188.キャプテンハット

 あの帽子、奪えるのか? あの帽子で殴ったところでダメージになるとは思えない。ひっぱたけば精神的なダメージは与えられるとは思う。まあ、スケルトンに精神力があるかどうかは知らないけど。


 となると、あの帽子を通して六陽掌を喰らわせるしかない。帽子が壊れたら、そのときにまた別の方法を考えよう。


 取りあえず、帽子を奪い銃を発砲する前に攻撃。残念ながら帽子は壊れたが、船長スケルトンの頭は粉砕できた。バンダナより繊細に扱わないと駄目なようだ。


 手元にはボロボロのキャプテンハット……。


「はにゃ……」


 お気に召さなかったようだ。


 穴が開いちゃてるしね。しょうがないか。


 その後も何度か挑戦して、なんとかはにわくんが納得するキャプテンハットとバンダナ三枚を手に入れた。


 海賊船長の三角帽 品質 中 耐久40/40 防御+15 指揮+2


 特注のバイキングヘルムより性能は落ちるけど、指揮+2ってのが付いている。はにわくんは気に入ったようでバイキングヘルムの代わりにキャプテンハットをかぶって、はにわくんミニに見せびらかしているのは大人気ない。


 バンダナはうちに持って帰って、大家さんにミシンを借りて繋ぎ合わせよう。バンダナというより風呂敷サイズになりそうだ。


 帰りの時間までまだ余裕があるので、今度はカットラスを集めたい。捕らぬ狸の皮算用かもしれないが、売れそうな気がする。


 売れなくても俺が使えばいい。カットラスの二刀流。ちょっと格好いいかも。刀とは扱い方がちょっと違うけど楽しそうだからいい。


 時間いっぱい強奪を繰り返しカットラスを四本、銃を一丁を手に入れた。


 さて、今日はこれまで。保管部屋に戻り鉱石を積んで帰ろう。


「これ売れますかね?」


 査定に出すため引き取りに来てくれた葛城さんにカットラスと銃を見せる。


「海賊ごっこでもする気?」


「おもちゃじゃないですよ! 本物です!」


「にゃ~」


「コタちゃんがそういうなら、査定に出してあげるわ」


 なぜに、小太郎に負けた!?


 カットラスは値段はどうあれ売れると言っている。銃に関してはよくわからないそうなので。マスターギルド長に見せてみることになった。


 ちなみに、残月で見ると、


 フリントロック式小銃 貫通 35 耐久40/40


 カットラス 品質 中 斬撃特性+20 刺突特性+15 打撃特性+10 耐久70/70


 こんな感じで、銃には特性が付いていない。代わりに貫通がプラスが付かない三十五になっている。何が違うかは不明。


 カットラスは工業刀以上興亜一心刀未満の性能。使い捨て武器としては優秀。手に入りやすいのもいい。


「これはまた、珍しい物を持って来ましたね」


 銃と一緒に拾った小袋と火薬の入った筒も渡す。


「ふむ。見た感じは問題なさそうですね。残念ながら美術品や骨董としての価値はなさそうです」


 装飾のない無骨な銃だから仕方がない。銃には氣が乗らないから今以上の価値以上のものは出ないと思う。しかし、氣が駄目でも俺には宵月がある。宵月を使えば銃の威力が上がってよりダメージを与えられるかも? そうすれば今より価値のあるものが残るかも。今度試してみよう。


「売れるか売れないかで言えば売れると思いますが、これは探究者シーカーには向きませんから探究者シーカーには売れないでしょうね」


 ですよねー。


 一発撃って再度火薬と弾を込めるなんて、戦いの中でなんかやってられない。


 それに、買おうと思えばリボルバーやオートマチックの銃が買えるのだ。わざわざ、こんな旧式の銃を買って使うもの好きな探究者シーカーなんていないよな。



探究者シーカーには売れませんが、好事家なら別でしょう。こういうものにはマニアがいますから、意外と売れるかもしれませんよ?」


 俺はさっぱりだが、結構火縄銃とかは人気があって引手あまたなんだそうだ。この銃もそういうマニアには垂涎もの。実際に打てるから尚いいらしい。


 ちなみに火縄銃を持ち歩くのは銃刀法違反になるそうだ。知らなかった。


 ついでなのでにカットラスも見せたら、マスターギルド長より喫茶店ギルドにいた探究者シーカーさんたちが興味をもった。


 大きさも嵩張らず、取り回しもいいので予備の武器として欲しいらしいのだ。特に女性陣が欲しがっている。大きさ的にちょうどいいからかな?


 今回、五本手に入れてきたので一本は国に査定に出し、四本はこの場で譲渡することにした。


 値段はマスターギルド長と相談して喫茶店ギルドに一万、俺に五万の六万に決まった。一万も持って行くとはがめついぜ、マスターギルド長


 銃も一つを査定に、一つをマスターギルド長がその手のマニアに話を持って行くことになった。


 高く売れ、欲しがる人が多いといいな。


「にゃ~」



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