143.竜牙兵無双

 上位種はワーカーアントより一回り大きい。動きも俊敏っでなかなか攻撃がクリーンヒットしない。


 沙羅もワーカーアントを倒し上位種戦に参戦。氷結の魔剣が脚を斬り落とす。小太郎の焔も決まり、だいぶ動きが遅くなる。


 もう倒せると思った時に、上位種が金切り声を上げる。


 ちっ、またかよ。こいつは不味いか?


 金剛の魔槌で上位種の頭を叩き潰し黙らせる。


「間に合ったと思うか?」


 沙羅もはにわくんも顔を横に振る。


 デスヨネー。


 倒したモンスターを回収して考える。


「どうするにゃ? また来るにゃよ」


「さっきのはマーブルの魔法か?」


「精霊魔法にゃ」


「まだ使えるか?」


「そうだにゃ~、あと三回くらいかにゃ」


 竜牙を出して竜牙兵を召喚。沙羅の竜牙兵は迷宮のボス戦があるので保留。危なくなったら出してもらう。


 あとは何体モンスターがやってくるかだ。


 氣を探っているとこの広い空間の二つの入り口両方から気配が近づいてくる。挟み撃ちのようだ。


 後ろの入口からは小さい気配しか感じないので、ワーカーアントだけだろう。


「後ろは沙羅とはにわくんに任せる。ワーカーアントだけだ」


「わかった!」


「はにゃ~」


 前からは上位種の気配も感じる。こっちは俺と竜牙兵が攻撃し、マーブルと小太郎が援護だ。


「しょうがないにゃ~」


「にゃ~」


 どちらも広場に入る前で迎撃。中に入られ自由に動き回られると面倒だ。


 先陣はワーカーアントその後ろに上位種が構えている。さっきは宵闇で失敗したので、今度は猿猴捉月だ。知能が低いモンスターには夢月が効きにくいが、意外と猿猴捉月は効く。上手くいけば同士討ちを期待できる。


 竜牙兵が突撃。ワーカーアント二体を相手に見事な体捌きを見せている。竜牙兵が頑張っているうちに、俺も上位種に仕掛ける。


「「猿猴捉月」」


 二対同時に猿猴捉月をかけるのは初めてだが、上手くいった。予想どおりお互いに組合い噛みついている。


 この隙にワーカーアント……すでに倒されているね。竜牙兵、強し!


 邪魔な二体を回収して上位種に攻撃、こちらが攻撃しているにも拘らず、お互いに噛みつき合っている。そんな二対におもむろに竜牙兵が近づきバスターソードを振り下ろす。


 俺、必要なかったかも……ついでにレベルアップしてるし。何もしてない、マーブルも。


「竜牙兵強いにゃ……なにもしてないのにレベルアップにゃ」


「にゃ~」


 上位種二体を回収している間に竜牙兵は沙羅たちの援護に向かう。援護というか無双しにいった?


 竜牙兵が戦列に加わったことで、あっけなくワーカーアント四体を倒した。沙羅の体が光る。沙羅もレベルアップだな。


「この子、強いね。私の子もこんなに強いのかなぁ?」


 あとで使えばわかるよ。それより、撤退だ。悔しいが、この階層は俺たちにはまだ早かったようだ。まだ時間があるので三階層でファルスドラゴンを狩っていこう。



 レイダーギルドでファルスドラゴンとアント系モンスターの買い取りをしてもらう。上位種の名はリーダーアントだった。ソルジャーアントのほうが強いらしいが酸を吐かない分戦いやすいらしい。


「偉い人呼んでにゃ。話があるにゃ」


 マーブルが受付の女性に話しをすると男の人がやって来た。


「お話しがあるとか?」


「ここではちょっと話せないにゃ」


「わかりました。では、こちらへ」


 商談用も小部屋に案内される。


「あきっち、あれ出すにゃ」


 はにわくんから預かっていたオークの大剣と剣、そしてオーガメイスを出し机に載せる。


「こちらは?」


「鑑定してみるにゃ」


 この方は鑑定できないらしく、ほかの人を呼んで鑑定した。


「これをどこで?」


「知りたいかにゃ?」


「ええ、とても」


「いくらで買うにゃ?」


「内容次第としか」


 まあ、そう言うだろう。この世界でパテント料と言っても無理だろうし。


 マーブルがモンスターから手に入れたことだけを話し、その方法は情報料次第で開示すると伝える。


「どうするにゃ?」


「興味深い話ですな。ですが私の一存では決められない案件のようです。ギルド長を含め幹部と話し合いが必要ですので、お時間を頂いても?」


「構わないにゃ。その剣はプレゼントするにゃ」


 オークの大剣とオーガメイスははにわくんの所有物だからあげないけど、オークの剣は使っていないから別にいいだろう。


 さて、こちらの世界での用事は済んだ。


「で、ボス戦やる?」


「やる!」


 取りあえず、保管部屋の近くの魔法陣の場所に行く。


「魔法陣ね」


「魔法陣だにゃ」


 マーブルが試しに入ってみるが何も起きない。沙羅もやってみたが同じだ。


 今度はみんなを連れ十階層の魔法陣のある部屋に飛ぶ。


「魔法陣ね」


「魔法陣だにゃ」


 マーブルが魔法陣に入ると消えた!? と思ったらすぐに現れれる。


「さっきの魔法陣の場所だったにゃ」


 沙羅も試し同じになることを確認。ボス部屋の次の部屋にある魔法陣に入ることがトリガーのようだ。


 ちなみにこちらからボス部屋に入ろうとしたが扉が開かなかった。


 一方通行のようだな。




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