第19話☆死闘

本体!!本体!!


「金剛ちゃんに聞いてきて―――」


尻尾2号から報告相談を受ける…同時に既に 知って いるから「アレ」 「ソレ」 「と言う訳」etcで通じる。


早速 金剛の元に行く 彼女は出城『金剛丸(仮)』にいるそうで、久々に移民都市アマテラスをじかに歩いてみた。


中心部の転移門 神社 平安屋敷はもはや京都御所…となっている 政治の中心地であるので良いのだけれど…大工系あやかしの匠の技がこれでもかと光る。


左とか右とか言う あやかし大工の頭領が有り余る 巨木に感激して 製作建築しまくっているのである。


「観光都市アマテラスでも食える!!!」


お次は『武家屋敷』 その次は『町人長屋』更にお次は『商人横丁』


「アマテラス江戸村…」どっちも太陽だ…一致!


書類と遠見で知ってはいても…実際に見ると来るものが有る。


「人が居ない街」


そう 人が居ない 既に完成した区画は 誰も いない これは恐い!!


少々ビビりながら 進む 俺…御付きは居ない…襲われる事は無いが…多分…大常備だよね?お化け出る?



そう思いながら ふと 思う 久しぶりの一人きり… 何気に異世界の空を見揚げる。


『天孤』となった『姉』は空の一部になっているはず。


意志も無くふわふわ 漂っているのか 千年経た九尾が至る『天孤の座』神を越え世界と一体となる。


「幸せ?なのだろうか?」


人として考えると『あやかし』は非常にあいまいで 危うい 存在である。


「人間を早く住まわせねば…」


巨大に膨れ上がる 移民都市の人口は0


このままでは 廃墟都市として 悲しい結末に陥りそうである。


ようやく 到着した(途中で疾走した)金剛丸 着いてすぐに案内を呼び 連れて行ってもらう。


いつかの 赤と青の鬼に連れて行ってもらえた。


青がなんか…更に青くなっているのは『気のせい』であろう…お話ししようか?


「おお よく来たな 伊織 初めてか?」


「ええ 初めて」


はい 金剛姉さま!!初めてをあなたと!!!


金剛はド真面目に 現在の城郭建設 および周辺の防衛状況を報告してくれた。


「あまり 周辺の魔物は狩らない様に 敵対的に来た者 だけ狩って」


そう金剛に指示を出す。


尻尾2号の調べた情報に グラナド大森林は周辺諸国の不干渉地帯であり、その理由が『破軍』と言うモンスターの暴走災害なのだそうだ。


その昔にグラナド大森林の所有権を主張した国に『破軍』で被害に有った国々が『多額の賠償金』を請求した事で 誰も所有権を主張しなくなった土地なのである。


『破軍』は『自然災害』と認識されて今に至るわけである。


そう言った『破軍』を生む場所は多くあり『魔境』とも呼ばれている。


その旨を伝え『尻尾2号』の要件を金剛に伝えた。(俺の考えでも有るけれど)


「ああいいぞ 彼奴も本望であるだろう」


「いいの?」


煙管を吹かせる彼女は妖艶に笑い 魅惑的に同意の遺をしめすのだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ドリストバル・レイン 56歳決死の死闘…


「すまぬ 彼方を頼む」


「おお まかせよ」


「こいつらを頼む」


「ああ 任せてくれ」


「これも こいつも これも」


次々と 侵入者を 放り込んで来る 剣士 たしか…サネツグ?いやカネサダ殿か…

しかし凄い…剣先はおろか 姿すらが消える。老眼か?ワシ…


現れた時には「モノ扱いされる侵入者」を放り込んで来る。


「死に出の 決意は なんじゃったんじゃ」


途端にジジイになった気分(56歳で孫2人)十分にジジイなのだが…


「この者 で最後だ どうやらこの乱破の頭である様だ この者だけ貰ってよいか?」


否応なく 肯くしかなかった 侵入者の全てを 瞬く間 に殺さず無力化した『剣士』に何も言えん!!


そして カネサダ殿は『姫からの手紙』と『空振りした親子3人』を残して去って行った。


「何一つ失なう事無く 終わった? いや 始まったのか?」


兎に角この『手紙』もしや!その思いに走らされたのか お嬢様の元に走る。


「・・・・・・・・・・」


そこには 燃え尽きかけた お嬢様が!!ヤバイ!!消える!!!


「カネサダ殿から手紙です」


嘘は言っていない『カネサダ殿から 受け取った姫の手紙である』


死んだ目が 猛獣の目 になる様子は…彼女を赤ん坊から知る男をもってしても『ひっ!』と叫ばせるには充分であった。


手紙を読んだ お嬢様の『狂乱』はその日『クラクフの都市伝説に新たな1ページを刻み』


『狂乱踊りを踊る恐怖の鬼女』がクラクフの街を駆け抜けたとか 抜けなかったとか…


将軍は やはり 失った様だ…


姫の手紙より



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



親愛なる我が友へ クラクフ領代理領主マリア・デ・クラクフを唯一の友とし我がアマテラス共和国は


その全権大使 タマモノ・マエ・イオリの権限を持って その交渉権を全て委任するものである。


アマテラス共和国 の特産品 生産品 またその技術を得る交渉 また 報酬の仲裁を全委任する。


PS 更なる信頼の証として 侍大将 イバラキ・ドウジ・カネサダとの婚約を打診致します。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「切れるカードを切りまくってやった(笑)」


「はっ!全て切り裂いて参ります!」


刀を抜こうとするお約束を『物理』で止めて、彼女に告げる。


それを見て『震え上がる彼女』


「貴方の全て 私に賭けてみない?」


拘束を解かれた乱破 もとい 襲撃者のリーダ-に話を持ち掛ける俺…


久々?いや初めて?か『御霊』が燃える様に疼く…


「貴方様に全てを捧げます!!」


傅く彼女の頭を 俺は優しく撫でるのであった。


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