186.印瞳術検証
気を取り直して、前回の続きの人工ダンジョン十一階から探索開始。
「はにゃ~!」
「ヒヒーン!」
「……」
はにわくんミニは声を出さず矛を上げて自己主張。
お馬さんにリヤカーをセットし探索開始。数分もせず、スケルトンパーティーと遭遇。前回の教訓を活かして最初にそれらしきスケルトンを攻撃。正直、メイジかエンハンサーかは見分けがつかない。杖を持っていないからエンハンサーか? まあいい、サーチアンドデストロイ!
弓と偃月で質より量攻撃。 スケルトンは骨だけなのでスカスカ。弓矢攻撃は当たり難い。精密射撃ができればいいのだけど、そんな技量はない! 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる!
偃月と弓の二射目でなんとか倒せた。印を結んでいたからエンハンサーだったようだ。印を結び終える前に倒せたので、はにわくんたちに弱体化は起きていない。残りのスケルトンも無難に倒した。弱体化さえしなければ、
じゃあ、そろそろ俺も印瞳術を使ってみよう。
次の
残り一体のスケルトンをはにわくんたちにけん制してもらっている間に、九字護身法を試す。何が起きるかは知らないけどな。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」
九字を唱え、印を結び理力を使う。理力を使い減った感覚がした後、ぽぅっと俺の体がほのかに光る。
九字護身法は相手ではなく、己に効果がある術のようだ。何かはわからないけど気分がいい。何か体の奥底から力が沸き上がってくる。自分を残月で見ると高揚、集中、身体強化が付いている。
何気に九字護身法って凄い術なんじゃないだろうか? 高揚、集中ってのも凄いけど、身体強化は別格だ。一部の能力だけというわけじゃなく能力すべてが強化されている。自分比で三割ましくらいだろうか。
体が軽く感じ面白いように体が動く。
ただ残念なのが一度の九字護身法で俺の理力の半分を持って行かれた。めったやたらには使えないので、ここぞという時の奥の手的な術になりそうだ。
それでも、魔法石を併用すれば一日に四、五回は使えそうだ。これに氣を使い、アビリティーも使うと結構凄い強化になるな。
せかっくなので衝波も使ってみよう。印は二つだけなので簡単。スケルトンに向けた掌に理力が集まり発射。言葉で言うとこんな感じだが、時間にすれば一瞬。
掌から何かが発射された瞬間、スケルトンがなにかに弾かれたように宙を舞う。ただ、すぐに起き上がりファイティングポーズ。ダメージを受けた様子はない?
ではもう一度、印を結んで発射! また宙に舞うスケルトン。吹き飛ばされた後、何事もなかったように起き上がってくる。
今回は骨しかないスケルトンだが、血肉や内臓があればダメージを負っていると思う。でも、ダメージはたいしたことはないだろう。この術はダメージを与える技ではなく衝撃波をぶつけて、動きを阻害しあわよくばノックバック効果を与える術だろう。
骨しかない軽いスケルトンだから衝撃波で宙に舞ったのだと思う。
面白いので何度も衝波を放つ。使う理力も威力のわりに少しなので使い勝手がよさそう。惜しむべきは片手でできないということ。これが片手でできれば盾代わりに使ったりといろいろ使い道があったのに。これが人気のない由縁だろう。
何度やってもスケルトンにはダメージが入らないようなので、はにわくんに止めを刺してもらう。相性もあるのが難点だ。
うーん。確かに微妙だな。完全な後衛向きの技だ。術を発動させるのに両手を使うのも厳しい。俺は自由空間があるから武器の出し入れが簡単にできるけど、収納系のスキル持ちじゃないとこれは厳しいな。
実際に使ってみてわかる。これはソロには難しい。ほかにどんな術があるかわからないけど、パーティー組んでの後衛か武器を使わない格闘の前衛じゃないと厳しすぎる。
忍者は長物を使わないし体術もあるから、印瞳術が合っているのかも。火遁、水遁などの後に小太刀を抜くくらいならなんとかなりそうだ。
かといって。今から忍者スタイルに変える気はない。完全に使い分けでいくしかないな。使い勝手が悪いのを差し引いても、印道術は面白いから今後も練習はしていこう。
何度かスケルトンたちと遭遇し倒すと、地下十二階に続く道を見つけた。地下十一階の地図はほとんど埋まっていないが、旨味のないこの階は興味なし。先に進もう。
旨味のある武器防具かドロップアイテムを落とす
なんて思っていると出てきたのはスケルトン……。またお前らか。
ただ、陣容が少し違う。前衛に見慣れないスケルトンがいる。バンダナを頭に巻き、手には短めの反った片刃の剣を持っている。その名もパイレーツスケルトン。海賊かい!?
小太郎とはにわくんたちは興味なさげだな。
ホルダー戦線~日常と非日常の狭間でホルダー界のランキングを駆け上がる~
https://kakuyomu.jp/works/16817330651455262968
連続投稿頑張ってやっていますにゃ!
よかったら見てやってくださいにゃ。
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