196.会社の顔
その後も俺の話題で盛り上がる。
女子社員などサインをくれとまで言ってくる始末。だから、俺は一般人だっての。サインならジンにもらいなさい。
「プロフェッサーがまた一緒に仕事がしたいと言っていたぞ。今度はサラちゃんも一緒にって」
「遠慮します」
沙羅は苦笑い。プロフェッサーがラブコールをしているのは俺じゃなく沙羅のほうだ。俺はおまけだ。
「じゃあ、うちのマネジャーがモデルの仕事をしないかって言ってるが、どうだ? モデルくらいならいいんじゃないか? アキ」
「俺は学生で
「大学生で会社の社長、そして人には言えない
「興味ないです」
「モデルの仕事は儲かるぞ?」
俺のウイークポイントを突いてきたか。
「お金を稼ぐための会社です」
「モデルは女にモテるぞ?」
「サラがいるのでお構いなく」
「ぶほっ!?」
沙羅さんお行儀が悪いですよ。
「だよなー。これは無理かぁ。まあ、何事も経験だから、一度くらいやってみるのもありだぞ?」
「考えておきます」
やっと、ジンの勧誘から逃れることができた。
「この会社の場合、社長の顔が売れるとどうなるんだね?」
「経営内容から言えば利点はありませんが、 企業イメージにはプラスでしょう。社長は
目をキラリンとさせる天水叔父と弁護士さん、怖ぇよ。
俺なんかより、アディールさんを売り出せよ!
顔合わせ会兼昼食会が終わり、ジンは仕事があるので帰って行った。
俺たちは軽く今後の予定を打ち合わせ。
来週から随時、魂石がここに運び込まれることになっているので、それの管理と書類作成が始まる。
それと、今まで俺たちが出向いて仕入れしていた品が、こちらで注文できるようになるので、仕入れ作業も平行で行われる。仕入れた品はさすがに量が多いので、近くに借りている倉庫に保管され、その管理業務もある。俺的にはだいぶ楽になるな。
それ以外だと今後向こうに売る品の選考と、その仕入れの交渉などがある。結構、これが一番困難かも。異世界人を含めた専門のチームを作る必要があるかも。
こうして確認し合うと意外とやることがいっぱいだ。これに向こうからの仕入れ品の売買も加わると人が足りないんじゃないだろうか?
そのことを聞くと、随時人を増やしていくと専務の天水叔父が言っている。事務所的には半分も使っていないので問題ない。問題は天水家の息のかかった人物であること、
天水家所縁の人材は、既にうちの社員になっているので、これ以上は難しい。そうなると、自衛隊関係者に限られてくるわけだが、
打ち合わせも終わり天水家に移動。俺とアディールさんは向こうの世界に来週の道具を取りに行く。
沙羅は天水祖母、母とお買い物に行くそうだ。小太郎とマーブルを連れて。できれば、マーブルは置いていってほしかった……。
マーブル商会の事務所に月虹で移動。プッカとエリンさんは書類整理に忙しそう。エナジードリンクを差し入れしておいた。それを飲んだ二人は目を輝かせて飲んでいた。それがいつしかギラギラに変わるとも知らずに。
「こちらも人が足りないですね」
「今はまだいいですが、支店が稼働始めましたら増やす必要があるでしょう」
「向こうで話した、今後こちらで売る品の選考をする際に、こちらの事情を知っている人がいたほうがいいですよね?」
「そうですね。こちらの生活様式に合ったものを考慮できる方がいたほうがいいでしょう」
「警護の人も考えると、ますます人が足りませんね」
「はい……」
向こうに比べればこちらの規制事項は緩いけど、それでも信頼できる人でなければ任せられない。これが、なかなか難しい。赤の他人を信頼するって大変なことなんだよね。
アディールさんは魔術の道具を取りに向かい。俺は職人ギルドに自衛隊から注文を受けた防具の引き取り。
「全部持ってくか?」
「この間のオーダーメイド品もですか?」
「あれはさすがにまだだ。だが、その分最高の仕上がりにしてやる」
それは楽しみだ。
ギルド長の案内で倉庫に防具を取りに行く。ファングベアーの革鎧が二百、ファルスドラゴンの革鎧が四十、ケイブウルフの革鎧が二十を引き取った。
●ファングベアーの革鎧 品質 最良 耐久700/700 防御+110 斬撃耐性+40 下位モンスターに威圧
●ファルスドラゴンの革鎧 品質 最良 耐久850/850 防御+130 打撃耐性+70
●ケイブウルフの革鎧 品質 最良 耐久1000/1000 防御+150 斬撃耐性+100 理力特性+100
ファングベアーの革鎧は俺のより少し性能がいい。ファルスドラゴンの革鎧とケイブウルフの革鎧は各々上位互換だな。なかなかの性能だ。
納得いく出来栄え。
自衛隊も文句は言わないだろう。
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