242.プッカの紹介
も、もう食べられません……。
一メートル超のマグロ舐めてた。簡単にペロっといけると思っていた。
お刺身は生で食べることに馴染みがないプッカたちも、マーブルと小太郎がぺろぺろ食べるのを見て挑戦、その旨さに魅了された。もちろん醤油とワサビは持ち込みだ。まあ、ワサビを使うのは俺と沙羅だけだったけど。
兜焼きはプッカとぱっちょんが競うあうように突っつき、カマ焼きはプルーネさんとエリンさんが完食。あの細い体のどこに入ったのだろう。
中おち丼も俺と沙羅が食べ始めるとみんな欲しがり、追加でご飯を炊くことに。
それでも、食べきれず大量に残るマグロ。調理場を借りたのでお店に一部を、あとは孤児院におすそ分けしたいとプッカが持って行った。
俺も少しだけ小太郎の分をもらっておいた。
「にゃ~」
プッカが戻ってきて孤児院ではお肉以上に食べれないお魚に子どもたちは涙を流して喜んだと聞いて、今度必ずお魚を差し入れしようと思った。
それでも残ったマグロはプルーネさんが預かり、後日美味しく頂くことということになった。
プッカの用事も済んだので天水家に戻る。プッカも猫化して。見た目はまんまアメリカンショートヘアだ。沙羅に抱っこされチュッチュッされている。愛らしい姿だから気持ちはわかるがプッカは可愛い姿であれ男、許せぬ。
天水家のみなさんにプッカを見られないように、PCとにらめっこしていたアディールさんを連れ、月彩 Tr.Coに移動。ちょうど昼休み終わりの時間帯なので全員そろっていた。
申し訳ないが急遽全員を会議室に集める。
「これから話すこと、見ることは絶対に他言無用です。いいですね」
「急にどうしたんだね? 何か問題でも起きたのかね?」
昼休み明けに急に会議室に全員集合となり、あんなことを言われれば何か一大事が起きたのかと思ってもしょうがない。
「今まで仕入れた品は俺たちが向こうに運んでいましたが、向こうの商会と話がついたので、商会のほうから人を出してもらうことになりました」
「それはいいのだが、その相手はいつ来るんだね?」
「今でしょう! 出でよ、プッカ!」
沙羅の腕の中でまったりとしていたプッカは、急に呼ばれてビックっとしてからぴょんと飛び降りおずおずと俺の横に来て猫化を解いた。
「プッカです。よろしくお願いします」
会議室の反応は二つに割れた。歓喜の悲鳴と驚愕で息をのむ者に。
プッカは女性陣にもみくちゃにされている。二足歩行の猫でアメリカンショートヘア似の可愛らしいプッカは、お人形のようにも見えなくはない。今、人生での最高のモテ期襲来かも。
「驚いたな。猫獣人というやつかい?」
「残念ながら向こうの世界には獣人というような種族はいません。プッカはケット・シー族です」
「そ、そうか。ケット・シー族なのか……ははは」
女性陣の騒ぎが収まらないので、会議室の端に移り天水専務を交えて職人ギルドでの交渉内容を話す。
「鉱石の使い道か。問題ないと思われるがどう説明するつもりだね?」
電子機器や電池などに使用と言っても理解できないだろう。アディールさんを見る。
「職人ギルドはそこまで深く内容を知りたいとは思っていないでしょう。最初からこうですと端的に言うより、もっとぼかして大雑把に伝えるべきと思います。彼らも一職人ですので、我々の話しから新しい技術を編み出したいと思っているのでしょう」
「強度を増したり錆びにくくする構造材料への添加材とか、従来の素材では困難だった機能を有する機能性材料となどとかね」
「すべてを秘匿するよりは、開示してもいい簡単な数例を出せば向こうも納得するはずですし、より協力を得られると思います」
なるほどね。全部隠すと怪しまれるけど、少しだけ手の内を見せれば向こうも安心するということか。さすが、アディールさん伊達に商業ギルドの副ギルド長だったわけではないな。
沙羅もうんうん頷いている。エルフだけに海千山千だな。いい意味でね。
教えていいなら、強度増しや耐錆関係を教えれば武器防具の性能が上がることになる。これはこちらにも理があるのではないだろうか? その辺を攻めてもらおう。
「デザイナーの件は話を進めているよ。武器防具関係やパーソナルマーク関係はアニメーターやアニメのデザイナーに声を掛けている。当社のHP関係もあるのでグラフィックデザイナーも雇うつもりだ」
月彩 Tr.CoのHPかぁ。いろいろ考えているんだな。
「叔父様。セキュリティ対策は大丈夫?」
「問題ないはずだ。ハッカー……元ブラックハットハッカーなんだが、大きな声では言えないが司法取引する代わりに、うちのセキュリティ対策を担うことになっているグループがある。政府の肝いりだがね」
それって大丈夫なのか? 元クッラカーのうえ、司法取引とか、完全に政府の犬じゃないか。
なにか対策を取る必要がありそうだ。
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