第4話 Мой У Знаю есть. (私が知る必要がある事…。)

「とりあえず。俺がここで言える事はここで言った。後は貴様達が俺の録音した音声を聞いて体内チップ破壊に協力するか否か考えてくれ…。俺はスターリンプラザで『マジカルガールパッチ』の回収を完了した。だから俺はこれから高座大和空港こうざ やまと くうこうを使ってロシアに帰る準備をする。だから、貴様ら詳細を知りたいなら後日、高座大和空港からモスクワ行きの飛行機に搭乗して、シェレメーチェボ空港に来るが良い。」


 私は彼がロシアに帰らなければならない理由を既に知っていた。

 彼はアメリカの『レイスブック社』を敵に回した以上、アメリカの影響が強いこの国(日本)にいれば何れ、レイスブック社に狙われて自身の命の保証がないと分かっていたからだ。

 だから私は彼がそこまでしてレイスブック社やアメリカ政府から攪乱かくらんさせるには欧州ヨーロッパでなくロシア、イラン、北朝鮮などといった西側の影響を受けない国に亡命する以外にないと思っている。

 恐らく、彼が『レイスブック社』の機密情報を漏らした報いが来ている事は間違いなかった。

 だから私は、礼音あやねと共に誰もいない場所でこの録音機ボイスレコーダーの音声を聞こうと思ってた。

 その為、礼音と共に石川町駅から磯子駅東口の国道357号の大通りでその録音機の電源を付ける事にした。


「礼音。ここで録音機ボイスレコーダーの音声を流しても車の騒音の影響で誰も聞こえなくなるから、大丈夫だよね?」


「そうだね。桜木町駅の地下街だと反響音でバレるし、石川町駅だと例のドヤ街があるから簡単にばれてしまう。ましてや静かな場所や人混みが多い場所だと誰かに聞こえる可能性があるからお前の言う通り、ここで録音機ボイスレコーダーの情報を公開するのは正しい。」


 礼音…。確かにここなら人も疎らで大型車も多く通行するから大丈夫だね。

 だから、私はこの録音機の電源を付けるから一緒に聞いてね。


「ではいくよ…。」


「あぁ、」


 そして私はその録音機の電源を付けて彼の裏情報の話を聞くことにした。


*******


「そうか。スタード。貴様はアメリカ政府が仕掛ける盗聴の件を漏らした事は敬意を評しよう。だが、俺が『レイスブック社』から何か情報を漏らして欲しい事は何かあるのか。」


「あぁ。ここ最近、『レイスブック社』から世界中で販売されている『マジカルガールパッチ』というμチップを埋め込むVRゲームが流行っている。君には『マジカルガールパッチ』の情報について漏らしてほしい。」


「分かった。俺は『マジカルガールパッチ』で我が妹の美佳みかの頭部が死んでしまった。恐らく、『レイスブック社』が何か女性の頭部だけを殺して体部を生かさせる理由が何かあると俺は感じるから、貴様に情報を提供しよう。」


「ありがとう。時彦ときひこ。なら、君は『レイスブック社』から必要最低限の資料を集めた後、サンフランシスコ国際空港からシャルル・ド・ゴール(Shalle・De・Gole)国際空港を経由してロシアのシェレメーチェボ(Шелемечево)国際空港に行きなさい。」


「あぁ、分かった。貴様の言う通りにする。」


「了解。なら、その計画をばらしてアメリカ政府や『レイスブック社』が販売するμチップ計画を止めるべきだと踏み切れ。」


「あぁ、当然だ。ところで我が妹である美佳みかの身体は何処に行った?」


「安心しろ。貴様の妹である美佳みかの身体は俺が大事に保管している。」


「ありがとう。スタード。」


「それと、美佳の頭部は損傷が酷く火葬する必要があったが、身体の方は生憎、生きていたから葬儀の参列者には彼女の身体も参加する事は安心して欲しい。」


「了解。これから俺は、有給休暇を利用してアメリカからロシアに亡命する準備を整える。それが俺の報いになっても良いなら、貴様に協力する。だから安心しろ。」


「あぁ、シェレメーチェボ国際空港に到着したら僕とある契約をして欲しい。」


「了解。俺は美佳の為なら悪魔サタンと契約して見せるよ。」

*******


 何、この話!!

『レイスブック社』から販売された脳に埋め込むμチップ『マジカルガールパッチ』で時彦ときひこの妹、美佳がこんなに無残な生かされ方をしていて悔しい気持ちは理解できる。

 けど、スタードという男。あいつと何か契約したのか?

 私にはよくわからない。

 けど、その契約が何かある事は間違いない。

 恐らく、時彦が何かしら隠しているのだと私は感じた。


「でも、藍那。この音声は事実だと思う。何故なら、メディアやインターネットにはアメリカ政府が関与している事実は多数発見されたし、彼が『レイスブック社』や『マジカルガールパッチ』の情報を漏らす事が出来たのはスタードの影響だと私は感じている。」


「そうなんだ。」


 私は、これが事実なら『マジカルガールパッチ』が『レイスブック社』やアメリカ政府がどれだけ関与しているのかはっきりとしてきた。

 と、同時に礼音は時彦から受け取った資料を持ち出しつつ、私にそれを見せ…。


「で、藍那あいな。これが時彦から提出された資料だ。どうやら、この契約書はキリル文字で書かれているからロシア語である事は間違いない。」


「礼音。確かに最近は英語の授業が必修でなくなり中学以降では英語の他、ロシア語、中国語、ペルシア語、スペイン語、ドイツ語などに分かれてきた事、そして語学の授業で2つの科目を前期と後期で選ぶことを実施しているから私はその中でロシア語とペルシア語を選んだよ。」


「ふっ。藍那。私もドイツ語と中国語を勉強している。何せ、『レイスブック社』はアメリカの多国籍グローバル企業とは言えど、アメリカを始めとした英語圏の企業は衰退している。何故なら、英語圏の企業の多くは金融マネロン絡みで情報技術産業ITも英語中心だから有利になれた側面があるからな。」


「礼音。アンタは賢いよ。」


「ふっ。そうだな。」


 礼音の言う通り、アメリカの情報技術IT産業が先進的だったのはアメリカの軍需産業による公共事業だった事、更に電子構文プログラムの多くが英語で構成されている事が非常に大きかったのは間違いないのは知っていた。

 つまり、英語圏の情報技術産業の多くはアメリカの公共事業による保護主義とと英語中心の電子構文プログラムだから有利になれた。

 裏を返せば、中国語やロシア語などの非ラテン非ローマ文字系の言語が電子構文プログラムの中心文字なら英語は没落する言語だと考えると私は電子構文プログラムにはロシア語や中国語は必須だと理解できた。。

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