221.修行時間切れ

 ちなみに、性能はというと、


 ●千子正重 品質 最良 斬撃特性+270 刺突特性+200 耐久2000/2000 斬れ味維持+100


 ●和泉守兼定 品質 最良 斬撃特性+300 刺突特性+250 耐久1800/1800 


 ●九字村正 品質 最良 斬撃特性+350 刺突特性+200 耐久2500/2500 理力特性+150 斬れ味維持+120 無絶


 間違いなく九字村正の性能がピカイチ。理力特性があるうえ、固有技の無絶まである。


 ほかの二本だって、九字村正には劣るものの、ムーンスラッシュと同等の性能がある。理力特性がないのが残念。


 それでも間違いなく世に出れば重要文化財、果ては国宝でも間違いないクラス。正直、持つ手が震える。


 沙羅は武器は必要ないと断った。俺と違って整備するには、専門の職人に頼むしかない。そうすると、出所が怪しくなるうえ、それこそ重要文化財クラスのものだと騒ぎになる可能性がある。


 整備するだけなら俺がいるし、収納袋に入れておき使う時だけ出せばいいだけだと思うのだが?


「「お世話になりました」」


 結局、気配察知スキルを習得できなかった。あと一歩足りなかった。下地はできたので、あとは異界アンダーワールドで使って行けば発現するだろう、と思いたい。


 それと氣を流すと体に付加がかかる翡翠の腕輪はもらった。常に身に着け訓練しろとのこと。


「うむ。また来るがよい。小太郎も達者でな」


「にゃ~」


 さっき、沙羅と小太郎のご両親に高級猫缶を持って挨拶に行ってきた。俺は来た時にも行っているのだが、沙羅は初めて。ご両親とも猫又なので尻尾が二股に分かれているのを見て、沙羅が驚いていた。


 ちなみに、小太郎のご両親は普通に喋れるし人化もできる。滅多に人化はしないそうだ。猫の姿のほうが楽だかららしい。マーブルか!?


 名残惜しいが、また来るのは間違いないので、今回はこれまでと割り切て沙羅の家に戻った。


 お土産を渡したら帰るつもりだったのだが結局断り切れず一泊することになり、お土産で持ってきた日本酒の試飲会となった。昭和以前のお酒などももらってきていたので、いろいろなお酒があると言ったら味比べになったのだ。


 多くがどぶろくやにごり酒で本当の清酒は少ない。それでも、日本酒に似たエルフ酒を好むアディールさんがとても喜んでいた。


 そのアディールさんだが、俺たちがいない間に何度か政府側との話し合いをもっているがなかなか進展がないみたい。


 進展がみられたのは、一定の性能以下の武器防具の販売の許可が下りた。武器は特殊効果がなく理力特性のない武器と、防具も特殊な効果のない自衛隊に卸したような防具なら販売を認めるというものだ。それ以外は保留。


 進展したことは少ないけれど、大いなる前進だ。アディールさん頑張った。


 しかし、懸念材料もある。前回の富士演習場でのことを知り、異世界取引を知った政治家どもが一枚噛ませろとうるさいらしい。その政治家どもがあの手この手で圧力をかけているらしい。


 それは絶対に譲れない境界線。その境界線を汚い足で越えようとすれば、すべては白紙。白紙どころかもう交渉する気はない。


 大泉総理もそこはわかっているようでなんとか抑えているようだが、大泉総理も一政治家どこまで日本に古くから巣食う蛆虫どもを抑えられるかだ。


 それと、この前の富士演習場でのお披露目会の後に、月彩 Tr.Co に夕日化成から異世界にインナーを売らないかと打診してきたみたいだ。普通の下着だけでなく、鎧の下に着る防刃布製のインナーなども安く提供すると言ってきている。


 もちろん、善意で言っているわけでわなく、その対価に異世界の素材の提供を望んでいる。


 正直、あまりこちらにメリットはない。インナーメーカーなんていくらでもあるし、防刃布も今時それほど珍しいものでもない。工事現場や工場では普通に使われているものだ。


 だが、夕日化成は軍事産業にも参入してる日本の中でも大企業。日本の産業の発展だけでなく、世界における日本の探究者シーカーの発展を考えるなら、いずれどこかの企業と手を組む必要があるのは確かだ。


 その辺は月彩 Tr.Co の今後の課題なので、天水専務たちを含めての相談になるな。


 大学は四月の上旬からだから、まだ休みはあるので人工ダンジョンに行きたい。月彩 Tr.Coの仕事もそれなりに忙しい。やることはいっぱいだ。


 次の日、下宿に久しぶりに帰り、お土産を大家さんに渡す。


「あんた、旅行に行ったんじゃないのかい?」


「旅行兼バイトです……」


「来月には引っ越すんだろう? 寂しくなるねぇ」


「コタちゃん……」


 大家さんはわからないが、加奈ちゃんは間違いなく小太郎と別れるのが寂しいのだろう。


 その何分の一かでも俺との別れを惜しんでくれたのなら、お小遣いあげたのになぁ。




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