244.インナーと甘味料

「王妃様のサイズがわからないから、サンプルをいくつか用意して持っていこう。その時にサラに採寸してもらえばいい」


「私が王妃様の採寸をするの!?」


「実際にするのは侍女さんだと思うけど、測り方をその侍女さんに教えるのはサラだね。俺じゃあわからないし」


 王妃様から貴族の奥様方に、王妃様付きの侍女さんからその下にとどんどん情報が広がっていくはず。夕日化成だけでなくほかの下着メーカーの物も集めたほうがいいだろうな。いつかは真似されるだろうけど高級志向として住み分けもできるから問題ないだろう。


「王妃様用なら下着は最高級品を用意しないと駄目だね」


「いや、あえて準高級程度の物を持っていく、ついでに侍女さんたち用の庶民派の物も多数持っていこう」


「その心はなんにゃ?」


「侍女さんたちに被験者になってもらい下着の良さを実感してもらうため。王妃様に準高級品を渡すのは侍女さんたちの下着との違いを見せるためだな」


 侍女さんたちのほうが一日中仕事をしているから、下着の良さを実感できるはず。そこから噂が広がれば一般庶民にも下着が普及しやすくなると考えた。


「それなら王妃様には最高級品でいいんじゃない?」


「サラさん、駄目ですね。アキさんの言うとおり、最初は準高級品でよいでしょう」


「なんでにゃ? アディール」


「今回は試供品です。高級下着の市場は貴族相手になります。そうなれば、下着もランク付けして売らねばなりません。王妃様が下着の虜になれば、必ず今より良いものを欲しがります。そのために最高級品は取っておくべきなのです」


 ザッツライト! アディールさん。王妃様は間違いなく俺たちの下着を見せびらかす。そうなると同じものを欲しがるのが貴族だ。同じ品質の下着が広がれば、王妃様は面白くない。必ずもっと良いものを欲しがる。


 そこで、希少品といって超高額で売り込む。下着は消耗品だから定期的な購入が見込まれる。王妃様は貴族が買えない貴重品を手に入れ優越感を得、俺たちはウハウハのwin-win。


「あ、悪徳商人にゃ……」


「何を言ってるんですか、マーブルさん。お金を持つ者には厚利少売、庶民には薄利多売。とても、理に適った考えです」


「あきっちはどっちからも暴利を貪るきがするにゃ……」


 失礼な! そこまで守銭奴じゃないぞ!


「インナーの件はこれでいいね」


「下着がありなら化粧品ってのはどうかな?」


 なるほど、化粧品か。考えてなかったな。


「王侯貴族ですとポーションを惜しげもなく使いますから、そこまで需要がないと思われます」


 回復薬がお肌のアンチエイジングになるのか。凄い世界だな。


「しかし、メイク用品は需要があるかもしれません。私は詳しくないので、エルリムーンに調べさせましょう」


 俺たちが調べるより、エリンさんなら適任だね。


「じゃあ、それはエリンさんにお任せしましょう。次は塩と砂糖、調味料かな」


「あきっち、前にも言ったけどにゃ、塩と砂糖は貴族の専売にゃ。無理だにゃ」


「調味料はいけると思います。香辛料関係は砂糖よりは多く輸入されており、自由販売になっています。しかし、香辛料の元は南方の国でしか育ちませんので、ソールリシア王国といわずあの大陸すべての国で引手あまたです」


 香辛料は自由販売できるのか。それだけでも十分な気がしないでもないけど、向こうの世界は絶対的に甘味が少ない。そのせいで駄菓子屋台に大人が群がる状況が起きている。


 ハチミツに芋の一種から取れる糖蜜というのが庶民の甘味らしい。白砂糖は超高級品、黒砂糖でも庶民にはなかなか手が出ない金額となっている。


 こちらで用意するのは黒砂糖、白砂糖、さらに高級志向で和三盆を用意する。ほかにも麦芽糖やメープルシロップなどいろいろある。これを売り出さずしてどうする!


「貴族の専売? マーブルくん、忘れているんじゃないか? 君もその既得権益を貪る一部になったことを!」


「悪代官、いや、悪殿様の顔にゃ! あきっち」


「そうか、マーブルは一代限りだけど準男爵だったね」


「そうにゃ? そうにゃ!? 準男爵だったにゃ! なんとかなるのかにゃ? アディール」


 忘れてたな。この駄猫。


「なんとかなると言えばなりますが、準男爵の地位では少し厳しいでしょう。そこで、王家の力ということですね」


 そいうこと。下着を見せる時に一緒に甘味料の多くの種類のサンプルを持っていき、宮廷料理長に見てもらう。必ず気に入るはずだ。ついでに、いろいろな塩をや香辛料も持っていけば、必ず喰いつく。


 向こうの世界では砂糖は白砂糖か黒砂糖、糖蜜、あとハチミツくらいかな。その四つが駄目となってもほかの甘味料はいくらでもある。ショ糖、三温糖、キビ糖、見た目が違うけど材料は同じ。甜菜糖、オリゴ糖、果糖、メープルシロップなんてのもいいかもしれない。


 人工甘味料もあるけど、それはやめた方がいいかな。天然甘味料は探せばもっと見つかるはず。今回はそこまでしなくてもいいだろう。


 向こうにも、もしかしたら同じような物があるかもしれないけど、日本クオリティーに勝る品があるとは思えない。


 お得意様になるのは間違いない。





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