戦慄!人気アイドルにストーカー?

1話

この前の件で香陽さんはこの店でお花を買って、それを夫婦にプレゼントしたそうだ。お代も、と言ったが紫苑さんが花で十分だと言ったらしい。そのとき、俺学校行ってていなかったんすよねぇ……

それから何日か経ったある日のことだった。



「大変っす!お、表に……!」


「うるせぇ!店で騒ぐな!」


「本当にやばいっす!アイドルがいるっす!」


「アイドルって誰……?」


「スパークリングっす!」



店の前にこう、キラキラしたオーラを放つサングラスと帽子の男二人組がいて……

あんまりにも不審者一歩手前って感じだったから、ちらりと顔を見てみれば最近流行りのアイドル、スパークリングだった!



「……それは人気なのか……?」


「ほら、最近CMでよくやってるコーラとサイダーの……!」


「あぁ、あれか。よく見るな……沙羅、見てこい」


「え!?アタシ!?」


「忍がこんなに言ってるが、本当に本人かわかんねぇだろ。一応様子見てこい」


「髪色確認してきてください!本人ならきっと赤メッシュと青メッシュがはいってるはずっすから!」


「……忍ちゃん、結構ミーハーなのね」



外を見に行った沙羅さんの後ろ姿を見つめている紫苑さんの方を向く。



「いいんすか?」


「何がだ……」


「紫苑さんが見てくればいいじゃないすか」


「ああいうのは専門外だ」


「そうっすか……紫苑さんも、顔の綺麗さじゃ負けて無いっすよ」


「うるせぇ、余計なお世話だ」



外の話し声に聞き耳を立てていれば、沙羅さんが二人を店の中に連れてくるようだった。



「今日はお花見にいらしたんですか……?」


「いえ、依頼で……」


「あ、そうでしたか!ならこちらへどうぞ!」



あからさまに元気そうな声になる沙羅さん。

それを見て紫苑さんが舌打ちした。



「沙羅さん、アイドルとか好きなんだと思ってたっす」


「好きだけど、関わるのはなんだか……」



座った二人にお茶を出しに来た沙羅さんにそう問えば、返ってきた言葉に驚いた。



「それで、アイドル様がうちに何の依頼だ?」


「いやあ、ストーカー被害にあっていて」



そう告げたのが、青メッシュの斎田さん。

それにしても、ストーカーって……アイドルも大変だな……



「普通の探偵のほうがいいんじゃないのか?」


「ここは信頼できると聞いて」


「……どこからだ?」


「それは秘密です」


「はぁ、まあいい。それで俺にどうしてほしいんだ」


「犯人を突き止めてほしいんです」


「……ファンじゃないのか?」


「それはこいつに聞いてください」



親指で指したのは今まで黙っていた赤メッシュの強羅さんの方だった。



「え、斎田さんじゃないんすか!?」


「お、名前知ってるんだ。そういや自己紹介してなかったね。俺は斎田隼人さいだはやと。職業はアイドルで24歳」


「俺は強羅元気ごうらげんき。職業も年齢もこいつと一緒だ」


「テレビでよく見る。こいつも好きみてぇで」


「え、俺っすか……!?」


「本当に?男の子のファンもいてくれるなんて嬉しいよ。握手する?」


「い、いやそんな……!恐れ多いっす……!」


「じゃあ、解決したときにする?」



小さく頷けば、皆に生暖かい目で見られた。なんなんすか……!

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