200.実証実験開始
あの時、一体だけならジミーたちもいたし、なんとかなったかもしれない。しかし、別の怪獣は出てくるわ、仲間を呼ぶわで大混乱だった。あれは無理だ……。
うさぎ師匠クラスにならないと無理だろうな。月読様はうさぎ師匠クラスはいくらでもいるようなことを言っていたけど、そんな人まだ見たことがない。もしかしたら、過去の
以前、武器強奪で会ったUSAチームやフランスチームは本当の実力を出していなかった。トップクラスの
直人さんと霧島さんがまだ幽斎師匠の話に喰いつこうとしたけど、貴子様から集合の声がかかった。
テント前にホワイドボードが置かれ、そこにスケジュールが書かれている。
今回集まっている人たちは四菱重工、マテリアル、夕日化成、北岳通、ILIなど日本の軍事産業に関わている企業の開発、研究チームだ。
それと、当然自衛隊のお偉方に
民間の
この黒岩さんは宮内庁特別異威対策室とは別の組織で、
そんなお歴々の中、最初はこの間持ってきたファングベアーとファルスドラゴン、そしてケイブウルフの鎧のお披露目と性能試験が行われる。既にすべて納品済み。
実際に5.56mm小銃を使って防御力を確認する。使われた鎧は今回来ている企業に渡され、更に研究されることになると聞いている。
ちなみに、ファングベアーの鎧が五十万円。ファルスドラゴンの鎧が八十万円。ケイブウルフの鎧は百二十万円で自衛隊に提示している。総額一億五千六百万円となる。
正直、性能から考えると超格安なのだ。こちらの世界で一流の
値段を上げてもいいのだけれど命を守るものだから、相談して手に入りやすい値段設定にした。
そんな鎧を
標的は俺たちからだいぶ離された場所に設置され、自衛隊が伏せの状態で銃を構え指揮者の掛け声で標的に射撃。
ターンと思ったより軽い音が鳴る。四人が同時に撃ったのに、完全に音が重なり一発の音にしか聞こえなかった。なんか自衛隊らしいなと思ってしまった。
残念ながら、ここからでは標的に弾が当たったのかわからない。スポッター役の自衛隊員さんが大村統合幕僚長たち自衛隊幹部に、着弾確認とかなんとか言って報告していたので当たったのだろう。
着弾した標的四つがみんなの前に運び込まれる。弾が当たった場所がテープて囲っているが、防弾チョッキ以外は俺が見る限りまったくの無傷に見えるのだが?
防弾チョッキは表面が破れ中の繊維が見えており、そこに弾が着弾したのだなとまるわかり。俺の用意した鎧は傷ひとつ無く新品同然。
試しに残月で鑑定してみると耐久値が二減っている。ケイブウルフの鎧にいたってはたった一しか減っていない!? いったい、どういう物理法則になっているんだ?
わいわいがやがやと、みなさんはその性能に驚きを隠せないでいる。
「幽斎、試しに斬ってみろ」
大村統合幕僚長が幽斎師匠にサバイバルナイフを渡した。
「氣は使わんぞ」
そう言って、無造作にファングベアーの鎧に斬りつける。サバイバルナイフは肩の部分に数ミリ程度刺さり止まった。
「固てぇな」
と言いつつも幽斎師匠がもっと大きな剣で斬ったり、氣を込めて斬ればおそらく真っ二つになっていただろう。それでも斬撃に対しても相当な防御力があることを皆に示すことができた
銃撃と斬撃。どう考えても銃撃のほうが威力が高いように思うけど。どうなのよ? 衝撃に強いってことか? 斬撃耐性は付いているけど打撃耐性とか衝撃耐性ってのは付いていないのにな。
衝撃耐性はデフォルトってことだろうか?
「この鎧は
なるほど、霧島さん鋭い考察だ。
特にこの鎧のモンスターは
「なんだ不満か? 幽斎。この防具とこれから見せる武器があれば、
「けっ、実力なくしてなにが先駆者だ」
幽斎師匠の言うこともわかるけど、装備を充実させるのも実力のうちだと思う。
俺がいい例だ。
性能の良い装備を身に着けないとプチっとやられてしまうからな。
ちょっと、言っていて虚しい……。
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