187.海賊

 パイレーツスケルトン、俺はあの手に持つ剣に興味がある。海賊の剣といえば舶刀、カットラスだ。今まで出てきたことがない剣だ。これは奪うしかない!


 先手は向こうが取った。今回はエンハンサーではなくメイジだったようで、炎弾を使ってはにわくんを攻撃するが無駄無駄。


 そっちはにわくんに任せた!


「はにゃ~!」」


 その間にパイレーツスケルトンを相手にする。やることは、いつもと変わらない。スケルトンには水月がよく効くので幻に気が向いているうちに回り込んで、スコップで武器を持つ手の手首をぶっ叩く。剣を拾って首を刎ねる簡単なお仕事。


 聖臣あきおみはカットラスを手に入れた!


 長くもなく短くもなく意外と肉厚で重量感がある。舶刀というだけあって船の上でも取り回しがよさそう。護拳も付いていて二刀流なんか似合って格好いいかも。護拳部で殴るのもありかな。こう見ると優秀な武器かも。


 高く売れないかな?


 ということで、カットラス集めましょう!


 はにわくんたちのほうも問題なく倒したようだ。


 次の獲物……もとい、スケルトンを探す。なんと、今度はパイレーツ三体パーティーだ。


 一体だけ、なんか偉そうなスケルトンがいる。服を着ていて海賊のキャプテンハットを被っている。船長か!?


 なんて思っていたらその船長スケルトン、おもむろに服の中から何かを出してはにわくんに向ける。


 パァーン! 


 取り出したものが火を噴き白い煙をあげ、パリンと皿が割れるようなような音がした。


 怪異モンスターが銃を使った!?


 旧式の銃のようだが、反則だろう! 


 ということはさっきの音は?


「はにゃ……」


「……」


 はにわくんとはにわくんミニが情けない顔をしてこちらを向けば、はにわくんミニの右肩の辺りが砕けて穴が開いている。


 はにわくんを狙ってはにわくんミニに当たる? この距離でその程度の命中精度なのか? 逆にどこに飛んでいくのかがわからいから危ねぇよ!


 取りあえず、君たちはパイレーツスケルトンを倒すんだ!


「はにゃ~!」


「……」


 ゴトッ。


 矛を上げたはにわくんミニの腕が落ちた……。しょ、召喚し直そう。


 はにわくんミニを再召喚し、船長スケルトンを見れば、あたふたしながら銃に火薬を入れている。意外と不器用?


 黙ってやらせると思うか!


 と思ったが、銃も武器の一つ。奪えるんじゃね? ちょっと待つか。


 火薬を入れて弾を入れて丸めた紙のようなものも詰め込んで、銃に付いている棒で奥に押し込む。これで準備ができたのかと思ったが、銃の上のほうにも火薬を載せ蓋をした。


 面倒だな。一発撃つのにあんなに時間がかかるんだ。


 すべての作業が終わり周りを見回す船長スケルトン。あなたのすぐ横に俺がいますよ? 作業に集中して周りに気が向いてなかったのね。


 キョロキョロしている船長スケルトンと目が合う。スケルトンに目はないけどね。すぐ横にいた船長スケルトンが驚き、こちらに銃を向けるが遅い。


 右手で銃を掴み引っ張る。スッポっと船長スケルトンの手から銃が離れ、その銃を船長スケルトンの頭に向け引金を引く。


 パァーン! 


 思った以上の衝撃が手に伝わり、煙で視界が塞がる。


 やったか! というフラグを立ててみたが、見事船長スケルトンの頭を粉砕。


 手に銃が残っており、消えていく船長スケルトンの足元に小袋と筒状の入れ物が落ちている。取りあえず、拾って自由空間にしまう。


 はにわくんミニはパイレーツスケルトンを倒したが、はにわくんは倒さずけん制している。なんでだ?


「はにゃ~!」


 なにかを一生懸命訴えているがわからん。


「にゃ~」


 小太郎がはにわくんの意図を教えてくれる。頭というイメージが小太郎から伝わってくる。こんなに強くイメージが伝わってきたのは初めての経験だ。こんなこともできるんだな。


 しかし、頭? パイレーツスケルトンの頭には……バンダナか!? あれが欲しいのか? でもどうやって奪う? バンダナで止めを刺せってか?


 手に巻いて六陽掌で倒してみるか。スケルトンは頭がツルツルなのでバンダナを奪うのは簡単だ。すぐに手に巻き付け六陽掌でスケルトンを攻撃。さして力も入れていないのに、一片も残らず粉々に粉砕。六陽掌、恐ろしい技だ……。


 で、バンダナ残ったな。バンダナで倒してと認識されたらしい。謎判定だ。


 さて、このバンダナどうするんだ。残月で見ると


 海賊のバンダナ 品質 低 耐久20/20 防御+10 水耐性+10


 なにげに木製バックラーより防御力がある。わずかだが水耐性まで付いている。


 はにわくんがはにわくんミニを俺のほうに押し出してくる。そういうことですか?


 はにわくんミニの頭にバンダナを巻いてやる。残念ながらはにわくんミニの頭が大きいので巻きれない……。


「はにゃ……」


「……」


 はにわくんミニの頭に巻くには四枚くらいを縫い合わせないと無理だな。集めますか。


「はにゃ~」


 バンダナを集めを始めると、また、はにわくんがなにやらジェスチャーを始めだす。今回は何を言っているのか理解できた。


 なぜか? 船長スケルトンの頭を六角棒で指しているからだ。キャプテンハットが欲しいらしい。


 あなた、特注のバイキングヘルムかぶってるじゃん!






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