第26話 CEOとの最終決戦の始まり。

礼音あやね灵猫ルンマオ。私は彼の部屋の在処が分かったような気がする。」


「どういう事だ?」


「答えはDの部屋しかないよ。」


 だって、Dだけが大文字になってなかった。

 A~Gの文字の内、D以外は大文字になっていたけど、Dだけが確実に小文字だった。

 つまりDだけが小文字なら私は間違いなくDの部屋に彼がいるのは間違いないと思った。

********

 そして、Dの部屋を開けた私は…。


「どうやらこの問題は私の完敗だ。これから私の後ろにある階段を使って戦闘場まで出る。私と貴様達で全ての戦いを終わらせるからな。」


「勿論だ。私は貴方みたいな女の子の身体を弄ぶ奴が嫌いだからな…。」


「嫌い?でも、私は金儲けの為に女の身体を大事にするのは好きだな。」


「金儲けとはとんだ外道だな。」


「あぁ、私やレイスブック社が外道ともいわれても仕方ないな。」


 どちらも尾を引かないのは当然としても、これから彼と私達が激しい争いになるなら、ここで気を抜いた方が負けるのは確実だと私は痛感した。


「一応、言っておくはこの部屋にはAI監視ロボットが来ない。だが、この部屋から脱出する事は出来ないからな。では、私は先に戦闘場で待っているからな。」


 私はここまでくると最早逃げられる場所もないも感じた所為か、戦う以外に生き残れる術がなかった。

 そして彼は恐らく『プロビデンスの王』という体内チップを所持しているのは間違いなかった。

 あの体内チップはレイスブック社の役員達しか使えない代物だからだ。

 故に、本格的な戦闘の為に彼はあらゆる手段を行使すると私は感じた。


「とにかく、私達はここで少し休んでこれから行こうね。」


「そうだな。藍那あいな。貴様がこれから私と共にレイスブック社を潰す為に動いたからな。」


「うん、ありがとう。礼音あやねちゃん。私も貴方がいたからレイスブック社と闘う覚悟が出来たの。だからアンタに感謝する。」


藍那あいな。決して、私の事を忘れるなよ。」


灵猫ルンマオちゃん。私はアンタがいたから中国本社に突入する事が出来た。いなかったら恐らくあのキメラかレイスブック社の社員に殺されたと思うから尚更ね。」


藍那あいな…。」


 私は礼音あやねちゃんや灵猫ルンマオちゃんと共にこれから最後の戦いの前に彼女達に感謝し、これから最終決戦の準備を整える事にした。


「でも、これが最後の戦いだ。礼音あやね灵猫ルンマオ。クックという男を倒して『マジカルガールパッチ』を製造中止させようね。」


「おぉ!!」


 私はこれから皆で戦う準備をしながらこれから最終決戦前で団結し、それから階段を上り、遂にザッカー・クックとの決戦を挑む体制を整えた。


「よし、君達がここに来てくれたのは光栄だが、俺は何としても『マジカルガールパッチ』を販売させなければならない。だから君達はここで死んでもらうよ。行くぞ。『プロビデンスの王』。破滅の風。」


 何だ。この男からは妙な圧力と風圧を感じてくる。

 私はこの圧力に負けたら確実に殺されてしまう。

 そして彼に殺されたら『マジカルガールパッチ』の能力は体内チップ破壊した影響で消えても、書き換えられた細胞が治らないので首から下は頭がない状態でずっと生きなければならない。

 私はそれだけは絶対に阻止したかったからこの風圧に負ける事無いようにした。


礼音あやねちゃん。」


藍那あいな。奴は飛んでもない化け物に変身するようだな。」


「そうだ。恩斯エンシンと闘った事があるなら『プロビデンスの王』の王を発動したら人間を捨てなければならない。」


 人間…を捨てる…。

 確かに恩斯エンシンは『プロビデンスの王』を使用した際、人間的な感情を失い相手を殺す為の殺人兵器になっていた。

 そしてザッカー・クックは彼が使用していた『プロビデンスの王』より強大な能力を持っている事から間違いなく彼の能力はヤバいと思った。


藍那あいな。気をつけろ。奴の姿を見ればまともじゃない事位分かるはずだ。」


 まとも…じゃない…。

 私は強い光で凄く見えにくくなったが、強い光が収まってから私の目を彼に向ければわかるんだよね。

 だからこそ、私は逃げずに私自身の目で彼の様子を見る事にした。


「…嘘っ。」


 私は変貌した彼の様子を見て唖然とした。

 その姿は巨大な光の不死鳥の姿をしており、もはや人間の姿をしていなかった。

 これが『プロビデンスの王』で最強の能力だと分かった以上、私は間違いなくこの圧力に屈したら私は殺されると思い、決してその目から逃れようとしなかった。


「あれは何なの…。」


藍那あいな。あれは、『プロビデンスの王』の最強最大の能力を持つ『コスモ・フェニックス』だ。」


『コスモ・フェニックス』。


 その姿を見た私はこれが『プロビデンスの王』の最強最大能力だと分かった以上、少しでも気を抜いたら確実に私達は殺されると肌で痛感した。


「ねぇ、灵猫ルンマオちゃん。あれは最強最大の能力なら気を抜いたら間違いなくやられると思うよ。」


「そうだ。恐らく彼は『プロビデンスの王』の能力場、私達を一撃で簡単に殺せる能力を持っている。故に奴を目から逸らしてはならぬ」


「つまり、負けたらここで私達は皆、死ぬんだね。」


「いや、死ぬのは私達の頭だけだ。身体に関してはレイスブック社に弄ばれるが。」


 頭だけが死んで身体だけが遊ばれるのは凄く嫌だな…。

 だからこそ、この戦いは生と死を賭けた戦いであると同時に負けたら私達の身体がレイスブック社の為に遊ばれる事は避けられなかった。


…これが奴の能力『コスモ・フェニックス』。即ち、宇宙の不死鳥か。


 私はコスモ・フェニックスが出た以上、下手すれば地球1つ分を破壊しかねない威力を持っていると思うと、物凄く鳥肌が立ってしまった。

 彼が世界征服を失敗した場合、地球を破壊する為にこの様な体内チップを所持しているとまさに楽園でなく、どこでも監視されるディストピアの入口だと私達は理解した。

 だからこそ一息呼吸して…、


―――ふぅ~。


灵猫ルンマオ礼音あやね。これからあの『コスモ・フェニックス』を倒さないと間違いなく私達だけでなくあの能力で地球を破壊すると思うからここで絶対に勝たないとな。」

 私はこれが最後の戦いだと分かった以上、例え私の力が尽きようが、身体が朽ちても彼を確実に止める事を決意した。

 これが奴との最終決戦ならそれで納得できるからね。

 故に、私は絶対に彼を止めてみせる。

 だから 時彦さん。あんたの妹の仇を私達が取らせて見せる。

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