第5話:サイコスフィア
「ふーん。じゃあ私達が超能力を使えるのはサイコスフィアっていう謎の球体があるからなのね」
事務所の端のテーブルでオムライスを食べつつ、俺は魔女に超能力者がなぜ存在するかを教えていた。
「ああ、そうだ。細胞内に存在する寄生虫と思ってくれてもいい」
近年の研究で超能力者達の細胞内から一般人には存在しない球体が発見された。
その球体は超能力者が能力を発動すると青く光り、動き回ると同時に微かな熱を持つ事がわかったのである。
「能力は人によって様々だ。お前のように空を飛ぶ能力だったり、俺みたいに身体が堅くなり防御力が上がったりする能力もある」
「そういえば私銃で射たれたのに一晩で回復したけどあれも私の能力なの?」
「いや、超能力者になると全員自然治癒能力と外からの衝撃に対する防御力が格段に上がるんだよ。だから殺すなら急所を狙うか頭を吹き飛ばすのが定石になる」
「そっか。じゃあ私達は最強の種族なのね!」
「ああ、だから悪さをするやつは容赦しないぞ。少年法なんてないからな」
実際、子供の超能力者で人を殺したとして処刑された事件があった。
「わかってるわよ。じゃなきゃこんな首輪つけるはめにならないわよ。そういえば携帯、警察に没収されたままだったわ。ねえ、涼介。夢美に電話掛けたいんだけど携帯貸してくれない?」
「おいおい、お前はこの事件の重要人物なんだぞ。外部との連絡なんて出来るわけないだろう」
「ちょっとぐらいいいじゃない!夢美の声が聞きたいのよ。あの子の声聞いてると安心できるの」
「だから駄目だって言ってるだろう。決まりは決まりだ!電話したかったら事件が全て解決してからだ」
「……けち」
夕食が済むと、魔女は再びソファーでうとうとし始めた。
「今夜は早めに眠るとするかな」
トモエさんが苦笑いしながら魔女を見る。
「そうですね。俺も眠くなってきましたよ」
昼頃に起きたとはいえ、そこから魔女との戦闘で力を使ってしまったため軽い疲労を感じる。
「昔の人は日の出と共に起き、日の入りと共に寝ていた。久しぶりに実行してみるかな。お休み涼介。おい、都。寝に行くぞ」
そう言ってトモエさんは魔女を引っ張り、部屋に戻ったのであった。
ソファーに腰掛けると疲れがどっと押し寄せてきた。
「深紅の魔女ね」
今まで討伐してきた能力者に洗脳を得意とする奴はいなかった。操られたのは今回は動物だが、それが人間であると厄介だ。
動物なら最悪殺せるが、人間となると殺すと処理や隠蔽、捏造などあらゆる後処理が山積みでやってくる。もし深紅の魔女が人間も洗脳できるとしたら洗脳された人間を殺さず無効化しなければならない。
そう考えていると欠伸が自然と口からでてくる。
「取り敢えず寝るか……」
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