132.サブウェポン

 レッドゴブリンと格闘訓練。さっさともう一体を倒して、俺と一対一での訓練相手になってもらう。


 力はたいしたことがないが、格闘技術は俺と同等。訓練相手にはもってこいなのだ。


 最初は防御に専念。なるべく躱すか受け流す。ある程度経ったところでカウンター狙い。一撃入れて投げ、寝技で落とす。


 寝技、面白い。締め技、関節技、押さえ込み技でボコる。でも、実戦には向かない。一対一ならまだしも、一対多では自殺行為だ。


 やはり、一度正式な拳法も学んでみたい。うさぎ師匠との訓練は喧嘩拳法だからな。まあ、あの後になにかしらの拳法を教えてくれるつもりなのかもしれないけど。ジミーが来たら相談しよう。


 格闘訓練も飽きたので次の目的はゴブリンキャップの弓だ。ゴブリンアーチャーが持っていた弓より見た目良さそう。


 しかし、どうやって奪って倒すかだ。


 偃月で弓を落とさせ、拾った弓で殴り倒す。弓と矢が残ったがボロい。鑑定するまでもなくボロだ。


 弓で殴るのはなしだな。


 次は夢月を使い眠らせる。起こさないように、そぉーっと弓と矢を奪い至近距離で矢を射る。一撃必殺だ!


 ●レッドキャップボウ 品質 中 貫き特性+30 耐久100/100


 俺が使っている工業刀より攻撃力がある。生意気だなゴブリンキャップめ! 


 弓は西洋弓の短弓。矢も矢筒に二十本入っている。これはただの鏃が鉄の木の矢だ。面白そうなので使ってみよう。


 レッドゴブリン二体が現れた。はにわくんを盾にして矢を射て倒す。六本矢を射って当たったのは四本。一本は当たらず外れ、もう一本は……はにわくんに刺さっている。ごめんね? 


「はにゃ~?」


 もう一体のレッドゴブリンを倒し終わり、矢を回収。レッドゴブリンに刺さった矢はレッドゴブリンが前のめりに倒れたので折れて使い物にならなくなっていた。


 はにわくんに刺さった矢と外れた矢は使えそうだ。矢は消耗品ということだ。真面目に弓を主体で戦うとなるとお金が掛かるな。丈夫な金属製の矢っていくらするんだろう?


 それに本当に使う気ならもっと強力な、狩猟用のコンパウンドボウのほうがこの弓より威力がありそうだ。某米特殊部隊隊員が使っているように、矢の先端に爆薬を付けられないかな? 無理か……。


 いや、探究者シーカーに銃が売られているくらいだ。探せばあるかも。戻ったら喫茶店ギルドのカタログを調べてみよう。


 攻撃方法はいくつか用意しておくにこしたことはないだろう。今の刀だけでは攻撃力が心許ない。もっと性能のいい刀が手に入ればいいのだけれど、ないものねだりしてもしょうがない。


 沙羅やはにわくんに比べ俺は決定打に欠ける。刀から浮気するつもりはないが、今ある性能のいい武器でその穴埋めをすべきだろう。使いなれればセカンドウェポンにしてもいい。


 今持っている性能のいい武器は金剛の魔槌、疾風の槍、岩切丸。槌、槍、斧だな。


 ●金剛の魔槌 品質 最良 打撃特性+300 理力特性+70 土石属性+100 耐久4000/4000 武器防具破壊+100


 ●疾風の槍 品質 最良 刺突特性+230 打撃特性+100 理力特性+100 風属性+100 耐久2200/2200 素早さUP


 ●岩切丸 品質 最良 斬撃特性+400 理力特性+100 断属性+110 耐久3200/3200 


 扱いやすさからいえば、金剛の魔槌だろう。性能もこの三つの中ではトップだ。俺は持っていないが土系の理力が上がり、何より頑丈で武器防具破壊特性まで付いている。


 長さ七十センチ、先端が五角形の膨らんだひだ付。撲殺のプロ、はにわくんに持たせてもいいな。でも、はにわくんは大剣を持たせたい。


 使っていないけど太刀を腰に佩いている。はにわくんの本当の得物は大太刀なんだろう。だから、オークの大剣がよく似合う。


 疾風の槍。西洋槍と和槍の使い方が違うと聞いたことがあるが、それ以前に槍を使ったことがない。性能は文句ないがどうしようか?


 岩切丸は戦斧だ。木を切る片刃の斧と違い両刃なうえ、大型でもある。取り回しが難しそうだ。攻撃力だけならこの中で一番だ。手斧だったら使い勝手もよかっただろうけど、これはないな。俺が使うと斧を振っているのではなく、振らされているって感じだ。


 取りあえず、使ってみよう。食わず嫌いはいけない。


 結果、オーバーキルだった……。


 このランクの怪異モンスターではあまり意味がないことがわかった。すべて一撃で終わる。まあ、刀でも一撃で倒せるのだから当たり前か……。


 これらは竜の大回廊で使ってみよう。


 地下九階層へ続く道を見つけ今日はこれまで。ちなみにずっと弓で遊んでいたせいか、弓術スキルを覚えた。剣術スキルを覚えるのにあんなに苦労したのに、弓術スキルはあっさりと覚えた。俺は剣より弓のほうが才能があるのだろうか?


 保管場所に移動しリヤカーに鉱石を積み込みゲートに戻る。


 鉱石の引き取りに来た葛城さんに、コンパウンドボウが欲しいことを伝える。


「弓を使う気なの? 難しいわよ?」


「今日、弓を使って遊んでいたら弓術スキルを覚えました」


「にゃ~」


「や、やるわね……」




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