197.エナドリ
俺たちの鎧は出来ていなかったが、沙羅用に頼んだゴリラ怪獣の襟巻と敷物は出来ているそうなので引き取る。
デミパズズの襟巻とデミパズズの敷物というらしい。ゴリラ怪獣の名前はデミパズズなんだ……。
フカフカで肌触りが凄くいい。襟巻は四つ分作れたそうなので天水家で分けれるな。
頑張ってくれた職人ギルドにお礼にと、日本酒とウイスキーを五本ずつをギルド長に渡したら泣いて喜んでいた。
「頼まれた鎧は最高の仕上がりにしてやる! 待ってろよ!」
期待して待っています。
魔術師ギルドに行き魔法石を仕入れ、薬師ギルドでポーション各種も買った後、武器屋に寄ると注文していたジミーたちの剣があったので引き取ってきた。
●赤薔薇の細剣 品質 最良 斬撃特性+70 刺突特性+150 打撃特性+40 理力特性+50 耐久700/700 発熱状態付加
●青薔薇の細剣 品質 最良 斬撃特性+70 刺突特性+150 打撃特性+40 理力特性+50 耐久700/700 悪寒状態付加
直剣ではないけど普通の
レイダーギルドにも寄って依頼品がないか確認したが残念ながらなかった。代わりにモンスターから武器を奪う方法が確認され、情報料が払われることになった。
その額、五百五十五万リル。大金貨五十五枚と小金貨五枚にもなる。それと、名誉ということで武器強奪の方法名に俺の名が入り全世界のレイダーギルドに伝えられるそうだ。
その名も、アキ式アイテムスティール法。あまり嬉しくない名だ。この世界に名を残したということでは凄いことなのだが、俺は盗賊か!?
マーブル商会に戻ると目をギラギラさせた、プッカとエリンさんがいた……。
「この薬は凄いです!」
「もっと飲みたい!」
やばい、この世界にエナドリは早かったか!? 二人はこの世界初のエナドリホリックかもしれない。
ギラギラした目を向け迫って来るので、恐怖に駆られ
そうこうしているとアディールさんが戻ってきたので、何も見なかったしやらなかったことにして向こうに戻った。
沙羅たちはまだ戻って来ていないようなので、アディールさんが持ってきた道具を見せてもらう。
魔法使いが持つような杖に、長さ三十センチくらいの魔法のステッキ? 呪文が書かれた魔術書。魔法陣の描かれた布。いろいろな液体や粉などが入った小瓶など多くの道具がある。
「いろいろ道具が必要なんですね」
「魔術はスキルや魔法などの奇跡と違い、知識の集大成です。奇跡のような行いを疑似的に再現するのが魔術ですので、いろいろな方法があるのです」
その一つが呪文。理力に言霊の力を乗せて事象を起こす方法。言霊の代わりに魔法陣や触媒を使う方法。いずれにしても、杖やステッキが必要なんだそうだ。理力を効率よく一点に集めそれを変換させるのに必要らしい。杖がないと、とても非効率だという。
「ちなみに精霊魔法は覚えようとして覚えられるものですか?」
マーブルが以前使っていた。魔法というより精霊と話をしている感じだった。
「精霊魔法は特殊で契約や呪文などは必要ありません。必要なのは精霊との親和性になります。これは才能の部類にになりますので、後天的に覚えるのは難しいかと」
エルフやケット・シーなどの妖精族は元から精霊との親和性が高く、小さい頃から精霊と触れ合っているから種族的に覚えるらしい。
「後天的に覚えるのが難しいということは覚える可能性はあるわけですよね?」
沙羅がそうだな。こっちの人は最初から精霊魔法を持っている人は稀だろう。いや、誰も持っていない可能性もあるな。
「そうですね。精霊の多くいる場所で精霊を感じる努力をすれば、あるいは覚えられるかもしれません」
その精霊の多くいる場所というのがネックで、そんな精霊が多くいる場所は聖域なんて呼ばれる所なので、そう簡単に出入りできる場所じゃない。結局、無理ってことだな。
行けたとしても、俺ってなんか精霊に嫌われているらしいから、結局無理だろうな。
魔導は魔導書との契約で使えるようになるのは実際に体験して知っている。魔導書はとても貴重な本で偽物が多く出回っていて、本物の魔導書は国に二、三冊あるかないかくらい。
なぜ、奇人コーエンの魔導書が偽物となっているのかは不明。
「奇人コーエンの魔導書って、アディールさんは知ってます?」
「ある意味有名な著書ですね。コーエンは実在した魔導士ですが、世間に出回っている魔導書は偽物と言われています」
コーエンという魔導士は一般に三大魔導士と呼ばれるほどの偉人らしい。しかし、残っている逸話がどれも奇行にはしった話ばかりで奇人コーエンと呼ばれているそうだ。
アディールさんも奇人コーエンの魔導書は偽物と思っているみたいだ。来週の集まりで本物と知ったら驚くだろうか?
いつも冷静沈着なアディールさんの驚く顔が見れるかもしれないな。
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