193.知識の売買
概ねこちらの思惑どおりに話は進み、その後は天水大叔父と弁護士さんが中心となっての話し合い。
税金やら、マーブル商会の銀行口座、身分証のことなど法律関係の話し合いが続く。
今更ながら検疫の話が出た時には笑いそうになってしまった。
まあ、その辺の話は餅は餅屋、俺が出る幕はほとんどなかった。
この後も簡易ながら取り引き除外品などについての資料が向こうから渡された。
その主なものが医薬品。こちらにポーションは持ち込むのに、向こうへの医薬品を持ち込むのは駄目らしい。向こうでちゃんと臨床試験などが行われ安全が確認されるなら取り引きしていいと言っている。
まあ、そう言われると納得もできる。しょうがない面倒だから今は諦めよう。
ほかには動植物の取り引きが禁止された。生態系に影響を与えないためとのこと。前に種を売ってしまったと隠さず言ったら、F1品種(一代交配種)なら問題ないが今後はやめるように言われた。
品種改良はそれだけで国の財産なのだそうだ。なるほどね。
レアメタルに関しては是非とも探してほしいと頼まれた。後日、月彩 Tr.Coにサンプルを用意して送ってくれることになった。
「それでは当面、我が国の魂石の七割をマーブル商会にお任せします。これはゼギール帝国との交渉が終わるまでの一時的なものとお考えください」
「すぐにでも始められますのでご安心を」
これで魂石については、魂石を月彩 Tr.Coに集めてレイダーギルドで金貨五枚で交換。マーブル商会が手数料で金貨一枚を受け取り、金貨四枚は国に渡す。
金貨四枚で四十万円の価値があるので、国が五万、ギルドが十万、シーカーが二十万の取り分となる。残りの五万はゼギール帝国分の三割の補填に充てると決まった。
「現在、発注されている自衛隊からの防具に関しては、特別処置として進めてください」
「納品は直接我々でもいいのかね?」
「構いません。正規の手続きさえ取っていただければ。ですが、今回発注分に限りますのでご注意を。武器防具に関して継続協議となりますのでお忘れなく」
取りあえず、最低ラインに立つことができた。アディールさんや月彩 Tr.Coで警護をしてくれる異世界人の戸籍等は次回以降に持ち越し。
「では、次回会議は一か月後とします」
時計を見ればもう夕方六時。
分室チームはこの後もこの会議室に残り、総理ブレインと会議を続けるみたいだ。
俺たちは秘書さんに別室に案内され、こちらも貴子様を交えての会議を行なう。
「思った以上に上手く話が進んだんじゃない?」
「そうでしょうか? 最低ラインは確保したってところじゃないですか? どう思います? アディールさん」
「役人の方がだいぶ譲歩されたのは意外でした。ゼギール帝国との交渉が上手くいってないのではないでしょうか。若干ですが焦りが見て取れました」
こちらを見下しているゼギール帝国と、相手を見下す
もしかしたら、既にゼギール帝国を怒らせて魂石の取り引きが制限されていたりして。
「それにしても武器の規制がここまで厳しいのは予想外でした」
それは仕方がない。こちらの世界では日常に
「ですが、いろいろと見えてきたものもあります」
「「「見えてきたもの?」」」
「ものを売るばかりではなく、知識を売ることができるのではないでしょうか? 魔法、魔導は難しいとしても、学問として系統づけらている魔術なら教えることは可能だと思われます」
「学校を作るとか?」
沙羅さん、そんなに簡単に学校は作れないと思うぞ。
「さすがに難しいわね」
「じゃあ、
「「それだ(よ)!」」
新人だけでなく、現役
「そうなると、魔術を使う後衛を含むパーティーの戦い方も学びたいですね」
「戦術も必要ってこと?」
「日常に
すべてのレイダーとは言わないが、
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