164.巨大骸骨
片膝をつく幽斎師匠に近寄り風月を使う。
「何が起きてやがる?」
「俺がやりましたが、俺もよくわかりません……」
触手カブトガニの触手が巨大骸骨を絡めとり、動けないところをゴリラ怪獣が攻撃している。巨大骸骨もやられてばかりではなく、触手を引き千切り、ゴリラ怪獣を殴りつける。
壮絶な戦いだ。二対一にもかかわらず巨大骸骨が優勢。あれほど俺たちを苦しめた相手を相手に互角どころか、それ以上の戦いをしている。驚きの強さだ。
そして正直、ビビってる。これだけの
ゴリラ怪獣を遠くに殴り飛ばした巨大骸骨は触手カブトガニを持ち上げひっくり返して地面に叩きつけ、甲羅の内側を何度も殴り、内部に達したところで内臓らしきものを引きずり出し引き千切る。
うへぇ、グロの光景と、その強烈に放たれる異臭に吐きそう。
触手カブトガニはもう動きを止めている。動かなくなった触手カブトガニの触手を引き千切り、動かなくなった亡骸を蹴り飛ばす。
ちょうど俺と幽斎師匠の近くに飛んできた。
「みんなこっちに!」
ジミーたちを呼び触手カブトガニの近くに寄ると体が光る。ジミーたちのみならず幽斎師匠もだ。
持っていた魂石も二個が満タンで一個が半分くらいまで溜まっている。ぼろもうけだ。みんなの魂石を回収して新しい魂石を渡す。
「もう、上がらないと思っていた俺の
「アキ! あれはなんなんだ!」
事情がわからないジミーたちに質問攻めにあう。
「契約? じゃあ、あれはマギなのか?」
「取りあえずは助かったてことか?」
「あんなのと契約する対価って]
「大丈夫なんだろうな? アキ」
「あれはマギじゃない。なにかもっとヤバいものと契約したのかも。正直、俺にもよくわからない……」
「「「「まじかよ……」」」」
魔界がなんちゃら、叛逆の徒がなんちゃらって言ってたような……?
巨大骸骨の勝利で怪獣同士の戦いも終わろうかと思われた時、ゴリラ怪獣に助っ人が現れる!? ゴリラ怪獣三体が現れ参戦。さっきの咆哮は仲間を呼んだものだったのか。
無傷の三体が現れたけど、巨大骸骨の優位は変わらない。なんて強さだ。
瀕死だった最初のゴリラ怪獣が蹴り飛ばされ、こちらに転がって来る。
幽斎師匠が岩切丸で首を刎ねた。無情だな。まあ、その恩恵を俺たちも受けるのだが。
レベルアップし、魂石がいくつか満タンになりゴリラ怪獣を収納。そしてまた、全員から回収して新しい魂石を渡す。今回は幽斎師匠はレベルアップしていない。さすがに幽斎師匠クラスになるとそう簡単にはレベルアップしないのだろう。
巨大骸骨は多勢に無勢でボコスカ殴られているが、骸骨だけにダメージがあるのかないのか判断できない。それに対して、ゴリラ怪獣たちは巨大骸骨の攻撃にダメージを蓄積し、傷が増えていき動きが悪くなっていく。
またゴリラ怪獣の一体が咆哮を上げる。また、仲間を呼んだのか?
ゴリラ怪獣が一体、また一体と倒され、残り一体になったところで、新たに二体のゴリラ怪獣が参戦。いつまで続くんだ? これ。
レベルアップ的にはとても美味しい状況なのだがいいのだろうか? ちなみに、アビリティの月光を覚えた効果はライト、強弱調整ができるようで、閃光としても使えるようだ。
ここにきて、巨大骸骨がゴリラ怪獣の攻撃で初めて膝をつく。見えないがダメージは蓄積していたようだ。それでも、ゴリラ怪獣は決定打に欠けやられていく。
とうとうゴリラ怪獣が残り一体なるが仲間を呼ぶ気配がない。そして巨大骸骨に捕まり首を折れれた。
「終わったか……」
「みたいですね」
巨大骸骨が掴んでいたゴリラ怪獣を投げつける。
「こいつ、消えないのか?」
そう、ジミーに言われたの戻れと念じる。何も起きない。
「戻れ!」
声に出しても駄目なようだ。
「……」
「おい、アキ。なんかヤバくねぇ?」
「なんか俺たちを見てないか? あいつ」
背筋がゾクゾクとしてくる。確かに巨大骸骨から俺たちに対して殺気を感じる。こいつ、味方じゃないのか? 無差別殺戮人形じゃないだろうな。どうやったら消せるんだ?
魔導書に問いかけても反応がない。だんまりだ。
「ちっ、来るぞ!」
幽斎師匠の声が切っ掛けになったかのように、巨大骸骨が動き出す。完全に敵認定のようだ。
足が震える。月虹で逃げるにもみんなを一ヵ所に集めないと駄目だ。今の俺は月虹を瞬時に使えない。一ヵ所に集まり月虹の準備をする時間は相手にとっていい的になるだろう。
幽斎師匠とジミーたちが仕掛ける。無駄だ……俺たちが束になっても勝てないゴリラ怪獣を、何体も倒した相手だぞ。勝てるわけがない。
紙一重で巨大骸骨の攻撃を避け攻撃するみんな。俺は動くことさえできないでいる。
ニッキーをかばい幽斎師匠が巨大骸骨に殴られ吹き飛ばされる……。
並列思考を使って考えても、どうしていいか思いつかない……。
あれ? これは詰んだ?
嫌に冷静な思考だけがはっきりと頭に残る。
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