第21話 社長はCEOや株主の奴隷。

 恐らく、奴を倒した影響でキメラがいなくなっただろう。

 つまり、奴が錬成して動かす能力なのはご承知済みという訳か。

 なら、これからレイスブック中国本社に突入して情報を得ないとこの体内チップの情報は分からんな。


「なぁ、少梅シャオメイ。アンタはレイスブック中国本社に藍那あいなが突入した事は知っているか?」


「うん、分かっている。体内チップ破壊医師になった私は彼女の居場所がレイスブック中国本社の最上階にいる事は確かだ。けど、藍那あいなは自身の能力を相当使用していてヤバい状態に陥っている。早く、最上階に行かないと彼女の命が危ない。」


「分かった。林美リンメイ灵猫ルンマオ。アンタ達はこの先に藍那あいながいるのは間違いないか?」


 私が言えるのはただそれだけでも、皆がいるからこうしてレイスブック中国本社に潜入できると実感できた。


 そしてレイスブック中国本社に到着した私はこれから警備員がいる事を既に分かっているので裏口から侵入する以外に方法はなかった。


「やはり、裏口からしか侵入できる方法はないか。」


「どういう事?」


「レイスブック中国本社などのグローバル企業には警備員が多く常駐している。それ故に警備員の見張りが少ない裏口から突破しないとここを突破出来る方法がないと私は思うから。」


 私が言える事はただ、それだけだ。

 それでも、裏口の警備が薄ければ確実に最上階に向かえると感じた。


「よし、あそこが裏口だ。」


礼音あやね。もし、警備員に狙われら私と林美リンメイがここで戦う。だからあなたと灵猫ルンマオは早く最上階に向かってほしいね。」


「ありがとう。少梅シャオメイ林美リンメイ。私と灵猫ルンマオは先に言っているから早く警備員を倒して最上階に来てくれよあ。」


「うん、ありがとう。」


 私は警備員が案の定、藍那あいなの影響でいる事が分かったのでこれから私と灵猫ルンマオの2人でこれからレイスブック中国本社ビルの最上階へと向かった。

*********

「はぁ、はぁ。アンタはやっぱり外道だよ。」


「ほう。私が凄く外道という事はレイスブック社の裏側を知っている事だな。」


「そうだよ。でも、アンタは自分の仲間をこんな扱いするなんて酷すぎるよ。」


「酷すぎる…?でも、レイスブック社はある目的が動いているから仲間を殺してでも社内の秘密を守らねばならない。」


「つまり、社内秘密を口実に隠蔽が横行するとはとんだブラック企業だな。この、レイスブック社は…。」


「あぁ、当然だ。レイスブック社のCEOであるザッカ―・クック氏は自分の命より車内の秘密を貫き通せというお題目があるからな。」


 レイスブック社がとんだブラック企業なのは明らかになったが、ザッカ―・クック氏については時彦からはある程度こそ聞いたものの、果たして彼は一体、何者だろうか?

 少なくてもWASPの影響を受けた人間なのは間違いない。

 ユダヤ陰謀論に出てくるユダヤ人の多くは偽ユダヤ人であり、ユダヤ教ですらない。

 つまり、偽ユダヤ人というのは異端プロテスタントの事を表している。

 だからこそ、ユダヤ陰謀論にはまり込むと非常に危険な思想に乗っ取られるのは至極当然だといえる。

 私はこの異端プロテスタントこそ、μチップなどを製造している大元だと思っている。

 つまり、ユダヤ人は異端プロテスタントに標的にされない為の口実に過ぎない。

 私はこの言葉を肝に銘じながら異端プロテスタントが監視社会などを進めている事を考えると、確実に彼らを一掃する必要があると感じた。


「はぁ、はぁ。だとしたら、アンタはユダヤ人を装った異端プロテスタントなの?」


「そうだ。俺は中国本社の社長で異端プロテスタントの信者である事は間違いない。だが、君にこの情報を知られたら俺は逆に殺されるんだ。」


 殺される…。

 まさか、レイスブックCEOのザッカ―・クック氏に何か口封じの口実を作られたの?

 私は彼がザッカ―・クック氏に何か彼自身の不都合な情報を握られているかもしれないと私は感じた。


「ふふふっ。君には結局、俺があの男の奴隷になっている事には変わりない苦労を知らんだろう。あいつと米国の株主が次々と俺の指針に反発して非常に嫌なんだよ。」


恩斯エンシン。アンタがザッカ―・クックから情報を握られているのは分かる。それでも私はここの資料を持ち帰らないとならない。だから私は何としても戦わないと逆に殺されちゃうから、アンタと闘うよ。」


「あぁ、その気だ。俺と貴様で本気の戦いを見せて俺を解放してくれ。行くぞ。『プロビデンスの王』。」


 私は彼がプロビデンスの王を発動した事で彼と私の決戦が始まった。

 少なくとも彼は道徳心があるが、クックに殺されるのを恐れて悪に手を染めざるを得ない状況に陥っている。

 そんな彼を救うには殺して救うしかない皮肉さを感じると、社長も結局、株主やCEO会長の奴隷になっちゃうんだろう。

 つまり、古今のブラック企業問題の多くは社長でなくCEOや株主が原因なら彼が奴隷になってしまうのは当然の帰路だと私は思った。


「済まない。藍那。この『プロビデンスの王』は基本的に先頭を終えた際、自らの意思の解除を除き、相手を殺すか、こちらが死ぬでしか解除できない。だから俺を救おうとなんて思わないでくれよな。」


「あぁ、私はその気で行くよ。だからアンタが死を覚悟しているなら決して能力を容赦しないから。」


 彼が私を本気で殺す決意をした事でこれから私も残っている体力で彼を倒せるか、非常に疑問視していた。


恩斯エンシン。アンタが自ら死を覚悟する意思があるなら私は何としても戦って殺してまでもここにある資料を持ち帰るから。」


「あぁ、良いだろう。俺も『プロビデンスの王』で貴様を殺す覚悟があるからな。」


 つまり、『プロビデンスの王』は体内チップの中でも強大な能力を発動する故にどちらが死ぬまで能力を使い続ける訳になる訳か。

 私はその話を聞いて、彼が悲劇の末路が来るのは当然だったが、それでも彼が何としてもここにある資料と自身の命を守る覚悟があると感じた。

 つまり、ここで資料を奪われた彼はクック氏に抹殺されちゃう事がはっきりと解るから、余計に負けられないと感じているだろう。

 それを肝に銘じて私は一気に彼との戦闘がいよいよ幕を開けた。

 

 早く、礼音たちがここへ来てほしいと願いながら…、

私は彼と戦うしかなかった。

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