第17話☆各方面の反応
クラクフ伯爵邸にて
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
私は屋敷に戻り 物品展の緊急対策会議を部下達とする事にした。
かなりの時間を物品展で過ごしていたのだが、つい夢中になり とんでもない失態を演じていた事に気づき…物品展会場の輝きの渚亭に『クラフク領軍300』を派遣 包囲もとい『警護』させた。
「どこかで 見た事 あるなぁ とは 思ったのよね…」
クラクフの軍事・政治・経済・各方面のトップを緊急招集させ 対応を協議中である。
彼女の前に『物品展参加者名簿56名』が置いてあるのだが…一番上から…
第二王子 ランドルフ・クライン・ルンデ・ロベリア
侯爵 アルビス・ルンデ・バルム
ロベリア王国 外交特使 子爵 ルドルフ・バン・アルツァー
ドミテル・ガング・マイヤー 王都鍛冶ギルドマスター
ドルクセン・カラグナ カラグナ商会会頭
トライヒ・カラグナ カラグナ商会頭取
ミランダ・テルル 王都商業ギルド副マスター
デイトリッヒ・シュテルン カントリー・カンパニー代表 (王国の雷光)
トイフェル・アモン クラクフ商業ギルドマスター
デミテル・ガング・マイヤー クラクフ鍛冶ギルドマスター
テロル・テレル エリア・カンパニー代表(クラクフの盾)
「そう言えば たしか隣国から 留学中の第二王子が帰ってくると報告に有ったわよね?」
「バルム公が御守役で行かれるとは聞いております」
隣りのバルム侯爵は第二王子ランドルフ様の生母の兄である為…その任に就いたという事だ。
破格に豪華な面々はその一行?バルム侯爵派?中立派か…
デイトリッヒ・シュテルン は王国が誇るカントリー・カンパニーの代表で王国の雷光の異名を持つ…護衛役か…これは非常に不味い!!
「良い所取りでしょなあ」
執事長はとても残念に言った。
食材をあれほど絶賛していた 警備隊長 メイド長などの顔は暗い…
「王子達は昨日の晩餐会には出ておりませぬが?あの鎧と 反り返った剣は惜しすぎますが…」
将軍のドリストバルは怪訝な顔をする、武官である彼には事の重要度が理解できない様だ。
「最後にイモを貰ったでしょう?」
「御嬢様が大量に…」
メイド長以外が目をスッと反らす…メイド長のリンゼとは山分けしてある(友情)
「ラグナ商会会頭 に頭取が居た時点で『輝きの渚亭』での事は全部漏れているのよ」
問題は『敵』が誰なのか?ね…競合するには 権力・財力・人材・物資・人脈 何もかも『負けている』
「今回も 全て奪われるのね…」
マリア・デ・レインに代替わりして…周辺領 ロベリア王国内でも『有名』な事が有る。
彼女との交渉する時は『独身の良い男』を連れて行け…と、彼女も知っている。
『日照り伯爵令嬢』『狼淑女』『情熱の空回り』などと王国の学園生時代から呼ばれていた事も それでも彼女は『優秀』であった。
ソレ以外で彼女に敵う者は無く、学園も主席で卒業したのだ。
そのヤッカミも有るのだろう…しかし彼女は『努力の人』であった。
だから『彼女と接した人間』は彼女の事を大切に思った(独身意外)。
しかし彼女にも理由が有るのだ…マリア・デ・クラクフのデと言う一字には「混血」を意味する忌み語の意味が有る。
彼女の祖母が『人外』出会った事 このロベリア王国では『人間種』以外は『奴隷』とする『法』が有った。
自分の頭に少しある突起物『角』と呼ばれるソレは自分が混血種である証
クラクフ領は ロベリア王国でも 辺境であった 開拓地(男爵)から辺境開拓領(子爵)それから王国最東部グラナド大森林防衛伯爵領と先祖代々辺境の開拓で伯爵まで血を吐くような思いで上がって来たのだ。
本来なら自治権を大幅に持つ『辺境伯』に叙爵されるだけの功績を成しているのだが、叙爵されなかった理由は祖母が『人外』で有った為である。
強靭な肉体を持つ『人外種族』辺境のような過酷な場所を開拓するうえで重要な人材であった。
祖父の時代に『人外排斥運動』が起り、それまで『平等』であった人間は『人間種と人外種』に分けられ 混血の父は非常に辛い時代を歩んできた。
自分も学園でよく馬鹿にされたものだが、見た目では分かりずらいため『友人』も多く作る事ができた。
理不尽な横やりで足を引っ張る連中が…クラクフ領を潰そうと、乗っ取ろうとしている。
父は王都で大臣職に付くが弊職で有るだろう。
私が女で伯爵位に付けるのは、父と娘しかクラクフ家には相続権を持つものが居ないためだ。
子も居ない私が『しくじれば』それで先祖伝来のこの地を奪われるのである。
それで 得 をしようとする者達は意外に多く 幾度も刺客に襲われている。
祖母はとても良い人であった 良く作ってくれた『イモのパイ』グラナド大森林で稀に見つかるソレは…姫が持って来てくれた『さつまいも』によく似ている。
強い子が今のクラクフ家にはいるのだ…だからガッツク!だから…私は 焦りが今回の失態にも繋がったのだろう…慌てて交渉しなければ
第二王子一行の情報も入って来た筈である。
事実 先ぶれは届いていた 親友の『姫』と友情を確かめ合ったあの夜(☆拉致監禁強要☆)に…
頬を伝う物が有る、第二王子の前で随分と『やらかした』それほどにカネサダはイイ男であった。
あの方の子はきっと とんでもない 人物になる!その確信が有った。
あの方は一度も私を馬鹿にせず 邪険にすらしなかった 信頼し尊敬できる方だったから…
「馬鹿なのね 私って」
沈黙に包まれる 会議の席 誰も何も語らない 皆 御嬢様の苦悩を知っているのだから…
皆に退室を促し 全員を『家』に帰す 今日は…私の命日に成るのだから、皆には生き残って欲しい…
「お父様をお願いね…」
クラクフ領の夜は更けていく・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃 クラクフ領 商業ギルドでは
トイフェル・アモン クラクフ商業ギルドマスター
デミテル・ガング・マイヤー クラクフ鍛冶ギルドマスター
テロル・テレル エリア・カンパニー代表(クラクフの盾)
の三人が集まっていた。
「お前のオヤジだろう? 少しは回して貰えるんだろう?あの刀とか言う剣はぜひ欲しいんだが」
テロル・テレルはクラクフ領最大のカンパニー(クラクフの盾)を率いる者だ。
筋肉より贅肉の多い身体はタンク役(盾役)として名を馳せている、仲間の冒険者曰く「不動の盾」重く、適度な弾力で力を逃がす。
動けるデブとは彼の事だろう、性格もリーダー気質で下の者の面倒もよく見る 実に気の良いお兄さんなのだ。
「親父は実力で奪え!の人だから無理だよ…」
中肉中背の彼はデミテル・ガング・マイヤー クラクフ鍛冶ギルドマスターである。
ドミテル・ガング・マイヤー 王都鍛冶ギルドマスターの実の子である
「マスター・ナイトの子とは思えぬ弱気の発言ですね…」
そう言う彼女はレイチェル・アモン クラクフ商業ギルドマスターである 彼らは年が近く何より幼馴染である。
「あの巨大ドワーフがお前のオヤジだとは思えんな…おばさんに感謝か?文句か?」
お道化るテロル 真面目なレイチェル 弱気なデミテル 三人は仲が良く 良くつるんでいる。
彼等を人は『クラクフ三人衆』と呼ぶ 素材を集めるテロル 素材を買うレイチェル それで武器武具道具などを作るデミテル またそれをレイチェルが取り仕切る。
良心的な買取に販売でクラクフ領は辺境地域にありがちな荒んだ雰囲気が無いのである。
人外に対する対応も彼らは『対等』に接するため、このクラクフ領での『人外差別』は非常に薄い物であった。
「何もかもお嬢様しだい?」
「無理だろ 第二王子の前でアレだぜ?」
「でも あのカネサダって人…御嬢様の猛アピールで眉一つ動かさなかったけど?」
「「あれは 凄かった」」
「ひょっと するとか?」
「ひぇ!! とするらしいが?」
「同じ女からしても アレはなナイは…いい子なのに…残念よね?」
クラクフ領の 夜は更けていく…
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