234.大妖怪
言われたとおり仮設営に連絡を入れ報告する。三十分ほどでこの場所にほかの班が集まると回答がきた。
千本鳥居からは時折、何かに追われ逃げてくるかのように
俺たちは
俺と残りのメンバーはお湯を沸かしてお茶を飲んだり、インスタントラーメンを食べている。
「あの
「若いっていいわ……」
「さすが天水家の末女だけある。十六夜と違って才能の塊だな」
軍神ですから。それと、花音さん俺をディスるのやめてくれません? 沙羅と比べること自体が間違っています。
しかし、沙羅は完全に悪鬼へのトラウマを克服したな。俺から見ると、沙羅が悪鬼をはにわくんたちと一緒にいじめているようにしか見えない。まあ、
「ほう。戦っているのは天水三等特尉の妹さんか。魔導書を扱う力も凄かったが、武技の技量もなかなかだな」
あらやだ、如月一等特尉なんて上から目線。沙羅の本当の実力はこんなものではないぞ。
如月一等特尉が炎の魔剣を持つように、沙羅も氷結の魔剣を持っている。
氷結の魔剣は炎の魔剣に勝るとも劣らない性能。絶対零度という固有技もある。威力は灰神楽に劣るかもしれないけど、理力のコスパは格段に優れている。
今だって半分遊んでいるようなものだ。氣の消費を抑えて自身の力のみで
如月一等特尉は少し目が曇っていらっしゃるようだ。
それはさておき、全員がそろったので鳥居の調査に入る。千本鳥居は四百メートルくらい続き、その先は途切れて何もない。
自衛隊員が端から端まで鳥居の中を歩いてみたが何も起きない。なのにぽつぽつと
無線機を一番手前の鳥居の所に置き、俺も鳥居の中に入り調べてみる。残月で鳥居を見れば異界へと続く道と出ている。やはり、この千本鳥居が
千本鳥居の端まで来た。自衛隊員は何事もなく鳥居から出ていたが、俺は無理そうだ。おそらく、このまま進めば
なにせ、最後の鳥居の外が揺らいでいる。これはいつも潜るゲートの感じに似ている。間違いなくそこに
誰か呼ぼうと思った瞬間、ゲートに引っ張られ中に引きずり込まれる。その時、はっきりと見えた。俺が引きずり込まれると同時にゲート向こう側から来た悪鬼とすれ違うのを……。
「にゃ~」
小太郎の声で我に返り、武器を取り出し周囲を警戒。
少し先からもの凄い
俺の額から冷や汗が流れる。この先にあんな怪獣がいるのか? まじヤバいんですけど。
氣を探り更に驚く。どうやら二体の
もしかして、その逃げ出した
そんなことより、一度戻って報告だ。と思ってけど帰り道がない!? 俺が入ってきたゲートはどこいった!?
まいったな、帰り道が行方不明なんて。と思いつつも最悪、月虹で転移してしまえばいいかとも考えている。
となると、戦っている二体の
これは美味しい展開を狙えるのでは? 初めてマーブルと竜の大回廊に行った時と同じ展開を狙えるかも? ヤバイ、恐怖よりワクワクしてきた。
「にゃ……」
柳の下にドジョウは二匹いないよとばかりに呆れ顔の小太郎をよそに、ちょっとだけビビりながら二体の
いつもの光明真会の
一体は巨大な蜘蛛の体に老爺の顔を持つ
残月で見ると蜘蛛のほうは土蜘蛛。酒呑童子を退治した源頼光が関わった有名な妖怪だ。名刀膝丸で斬ったことから蜘蛛斬りと呼ばれるようになった話は有名だな。
もう一体も有名どころの妖怪鵺。鵺に関しては名前以外よく知らない。源なんちゃらさんに退治されたってことくらいかな。
両者、血だらけ怪我だらけの満身創痍。凄い死闘を繰り広げたのだろう。
なんでこんなところにこんな大妖怪がいるんだ?
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