第10話 敗者の首なし胴体からレイスブックの情報を知る。

 私は時彦の妹である美佳みかの首なし胴体のお腹に耳を当てて、お腹の音を聞いた。


 …何だろう。彼女の頭は死んでいる筈なのにどうして胃腸や子宮が元気に動いているだろうか?寧ろ、頭があるときより元気なのは何だろうか?


 私はそれが良く解らないと思いながらもその音を聞いて私は彼女が『マジカルガールパッチ』で負けた報いがここに現れているのだと感じた。

 負けた報いが現れている事は私達も時彦ときひこさんにμチップを破壊しなければ十分に死んでいたのは確かだった。

 けど、μチップは彼が破壊したけど、私達は死を事実上、奪われてしまったからμチップを埋め込まれた女の子は死と老いを奪われる事は嬉しい反面、ある意味で頭が死んだら身体は誰かに引き取られる可能性が強く私は恐怖を抱いた。


時彦ときひこさん。美佳みかさんのお腹の音はギュウっと鳴ったり、腸が元気よく動いているのが私には凄く嬉しいよ。」


藍那あいな。アンタは頭を失った俺の妹みかを大事に出来そうだな。」


時彦ときひこさん…。」


「けど、俺は善人じゃない。俺は『レイスブック社』と共同で『マジカルガールパッチ』というμチップを開発した事で俺はみかを殺してしまった罪は逃れられないからな。」


時彦ときひこさん…。」


『マジカルガールパッチ』を開発して妹を殺してしまった時彦さんの落ち込んだ表情を見ると私は彼がこの『マジカルガールパッチ』という体内チップ埋め込み型デスゲームを開発してしまった事に大いなる罪悪感を持っている感情を抱き、彼は凄く罪悪感を持っていると感じた。

 けど、美佳みかさんや美次みつきさんのお腹の音を聞くと彼女達の身体は既に頭とは別の生き物になっている事だけは薄々、気づいていた。

 そして、小腸、大腸、肝臓、心臓などが彼女達の脳みそに変わる脳細胞を埋め込まれていると私は気づいた。

 つまり、体内チップは破壊できても一度、『マジカルガールパッチ』を埋め込まれた私達はμチップによって細胞を変えられ、この身体がこの姿のままで永遠に残ると感じ、私は恐怖を抱いた。


時彦ときひこさん。私は非常に危険なμチップを埋め込んでしまったよね?」


『マジカルガールパッチ』がどれだけ危険な商品なのか気づかなかった私はこれを脳に埋め込まれた影響で取り返しがつかなかった事を考えると私は何てこんな事に気付かなかったんだろうと思った。

 私は『マジカルガールパッチ』というμチップを脳に埋め込んだ事で身体を永遠に残す存在になる事を私の頭は絶対に死ねないと誓った。

 頭が死んだから身体は誰かに奪われるのか分からないから、絶対に死ねなかった。


「分かった。時彦さん。私は体内チップ破壊医師になるよ。」


藍那あいな。貴様も美佳みかの事を知って体内チップ破壊医師になろうと決意したのだな。」


「うん。」


藍那あいな。アンタ、美佳みかと触れ合って凄く良くなったんだな。」


礼音あやね。私の決意が弱かっただけだった。だから一緒にμチップ破壊医師になろうね。」


「うん…。藍那あいながその気なら絶対にレイスブック社を壊しに行こうな。」


「うん…。」


 美佳みかさんや美次みつきさんの身体を触れた事で私は『マジカルガールパッチ』に参加している少女たちのμチップを破壊して、彼女達を救おうと決意した。


「よし、これからμチップを破壊医師の契約の説明をしよう。」


「そうだね。」


「うん、そうだな。」


 私と礼音あやねはこれから時彦さんにこれから体内チップ破壊医師に関する契約書などの説明を聞こうと思い、これから彼に説明しようと思った。

*********

「では、これから体内チップ破壊医師の契約書について説明する。体内チップ破壊医師は以下の契約によって成り立つからな。」


 私と礼音はこれから契約書に逆らうと危険な代償を伴う事を分かっていたので契約書を読みながら彼の話を聞いている最中だった。

 そして契約書には以下の条件が掛かれている。


 1.以下、『体内チップ破壊医師』になる条件を守った上で契約書に契約する事で成り立つ。


 2.契約者になった場合、μチップを埋め込まれた人間からμチップだけを破壊する事を遂行しなければならない。


 3.但し、いかなる場合でもμチップを埋め込まれた人間からμチップの破壊するのは良いが、何時ぞやも能力を利用して人殺しを行ってはならない。


 4.もし、契約を破った場合、1時間の心臓発作が起こり、激痛が走る。


 5.この心臓発作が24回起こすと心臓が麻痺を起こして肉体は別の魂の所有権に譲渡され、魂は悪魔の餌となる。


 6.そして、体内チップ破壊医師になった者はロシア連邦の諜報機関ФСБに自分達の行動の情報等を帰属される。その情報は契約者自身の脳みそから収集される。


 7.尚、契約者はロシア連邦の諜報機関ФСБの監視から逃れる事が出来ない。


 8.体内チップ破壊医師になると個々の能力に応じた体内チップ破壊能力を得られる。


 9.尚、自害しようとするなら、自動的に心臓発作を起こし、肉体は別の魂に所有権が譲渡され、魂は悪魔の餌になる。


 以上が、契約書に書かれた内容らしい。

 私はこの契約書を読んで恐怖を覚えた。

 私の身体は死なないけど、心臓発作を起こせば仮死状態になって、肉体は別の魂の譲渡され、魂は悪魔の餌になる。

 確かに、『マジカルガールパッチ』という体内チップを埋められてデスゲームに参加している少女よりはましだが、これも十分に酷い契約書ではないか。

 けど、こんな酷い契約書に契約しても契約書に契約しなければ私は体内チップ破壊医師になれないとなると完全に究極の選択しかなかった。

 でも、『マジカルガールパッチ』を埋められた私は既に碌な死に方をしないなら私はもう、契約するしかないと思った。


「まず…、」


「時彦さん。この契約書に契約したら私は元に戻れないのは解っているよ。だから、『マジカルガールパッチ』を埋め込まれたから契約するしかないと思うの。」


「藍那…。」


 私がまともな死に方をしないなら私は体内チップ破壊医師になるしかないと感じた…。

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