第3話 追われる男。
私は時彦さんがμチップを壊せる能力があるなら、μチップの恐ろしさを理解しているに違いない。
故に私は、μチップの件を彼に聞きたかった。
「ねぇ、時彦。アンタはμチップをどうしてそこまで毛嫌いしているの?」
私はμチップがどれだけ危険な代物なのかよくわからない。
だからこそ、彼にその事を聞いて知りたかった。
「藍那。礼音。μチップを脳に埋め込ませる事は要するに貴様達の思考を監視する社会に繋がる計画がアメリカを筆頭とした西側社会で既に行われている。故にそれを止める為にはμチップを破壊する能力が俺には非常に欲しかった。」
「つまり、ロシアにいるとある男と契約して体内チップ破壊医師になったんだ…。」
「そうだ。身体に埋め込まれた体内チップは簡単に破壊できない。そして、それを破壊するにはある契約をして体内チップ破壊医師になるしかない。」
「つまり、私達の脳に埋め込まれたμチップは能力を使わないと壊せないの…。」
私はこの時、体内チップを壊すにはある能力が必要だと思った。
と、同時にそれを阻止する為にはアメリカを始めとする西側社会の裏を知る必要があると改めて感じた。
「時彦さん。私は体内チップ破壊医師になるよ。そしてその『マジカルガールパッチ』を脳に埋め込まれた魔法少女デスゲームを私と礼音で終わらせて見せるよ。」
「藍那…。あんた…。」
私の話を聞いた礼音も始めは凄く戸惑ったが、次第にその件を受け入れ始め…。
「なら、藍那。私もアンタと同じ様に体内チップ破壊医師になり『マジカルガールパッチ』を脳に埋め込まれた少女達を救い出して見せる。」
「ありがとう。礼音。」
礼音もこの危ないゲームを終わらせたい気持ちが先行したいから私と共に行動したいんだね。
「なら、貴様達は録音機と契約書、そして体内チップ関連の資料をそれぞれ用意する。俺はこのスターリンプラザにある電子部品屋さんを捜索して『マジカルガールパッチ』を破壊する。だから貴様達はここから離れるんだ。」
私は時彦から離れる理由が良く分からなかった。
寧ろ、どうして彼と距離を置く必要性があるのか背後から来る音で次第に解った。
「You obviously r
「済まない。藍那。礼音。この鞄だけ置くから俺はさっさとスターリンプラザに行くから。」
私は時彦が奴らによって追われている事に気付かなかった。
でも、この資料を私に渡した事は私や礼音だって狙われるかもしれない。
そう感じた私は、ここで逃げたら私の命が終わりだと薄々感じ、能力を発動する事にした。
「You are.《お前。》 The μchip 《μチップと》intelligence and 《時彦が》Tokihiko exile in《ロシアに亡命した件を》 Russian case to know? (知っているか?)」
何だよ。この屈強な男は?
しかも英語で私に対して質問するの?
私はこの屈強な男が時彦とμチップの件で質問してきた事から、こいつらを撃墜しなければ確実に私と礼音は死んでしまうと思った。
だからこそ…、
「大丈夫だよ。藍那。私と共に能力を使おう。」
「そうね。礼音。彼がμチップをどうして嫌っているか調べないとな。」
私と礼音はここで時彦が少し前に語った言葉を思い出した。
―――俺の能力は、μチップや効果を破壊できても書き換えられた細胞は治せない。
私と礼音はその言葉の裏を書いて能力開花を行おうとした。
「よし、私はこの能力で決まりだ。 『
私はマイクロチップの影響が消えても細胞が書き換えられたままなら能力が使えると感じ、屈強な男をここで殺さねばならないと感じた。
「なら、私も能力を使わないと不平等でしょ。『
「
男らしく見えた彼はと、意外と女々しかったせいか、すんなりと彼は私たちの能力に恐れて逃亡した。
すると、時彦が戻ってきて…。
「おっ。貴様たちは俺を追っていた屈強な奴らを見事に倒したのか?」
「時彦。どういう事?」
私はどうして時彦を襲ってくる奴らがそちら系の方ばかりなのか疑問に感じた。
「藍那。礼音。俺の話を素直に聞けよ。『マジカルガールパッチ』は男だと普通に装着する事が不可能な代物だ…。だが、奴らは例外的に胴体に装着するだけで能力が発動できる。無論、女の子と違い埋め込まれないから取り外し可能だ。」
彼らのμチップ搭載が女性と違い、装着するのみで能力を発動し、埋め込まれる心配がない話を聞いた時、奴らの扱いが私達より明らかに優遇されているのが意味不明だった。
すると時彦が『マジカルガールパッチ』について素直に語ってくれた。
「実は、本来の『マジカルガールパッチ』は若い女性の脳みそでしかμチップを埋め込まれず女性が男性から身を護る為に細胞が書き換えたら自然と破棄する前提で製造された製品だ。無論、俺はその前提として開発して製品を完成させたのだが…。」
私は彼が『マジカルガールパッチ』の開発者として本来は私達の身体を保護する為に作られた製品だと語ってくれた。
つまり、誰かが改造したからデスゲームや奴らの身体に装着しただけで能力が発動できる能力にしたと…。
それ故に彼は…、
「だが、アメリカの『レイスブック社』のCEOであるザッカ―・クック氏によって『マジカルガールパッチ』を改造し、デスゲームや奴らの優遇行為に利用されたんだ。」
つまり、奴らが『マジカルガールパッチ』を装着しても体内に埋め込まれないのは『レイスブック社』のCEOが改造した事が原因だった訳ね…。
私は『レイスブック社』は確かに先進的な企業だと思ったが、裏情報を知る彼からするとそれは別世界で地獄の様な世界なのは納得できた。
「という事は、『レイスブック社』やアメリカ政府がアンタの命を狙っている訳だね。」
「そうだ。さっきの男も俺を標的にして攻撃してきた。だから、俺はいつでもあの人のいるロシアに亡命できる準備は整えてあった。」
あの人って…、
まさか、アメリカ政府やCIAによる盗聴実態で暴露した奴らが言っていた『エドワード・スタード』なのか?
英語で確かに解り難かったが、スタードという言葉だけが強く出てきた私としては彼に何かしらの関係が時彦にはあると薄々感じた。
「アンタはもしや、スタードと何か繋がりがあるの?」
私はスタードという言葉を出して彼と繋がりがあるのではないかと時彦に話そうとした。
すると、時彦は…。
「藍那。俺はロシアに亡命した際、スタードという男に『マジカルガールパッチ』関連の資料と情報を漏らしたのは事実だ。そして俺はロシアの大統領にある契約をして体内チップ破壊医師になったんだ。」
つまり、スタードとロシアの大統領と協力して体内チップ破壊医師になった訳か。
なら、私は彼に詳しい事情を聞こうと思った。
『マジカルガールパッチ』は何の為に発売されたのか…。
そして、『レイスブック社』はどうして『マジカルガールパッチ』を多くの若い女子を標的にしているのか?
私はそれを知りたかった…。
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