222.戻ってもやることはいっぱい
「十六夜くん。バイト料よりお土産代のほうが高いんじゃない? でも、喜んでもらう!」
「今日は妙に
「いつもの定期点検に出ているのよ。今回は業者の予定で三か所同時になっちゃたから、みんな出張よ」
「あははは……。旅行に行ってすみません」
「いいんですよ。十六夜くんは前回行っていますから、今回は元々予定に入っていませんから」
そう言って
ちなみに小太郎は大家さんの所に置いてきた。加奈ちゃんが学校から帰ってきたら、お友達の所に小太郎と遊びに行くらしい。
話が変わってカットラスの査定額と、フリントロック式小銃の査定額とマニアに売れたことを聞かされた。
フリントロック式小銃の査定額はなんと……ゼロ。武器としての価値がないと判断されたみたい。いや、わかっていたけどね。実際に聞くとショックだ。
代わりにマニアには一丁十万で売れたそうだ。意外とマニアが多いようで、欲しいという人が多くいるので都合がつけば売ってほしいとのこと。実際に火薬と弾が付いているのが大きいみたいだ。
カットラスの査定額は八万円。これは思った以上の値が付いたな。光明真会のメンバーに俺五万円+ギルド一万円の六万円だったから、予想外の値段だ。
フリントロック式小銃とカットラス集めよう……ムフフフ。
立ち食い蕎麦屋で蕎麦を食べてから午後に月彩 Tr.Coに向かう。
「お土産です。みなさんで分けてください」
「「「ありがとうございます! 社長」」」
お肉もチーズも大きい塊のまま。好きなだけ切って持って帰ってください。
あまり使う機会のない社長室でPCを使い、稟議書の確認と決裁書への電子承認を行ないながら天水専務と話をする。
「あれから五菱からも、うちと東化大と五菱とで新素材の共同研究をしないかと来ているよ」
「うちは素材の提供という名ばかりですよね? で、その見返りは?」
「異世界で使える車両、船舶の技術提供と部品の供給」
「なるほど。それは面白い提案ですね」
向こうの長距離移動手段はまだ馬車が一般的。一部、馬などが必要のない魔導車というものがあるらしいが、お金持ちの道楽程度のもので実用的ではないらしい。
船舶も基本帆船や人力のガレー船が一般的。こちらも外輪船があると聞いているが遠洋航海はできないらしい。もちろん、スクリューは発明されていない。
魂石から取り出すエネルギーを使えば、モーターを作って動かすことができると思う。その魂石から取り出すエネルギーについても、研究してもらえば一石二鳥じゃね?
「夕日化成より、メリットがありそうですね」
「やってみるかね?」
「どうせ、いつかやることですから、この話進めてもいいかと思います」
そしてPCでこちらの要望を箇条書きにして打ち出す。魂石のエネルギー変換についてや電子機器を使わない車、金属の船体を動かせるだけのモーターなどいくつか書いた。
「これを叩き台にして交渉してください」
「こちらは技術提供をしてもらうのと、特許に絡むくらいでいいかね?」
「うちに名声はいりません。名声は向こうに譲りましょう」
「了解した。では、その線で交渉しよう。うちありきの話だしな、こちらが実を取って名を譲れば向こうの顔も立つだろう」
もう一つお願いをしておく。政府から認めてもらった武器防具の販売についてだ。
「ブランドを起ち上げろと?」
「異世界とは前に出せないので、高性能なハイブランドとしてほかメーカーと一線を画したいです」
こちらの世界で手に入れられる最上級な武器防具の値段で、それ以上の高性能な武器防具が手に入る。ただ売るのではなくブランド化すれば固定客も付く。
それと、将来的にギルドを起ち上げ、レイダーだけでなく職人をこちらに呼んで、デザインはこちらでやる職人のオーダーメイドもするつもりだと説明する。
「ギルドを作るのか。それはいい隠れ蓑になるな。となると、専門の部署も必要になるな。それとなぜ、デザイナーが必要なのだね?」
専門の部署は販売管理やデザイナー関係の部署になるから、ここと違って気密漏洩の心配はない。別の場所に事務所を作ればいい。
そして、なぜデザイナーが必要なのか? それは異世界の武器防具は野暮ったいからだ! 機能美といえば良いように聞こえるが、デザインが今一、今二。中には厨二心をくすぐるものもあるが、ごく少数。色彩良くするということもなく、基本素材の色そのまま。蛮族か!? って感じ。
形を近代的にしたり、色を付けたり、ロゴマークか付けたりしたい。それこそ、オーダーメイドなら、パーソナルカラーやパーソナルマークを付けたっていい。戦国時代の家紋や甲冑と同じだ。そのためのデザイナーと力説!
「そ、そうか。こ、こだわりや自己主張は大事だな。検討しよう」
ぜひ、お願いします!
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