246.追い剥ぎか⁉

 こいつの姉ならまあいいか。腐女子ってのが気になるところだが……。


 明日、面接を行うから午後に来るようにと会社の住所を書いた紙を渡す。履歴書等は必要ない。体一つでいいと言っておく。


 人材紹介のお礼に月読様の所から持ってきていて、残っていたお酒と肉を置いていく。ついでにソーセージとチーズもあげよう。


 自由空間は時間停止が付いていないので、食品は早めに処理が必要。今は沙羅の氷結の魔剣で斬り凍らせて、保冷バックに小分けで入れて収納している。


 こいつら、ちょうどいい処理班だ。


「野郎ども! 今夜も飲むぞ! みんな呼んで来い!」


「「「おぉー!」」」


 ほどほどにな? ここクラブ棟だけど大学敷地内でもあるからな?


 この後は久しぶりに人工ダンジョンに行こう。沙羅は習い事に行っているのでお休み。月読様の所で十日間修行していたので、その間の分の補習みたいなものらしい。


 華道、茶道、香道、薙刀道、まさにお嬢様の習い事だ。


 喫茶店ギルドに着いて昼にはちと早いが昼食を食べておく。俺はナポリタン大盛とアールグレイ、小太郎はカリカリとミルク。喫茶店のナポリタンってなぜあんなに美味しいのだろう?


 喫茶店ギルドはいつもより探究者シーカーの数が多い。


「点検と間引き作業が終了したのですよ」


「なるほど。それでですか。錬さんたちはまだ戻って来たないんですか?」


「錬次郎さんと花音ちゃんは居残りね。ほかのメンバーは帰って来れることになったわ」


 喫茶店ギルドも葛城さんも今回の件について事情を知らされていない。俺たちも帰る前に今回の件に関して、守秘義務を負わせられた。


 なので、あの後からどうなっているのかまったく知らない。天水祖父などに聞けば何かわかるかもしれないが、下手に首を突っ込むと藪蛇になりそうなのでスルーしている。


 ナポリタンの大盛でお腹いっぱいになり、気合も十分。さあ行こう!


 お姉さま方、小太郎を解放してくれませんかね?


「にゃ~」


 ブーイングの中、小太郎を奪取して異界アンダーワールドに入り、すぐに人工迷宮の続き地下十二階へと転移。


「はにゃ~!」


「ヒヒィーン」


「……」


 いつものメンバーを召喚。お馬さんにリヤカーを装備させ出発。すぐに小太郎が飛び乗って丸くなる。


 今日は下の階に下りる道をさがしつつ、武器強奪を行う。カットラス、フリントロック式銃、海賊のバンダナ、海賊船長の三角帽を狙っていく。


 先頭ははにわくん俺はマッピングと気配察知の訓練しながらついていく。


 さっそく、パイレーツスケルトンを含む集団と遭遇。パイレーツ以外ははにわくんたちに任せ、カットラスを強奪しようと考え思いつく。バンダナも一緒に奪ってから倒すとどうなるのだろうと。


 結果、どちらも強奪できることがわかった。わかったし、バンダナで攻撃するのではないので品質が良いものが残った。


 海賊のバンダナ 品質 中 耐久30/30 防御+15 水耐性+10 地下十二階 パイレーツスケルトン


 品質が低から中になり、ほんの少しだけ性能が上がっている。


 むむ。これは海賊船長も同じことができるんじゃないか? バンダナはまだ需要がありそうだけど、あの帽子に需要があるか? 取りあえず、奪ってはいこう。


 何回か戦闘を繰り返していると、やっとお目当ての海賊船長と遭遇。そして気づく。こいつ、服着てるよなと。全部脱がせるか? さすがに面倒だな上着のコートだけ狙ってみるか。


 ちなみに下っ端のパイレーツスケルトンはバンナダを被ってる以外何も着ていない。


 銃を撃たれる前に奪い、月読体術で転がし帽子とコートを奪う。それを、ささっと身に着ける。なんかカビ臭い……。それを、我慢して銃で船長の頭を撃ち抜く。


 銃も帽子もコートも残った。自分でやっていて、俺って追い剥ぎか!? って思ってしまう。


 はにわくんたちが倒さずけん制していた、残りのパイレーツスケルトンからも強奪して倒す。


 フリントロック式銃は同じ物が出たが、三角帽は品質が中から高になりこれも少し性能が上がった。


 海賊船長の三角帽 品質 高 耐久50/50 防御+20 指揮+4


 そして、コートは驚きの性能。


 海賊船長のフロックコート 品質 高 耐久200/200 防御+60 指揮+10


 異世界防具にはまったく敵わないけど、こちらの世界の防具で比べると中堅クラス性能。最初に俺がもらった自衛隊装備が、あまりにも紙レベルに感じるほどだ。


 まあ、今の俺の装備はこの前手に入れた小霊王の革鎧だから、足元にも及ばないけどね。それでも、なかなか見た目が格好いい。それと、指揮+10というのも気になる。


 小霊王の革鎧の上から羽織っておこう。だが、カビ臭い。マーブルに怒られるなと思いつつ、試しに清浄の杖を使ってみる。うん、綺麗になったし臭いもなくなった。これで、安心して装備できるな。


 はにわくんが物欲しそうな目で見てくる。残念だが、はにわくんの体格ではこのコートを羽織れない。はにわくんミニなら羽織れるな。次、奪ったら羽織らせよう。


「はにゃ……」






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