130.駄菓子屋の懸念
「にゃんだかにゃ……」
なんかマーブルが不満げな顔をしている。なんだ?
「普通は男のあきっちがパワータイプで、女のさらっちがテクニックタイプじゃにゃいのか?」
それは、男女差別でセクハラだぞマーブル。それに、はにわくんがタンク、沙羅がアタッカー、俺がオールラウンダー、小太郎がサポーター、お馬さんはポーターととてもいいパーティー編成となっている。どこに問題がある?
「ないんだけどにゃ。あきっち、影がうすいにゃ」
い、いや、それを言っちゃう? マーブルさんや。
沙羅は美人、小太郎可愛い、はにわくんとお馬さんは存在自体が不思議。その中での俺の存在なんて、自分で言って悲しいけどモブに等しいよ。いや、俺だけじゃない! たいていの奴がこの中ではモブだぞ!
「まあ、あきっちが納得してるならいいにゃ」
納得しているわけじゃないが、こればかりはどうしようもないだろう? 俺がもっと強くなって存在感を出すしかないのだ! たぶん……。
沙羅は苦笑いだ。そこはなにか言ってほしい……。
休憩を挟みファルスドラゴンを三体狩ったところで本日は終了。
ファルスドラゴンは猿猴捉月が効く、夢月は効かず宵闇はたまに効くくらいだ。一対一ではまだ手こずるが、二体一なら余裕だ、猿猴捉月の混乱が効けばもう負ける要素がないくらいだ。
レイダーギルドに行きファルスドラゴンの素材を防具の依頼品として納品。剣の素材になるソードマンティスの鎌は、それに該当する依頼がなかった。持っていてもしょうがないので売却。
オークは常時お肉の依頼が出ているらしく、俺たちが食べる分プラスαを残して納品した。ウハウハな金額だ。
オークのお肉を食べてみたいとマーブルに言ったところ、ぱっちょんの所で焼いてもらおうということになった。
「あらあら。オーク肉ね。私頑張っちゃうわよ!」
ぱっちょんの奥さんであるプルーネさんが久しぶりのオーク肉ということで、腕を振るってくれるという。
「マーブル、もう店を閉めるころだ、プッカとエリンも呼んで来い」
「わかったにゃ」
みんなで楽しく夕食を頂いた。オーク肉はステーキとシチュー。とても柔らかく臭みのまったくないお肉だった。これなら、しゃぶしゃぶなどでも美味しく頂けるだろう。一口食べたら忌避感なんて吹き飛んだね。
それから、体の線が細いエルフのエリンさん、とんでもない大食いだった……人は見かけによらないの典型的なタイプ。そしてこの世界のエルフは普通にお肉を食べるようだ。
「姉さん、お菓子の屋台の件だけどどうしようか?」
「院長さんはなんて言ってたにゃ?」
「やりたいという子はいるみたいだけど、子どもだけでやらせるのには不安があるって」
だよねぇ。今までは町のおこちゃまたちを相手にしていたから問題はなかったけど、大人が相手になると子どもだけでは不安がある。
かといって、屋台を大人に任せると雇用代がかかりすぎて品の価格を上げないとやっていけなくなる。
「あきっち、どうしたらいいと思うにゃ?」
「そうだねぇ。大人と子どもで売り場を分けるしかないだろうね。プッカの店の空いてるところに駄菓子コーナーを作って屋台より少し割り増しで売るしかないと思う」
「屋台のほうはどうするつもり? 向こうが安くて、こっちが高いと向こうにしか行かないと思うよ?」
沙羅の言うことは当然だな。だから、線引きはしっかりとする。
「屋台は慈善事業というところを明確にする。例えば子ども以外は募金箱に一定額募金しないと買えないとか」
「子どもと大人の判断はどうするの?」
「そこは各々の良心に頼るしかないかな。だけど、後ろにいるのがマーブル商会だとはっきりわかるようにすることと、更にマーブル商会は王家のお墨付きをもらっていることを明確にしたほうがいいね」
今度王宮に納品に行った時に話をしてみよう。慈善事業なら王家の株も上がる、文句は言わないだろ。
「王家の了解をもらうまではこのままかな」
「しょうがないにゃ」
来週には品物が全て揃う予定だ。
日曜は沙羅が習い事があるので、ギルドの迷宮に行くことにした。
「なにかあったんですか? 葛城さん」
「あったもなにも、来年から
なんだ、そのことか。事前に聞いていたので驚きはない。どうやら、来年度からの開校らしい。でも、急だな。講師陣はともかくとして、生徒は集まるのか?
「今日からネット広告が出てるそうよ。高校や大学職安の求人にも出すらしいわ。
「にゃ~」
「コタちゃんもそう思うのね!」
違います。今のは
俺もいつものアールグレイを
味と深い香りを楽しんだら出発だ。
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