198.前乗りでコテージ
「じゃあ、魔法はどうなんですか?」
「そうですねぇ。運と根気でしょうか」
向こうの世界にはマギという概念がない。
対して、向こうの世界は自分から神、聖獣、幻獣といったものと接触をして、気に入られれば加護がもらえる。気に入ってもらうために何度も会って貢物を行なうなどの場合が多いらしい。
その中でもが神官が大変らしい。神の興味を引けた運の良い人か、相当に信仰心の厚い人でないと加護を受けられない。
そこで注意が必要なのが、神から加護を受ければ神聖魔法になるかといえばならない。よい例が俺の月彩の英気がそうだ。神聖魔法と呼ばれるのは一部の神の加護だけとのこと。
厳密にいえば月彩の英気も神聖魔法なんだけど、教会とかの権威付けのために神聖魔法と認めていないらしい。これだから宗教というやつは……。
そしてこちらの世界と根本的に違うのが、モンスターから加護をもらうことはないということ。
どんなに頑張っても、竜の大回廊であのゴリラ怪獣から加護はもらえない。
「マギですか、面白いですね。私も契約できるのでしょうか?」
「異能という能力があれば、
ちなみに、マーブルには異能がないのか
そういえば、異能持ちじゃないと見れない紙があったよな。あれで調べられるんじゃないか? web上でも
とは言ってもその広告がどこにあるのかわからない……。
沙羅たちが帰って来た後、沙羅からPVとMVの話を聞いた天水祖母と母の要望により、夕食をご馳走になった後に上映会となった。
キャーキャー言われちょっと恥ずかしかった。
平日は何事もなく大学の講習会を受け、金曜の夕方にお泊りセットを持って天水家に。
車で静岡の御殿場市まで移動しホテルで一泊。翌日、東富士演習場での検証実験だ。
御殿場は高速を使えばすぐ。着いたところはホテルというよりキャンプ場? コテージが建ち並びそのうちの並んだ二棟が今夜の宿のようだ。
俺と小太郎、アディールさん組。沙羅とマーブル、紗耶香さん組だ。運転手さんは俺たちを降ろした後、別のホテルに泊まるそうだ。
ちなみに紗耶香さんは俺たちの案内役。演習所に行くのに誰もついて行かないわけにいかないとのこと。天水祖父は仕事として明日合流する。
「いいところね」
「でしょう~。ネットでさがしたんだからぁ~」
どうやら、沙羅が探したみたいだな。
夕飯はバーベキュー。コンロから食材まですべて宿側で準備してくれている。焼いて食べるだけの状態。
とは言っても、沙羅と紗耶香さんは食べるだけ。焼き係は俺とアディールさん。小太郎とマーブルも食べる係だ。
自然の中でビールを飲みながらのバーベキュー。ちょっと寒いけど悪くない。明日、実証実験を行なうとは思えないほど、のんびり。
「ねぇ、アキくんは講習会が終わったらどうするの?」
大学の休みは四月まであるから、まるまるひと月空くことになる。と言っても、月彩 Tr.Coがあるから実際に休むのは七日くらいか?
「七日くらい修行に行こうと思う。それ以外は月彩 Tr.Coと
「幽斎師匠の所? 私も行ってみたいなぁ」
「幽斎師匠は修行させてくれないから別の所」
「にゃ~」
小太郎は気づいたな。
「修行かぁ、私の師匠、腰を悪くして当分駄目みたいなの。いいなぁ」
「じゃあ、一緒に行く?」
「いいの!?」
「聞いてみる」
「やったー!」
「にゃ~」
駄目とは言わないだろうけど、沙羅の修行になるかどうかは知らない。あの猫と兎のモフモフパラダイスを見て、普通に修行できるだろうか? 微妙だ……。
ちなみに、マーブルは連れて行かない。連れて行ったら月読様と一緒にゴロゴロしているだけだろう。なのでマーブルにはアディールさんというリードを付けて、仕事をさせる。やることはいくらでもあるからな。
そろそろ、王宮にも顔を出さないといけないだろうから、顔合わせにアディールさんを連れていけばいい。
魂石についてレイダーギルドと打ち合わせもしてほしいな。急に大量の魂石を持っていったら向こうも困るだろうし。
こう考えると、やはりやることはたくさんある。
マーブルは働くべきなのだ。
「にゃ~ん?」
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