214.修行再開
氣というものは大小の違いはあれど、同じものだと思っていた。でも、人によって千差万別なら探せるのではないかと。
かといって、そう簡単に見つかるわけもなく。この修行中の課題にしようと思う。まだ、目が痛くて長い間集中できない。
ちょっと休もうと横になると睡魔が襲ってくる。痛みを忘れるにもちょうどいいので意識を手放した。
夕食時にまた沙羅が声をかけてくれた。夕飯はお蕎麦だそうだ。
お蕎麦は信州戸隠そば。本場ものだ。そばつゆは普通のそばつゆに辛味大根の汁、鴨南蛮汁などだ。わさびは生わさびをすりおろしたもの。本格的だな。
最初は辛味大根の汁で食べてみたが、辛すぎてギブ。そばつゆと半々にしてやっと食べられる味になった。沙羅と月読様は普通に辛味大根の汁百パーセントで食べている。我慢してない?
「美味しいよ?」
「この辛味が美味よ」
そ、そうですか。
鴨南蛮汁はちょっと甘めの汁。長ネギをいっぱい入れてもらい、更に薬味のネギを多めに入れる。スリムネギも用意されていたが、俺は普通の長ネギのほうが好き。
お蕎麦が好きで小さい頃、家族で仙台のばあちゃんちに行った時に足を延ばして岩手県の盛岡にわんこそばを食べに行ったことがある。
給仕の方が食べ終わるごとにそばを入れてくれるのが楽しくて、無理して百杯食べ証明書をもらったのは良い思い出だ。
夕食後に月読様が俺の顔を覗き込み、
「だいぶ馴染んでおる。明日から修行に入れそうよのう。うさぎ。今日から聖臣の体も整えよ」
うさぎ師匠、コクコクと頷いていますが病み上がりなのでお手柔らかにお願いします。
温泉に入った後部屋で待っていると、沙羅の悲鳴が聞こえてくる。昨日までは目の痛みで気にするところではなかったが、おそらく同じようなことが起こっていたのだろうな。
しばらくして、うさぎ師匠がやって来る。
さっさと寝ろとジェスチャーで促され、戦々恐々ながら布団に寝っ転がる。首、肩、腰辺りはとても気持ちがいい。しかし、足に移った途端に激痛がはしる。
「ギブ! ギブゥゥゥ!」
念入りにマッサージされました。正直、目の痛さを忘れるほどだった。
汗だくになったのでもう一度温泉に行くと沙羅が涼んでいた。
「次の日はとても快調になるんだけど、あれってどうにかならないのかなぁ?」
「あれも修行のうちだから……」
「そ、そうなんだ……」
翌朝、パチリと目が覚める。
目の痛みがない。体調もすこぶる良い。外に出て軽く体を動かしていると、沙羅たちもやって来た。
「目の色が戻ったね」
鏡を見ていないのでわからないが、中二病が完治したようだ。
「うさぎ、相手をしてやるがよい」
月読様の声がかかり、うさぎ師匠が可愛い指で俺にちょいちょいしてくる。
いいでしょう。少しは強くなったところをお見せしましょう!
氣もアビリティも使わない。風師匠から学んだ六陽掌の型だけで相手をする。
二手の陽春白雪と七手の陽関三畳の絶技受けてみよ!
な~んて息巻いてうさぎ師匠に挑みましたが、やはりリーチの差がやり難い。それでも実戦で磨いてきた技、努力は裏切らない。
打ち、払い、いなし、今までとは比べものにならない長い時間、うさぎ師匠と組手を続けられている。
油断したつもりはないが、手首を掴まれ捻られ空を仰ぐ。青い地球はいつ見ても美しいなぁ。
「少しはやるようになったではないか、聖臣」
うさぎ師匠もうんうん頷いてくれている。ちょっと嬉しい。
次は沙羅の番。こちらに来てから一度も沙羅の修行を見ていないので興味が湧く。
「はっ!」
脚が振り切られ、空気を切り裂く音がする。
「やっ!」
情け容赦なく顔面に正拳突きを繰り出す。
そう、軍神・沙羅だ。
うさぎ師匠相手にまったく躊躇する気配が感じられない。
「うさぎ相手にあそこまでの闘気。そして才能に溺れず真摯に向き合う姿勢。なにより、末恐ろしいほどの才能。聖臣。良い嫁をもらったものよ」
「ふぇっ!?」
沙羅の動揺による隙を見逃さず、うさぎ師匠の巴投げが決まった。まだ、嫁にもらってませんよ?
朝食を食べた後は俺は沙羅と別メニューの修行。
印瞳術の効果を月読様と検証。
今俺が持っている武器を出す。
打己棒 品質 最良 打撃特性+5 聖属性+10 耐久62/100 練氣(微)
カットラス 品質 中 斬撃特性+20 刺突特性+15 打撃特性+10 耐久33/70
コンパウンドボウ 品質 良 刺突特性+140 耐久592/700
興亜一心刀 品質 良 斬撃特性+40 刺突特性+35 耐久46/250
ムーンスラッシュ(半曲刀) 品質 最良 斬撃特性+250 理力特性+150 耐久2247/2500 月光 月の満ち欠けで能力変化
打己棒を初めて残月で見たけど意外と良い物のようだ。風師匠ありがとうございます。
まあ、ほとんど整備なんてしたことがないので全部耐久値が減っているな。
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