頂きます。最後まで生き残った優秀な遺伝子、それこそがこれからの日本を支えるべき進化された日本人なのです』
この法律は俗に、殺人法、そう呼ばれるようになった。
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