248.小太郎テラピー
お昼は事務員さんが頼んでくれた重役弁当。事務員さんも警備の人も、もちろん天水専務もね。うちは大手の企業より高給なので、みんな重役弁当なのだ。
会議室でみなさんと和気あいあいとお昼を食べる。小太郎はみなさんから少しずつおすそ分けをもらい、ハムハムと食べている。代わりに、ちゃんと満面の笑みでありがとう~って返している。それだけで、みなさんメロメロ状態。
小太郎、そんなに食べれませんから! 程々でいいですから! みなさん、ちゃんとお昼ご飯食べてください!
お昼を食べ終わり重役椅子でお昼寝。部屋のパイプベッドより寝心地がいい。値段もパイプベッドの何倍もするから当然か?
お昼寝が終わった頃に来客の知らせが入る。待ち人来るだ。
小会議室に移動すると天水専務がいた。口を出さないが面接に参加すると言っている。何も喋らず黙って座っているほうが、相手に威圧を当たるような気がするのだが?
事務員さんに連れられて、リクルートスーツを着た年若い小柄な女性が入って来る。
正直、まったく記憶にない。ないが、友人の面影はある。確かに姉だな。というか、姉というより妹に見える。
「藤堂あかねです。本日はよろしくお願いします」
九十度に頭を下げ挨拶してくる。緊張のせいか、引きつった表情で顔色も青白く悪い。
「どうぞ、お座りください」
カチンコチンの状態でなんとか椅子に座る。この状態で話しができるか? 仕方がない、レスキュー発動だ。
「猫はお好きですか?」
「は、はい。好きです」
「猫アレルギーはありますか?」
「あ、ありません」
よし、行け! 小太郎!
「にゃ~」
俺の膝の上にいた小太郎が飛び降り、あかねさんの所まで歩いていき膝に飛び乗り笑顔でご挨拶。
「にゃ、にゃんて、か、可愛い……」
触りたいけど触っていいのか悩んでいるようで、手をワキワキさせている。
「撫でてあげてください」
小太郎を恐る恐るなでなでして、その触り心地にうっとり顔。これで、緊張もほぐれたただろう。これぞ、小太郎テラピー!
「改めまして、社長の
「も、申し訳ありません。
まあ、そうでしょう。俺だって覚えていない。
ちなみに
「今日、ここに来られることになった経緯は聞いていますか?」
「私の特技を活かせる仕事で雇っていただけ、ニート卒業だと……」
ま、間違っていない。いないのだが……おそらく、間違っていると思う。
「どんな職業だと?」
「出版関係だと……」
やっぱりな……。
「申し訳ありませんがうちの会社は出版関係の会社ではありません。大きな枠組みで言えば貿易商でしょうか?」
天水専務が頷いているので間違いではないだろう。
「貿易商ですか?」
「えぇ。取り扱う品が特殊な物でして、我が国どころか各国からも注目を浴びています。そのせいで、サイバー攻撃への不安を抱えています」
「そ、そっちですか……」
そっちなんです! 悪いけど、薄い本には興味がありません!
「兼好からあかねさんの才能について聞いています。現状、我が社は早急にサイバーセキュリティを堅固にしなければならない状況に追い込まれています。手を貸していただけないでしょうか? もちろん、納得できる待遇を用意させていただきます」
悩んでいるのがわかる。しかし、本気でうちを出版関係の会社だと思ってきたのだろうか? そこまで絵に自信があるのか? 一度、見てみるか?
「今、どのような状況で、私はどこまで対処すればいいのでしょうか? それと納得できる条件とは?」
「そうですね。うちの商品だけでなく、内情を探ろうと各国のエージェントが暗躍しています。今、社内は外部用と内部用にPCを分けて使っているので情報漏洩は防げています」
現状、専門の情報セキュリティ担当者がいないので苦肉の策だ。
「今後、我が社のサイトを作り商品の注文、アピールをしていきます。その対応もしていただきます」
「うーん? 通常の情報セキュリティで十分じゃないですか?」
「うちの商品は特殊な物と言いましたよね? 中には表に出せない物もあります。それは各国だけでなく、闇組織も喉から手が出るほど欲しがるものです。我々が住むこの日本政府でさえもです」
ゴクリと唾を飲む音が聞こえた。小太郎のおかげで普段の表情に戻っていた、あかねさんの顔色がまた悪くなってきた。
やっと、自分の置かれている状況がわかってきたって感じか。
小太郎、癒やしてさしあげなさい。
「にゃ~」
猫(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ猫
カクヨムコン9残念にゃがら落選ですにゃ……。
気を取り直してドラゴンノベルスコンテストに参戦ですにゃ。
フォローとお星さま🌟をポチっとしてくれると嬉しいですにゃ。
必要にゃのは、みにゃさまの愛情だけですにゃ。
フォローとお星さま🌟🌟🌟、💛応援するをポチっとお願いしますにゃ!
ポチっとしてくれたみにゃさまに感謝ですにゃ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます