220.お土産選び
俺はなんとなくだか気配察知ができるようになってきたが、まだスキルとしては発現していない。腕輪の負荷も最初の半分までにはできるようになったが、歩くだけでヒーコラ状態。ある意味、負荷の修行にはなっている……。
沙羅はずっとうさぎ師匠とマンツーマンで氣の修行を行っていた。沙羅は最近氣を身につけたので、まだまだ保有量が少ない。その保有量を増やすために、実戦でぎりぎりまで氣を使い、うさぎ師匠が氣を回復させるということを延々とやっていたそうだ。
使った氣を回復させる方法は俺も習った。氣が満ちている場所で瞑想しながら氣を感じ、周りの氣を自分の体内に取り込むのだ。自然の氣は言わば無色透明なもの。なので、体に取り込んでも害はないらしい。
本来であれば体の中に異なる氣を入れると体を壊す原因となる。少量なら問題ないけど、多く取り込むと異なる気がお互いに反発し合い暴れ始める。そのせいで気脈が乱れ体調を崩すわけだ。
なのに、うさぎ師匠は他人の体に氣を送って回復させることができる。奥義中の奥義らしい。さすが、うさぎ師匠。
なので、沙羅の氣の回復をうさぎ師匠が無限に行って強制レベリング。おかげで、沙羅の才能もあるのだろうけど、師範レベルに近い保有量になったらしい。さすが軍神……。
沙羅は今回の修行で、体術と氣功術のスキルを発現している。俺はなんにもないな……。
月読様の要望で昼食はラーメンを食べた後、俺と沙羅は近くのショッピングセンターに買い出し。あれだけあったお菓子類ももう残り僅か。月読様に急かされた次第だ。
ショッピングセンターで棚の端から端まで一種類ずつ籠に入れていく。お煎餅などはいらない、所謂ジャンクフードと言われるものがご所望だ。それプラス、一度食べて気に入ったもののリストが渡され、多めに買っていく。
忘れてはならないのが、店頭近くや目立つ棚に置かれている新商品。月読様のことだから、必ずどうにかしてチェックしているはずだ。
何度も会計を済ませて駐車場で自由空間に収納を繰り返す。
駄菓子好きの沙羅もさすがに呆れ顔。
「こんなに買っても、食べきれないよ?」
「いや、問題ない。この量だって数日でなくなる。さあ、次はアイスだ!」
「……」
アイスの大量買いをしてレジの人に怪訝な顔をされる。毎度のことなので慣れた。沙羅は恥ずかしそうだな。
次は猫や兎のカリカリの購入のため、いつものペットショップへ。顔を覚えられていたようで、新商品のカリカリを薦められた。もちろん買ったね。
「私も何か月読様とうさちゃんに、お礼の品を送りたいなぁ」
と沙羅が言うので、ショッピングセンターを見て回り、併設されている家具屋にも足を延ばしてみた。
そこで沙羅が選んだのが、ふかふかラグ。いつも月読様がゴロゴロしているし、お昼寝するにも最適。月読様用とうさぎ師匠用の二枚を購入。
月読神社にお参りしてから戻った。
「おぉー、これは良いものだ! うさぎに埋もれておるような快適さよ。さすがは
そう言って、ポテチをゴロゴロしながら食べる月読様。
うさぎ師匠は沙羅にぎゅっと抱きついて感謝を伝えている。
あの~、俺に対する感謝の気持ちはないんですかね?
ないんですね。いいです……。
さて今度は俺たちがお土産を選ぶ番。今回は月虹で直接来ているし、自由空間があるので遠慮なくもらって帰れる。
俺はいつものとおり、A5ランクの霜降り牛肉、ソーセージ類、チーズ、日本酒をもらう。どうせ、月読様は食べないのだから、俺が消費を手伝ってあげるのだ。みんなのお土産にも使えるしな。
みんなのお土産で思い出した。マーブルというより向こうで頑張っている、ぱっちょんやプッカたち用に鮪一本丸ごともらっておいた。百キロ近くあるので食べ応え抜群だろう。
沙羅はそういうものにまったく興味なし。いつでも食べているからだな。代わりに書物類を物色している。さっき、解体新書を見つけて歓喜の声を上げていた。重要文化財ものらしい。
「聖臣、刀はどうするかえ?」
今回は何本かもらって行きたい。
使うたびに職人に頼んで整備してもらうのは面倒だし、結構なお金がかかる。
ということで、見せてもらう。使い勝手から今回は太刀はパス。でも、安綱、国綱、光世など名だたる名工の作があり、鑑賞だけはさせてもらった。
刀の中から選ぶといってもその数は膨大。まずは先入観なしで、見た目、持った感じ、抜いて振った感じから数本選ぶ。どれも、奉納されるほどの刀なので名刀なのは間違いない。
その中から三本選んだ。
選んだ刀の銘を調べ、残月でも確認してみる。
一本目は
二本目は和泉守藤原兼定作とある。これは俺でも知っている。刀匠の名前じゃなくて、使っていた人だけど。その人の名は土方歳三。新選組の鬼の副長だ。戊辰戦争で函館の五稜郭で戦死したと言われてけど遺体は見つかっていないんだよね。
三本目は無銘。無名なのだけれど、九字が彫ってあった。ちょっと格好がいい。残月で見てみると九字村正と出た。そう本物の千子村正の作。そして、妖刀村正ってことだ。
これを愛刀としよう!
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