139.ボス変異
ゴブリンリーダーの獲物は剣とバックラー。
竜牙兵の繰り出したバスターソードの攻撃をバックラーで受けようとしたが、バックラーごと腕を斬り落とされた。さすが、竜牙兵だ。
しかしここでゴブリンリーダーに異変が……。紫の霧に包まれ始め、なんか体がモコモコと動いているんですが? なんか気持ち悪い。
はにわくん
お約束を破ったせいか無情にも、六角棒が霧に触れると弾かれた。無敵状態みたいだ。
霧が晴れると明らかに大きさが変わった。一回り大きくなっている。何より金属の全身鎧を身に纏っている。どこから出てきたんだよ! って思うのは野暮だろうか?
ゴブリンホプリタイ ゴブリン軍の重装歩兵。戦うことに特化したゴブリン。強さはゴブリン四十体分
げげっ、強さが倍になった。顔まで隠れる全身鎧に丸盾と長槍を装備している。
ゴブリンホプリタイがはにわくんを標的に長槍を振り回す。はにわくん、一度は六角棒で受けるが強打のため仰け反り、返す長槍ではにわくんの首を狙われる。
ガシャーンと首元辺りが破壊され頭が転がり落ちる。
「はにゃ~~~」
手をバタバタさせ頭を探すはにわくん。駄目だなこりゃ。一度戻そう。
なんて思っていると、その隙を逃さず竜牙兵がゴブリンホプリタイに攻撃、バスターソードを丸盾で受ける。また斬り落とすのかと思ったが、丸盾を破壊するにとどまる。
やはりゴブリンホプリタイ、伊達にゴブリン四十体分の強さじゃない。竜牙兵に反撃し間合いを取った。とても冷静だ。
問題は、ほほほ……変身をあと2回残しているなんて言わないよな?
「はにゃ~」
はにわくん、再召喚。今度はオークの大剣を持って現れる。
ゴブリンホプリタイの長槍の間合いが長いので、はにわくんも竜牙兵も攻めあぐねている。ここはけん制も兼ねて俺は弓で、小太郎は焔で攻撃。
火だるまになっているが、たいしたダメージになっていなさそう。俺の矢も鎧に傷を付ける程度で弾かれる。
その間も、はにわくんと竜牙兵が攻撃を仕掛けるが、あの長い槍に悩まされている。
そういえば、弓に氣を纏わせていなかったな。ついでに宵月も使っておこう。狙うは兜の目の部分。鏃が通る大きさではないが攻撃力の上がった矢ならその隙間を抉じ開けられるかも。
「宵月、宵月」
自分自身と弓矢に掛ける。矢を放てば寸分違わず兜の目の部分に突き刺さる……えっ、突き刺さる!?
ゴブリンホプリタイの絶叫が響き渡り片手で刺さった矢を握り暴れ始める。
その隙を逃す、はにわくんと竜牙兵ではない。はにわくんの大剣が鎧のつなぎ目のチェーン部分を突き破りゴブリンホプリタイにダメージを与え、竜牙兵が長槍を持つ腕を斬り落とした。
俺も弓を構え首元を狙う。あんなに簡単に刺さったのだから、あの鎧の防御力より俺の攻撃力のほうが上回ったってことだ。
これで決めるという思いで矢を放てば、放った矢の先端に炎が纏わる。小太郎か!?
矢が首に突き刺さった瞬間、鎧の内側から炎が上がった。小太郎の焔が鎧の中で発動したようだ。器用なことをするもんだ。
一瞬、動きの止まったゴブリンホプリタイの首が跳ね飛んだ。竜牙兵の一撃が決まった。
俺たちの勝利だ!
レベルも上がった。ラッキーだ!
倒れたゴブリンホプリタイを収納しようとしたができなかった。普通の
残念と思ったがゴブリンホプリタイが消えた後に宝箱らしきものが現れた。宝箱だよな?
宝箱 鍵なし 罠あり 階層主討伐報酬
と残月で鑑定できた。階層主討伐報酬なのに罠ありとは用意した奴はひねくれものだな。
はにわくん、開けてみなさい。
はにわくんが宝箱を開けると緑色の液体が噴き出す。
「はにゃ~?」
毒霧かなにかだったのだろうが、はにわくんには無害だ。だが、鍵が掛かっていたら開けられなかったな。リアル鍵開けスキルなんてないぞ?
宝箱の中身は丸まった羊皮紙? と小さい袋一つ。
袋の中身は、大金貨三枚と小金貨五枚だった。日本円に換算するとおよそ三十五万円くらいだ。意外と大金。
スキルのスクロール 『並列思考』
残月を使った。なんか、凄い物を手に入れた気がする。使うとスキルを覚えるとか? 使ってみるか? いや、取りあえず持ち帰ってマーブルに聞いてみよう。何か知っているかもしれない。
小袋とスクロールを収納。試しに宝箱を収納したらできた……できるんかい! せっかくなので、時間のある時構造を確認してみよう。
さてどうする。取りあえず入って来た扉を開けてみると、普通に開いた。ボス戦のことで頭がいっぱいで、戦闘前に閉じ込められたのかを確認していなかったな。もし、閉じ込められるとすれば非常に危険だ。
今回は倒せたけど正直竜牙兵がいなかったらヤバかった。雑魚
今度、逃げられるか確かめる必要がある。危ないとなった時、逃げられると逃げられないでは雲泥の差があるからな。
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