129.カマキリとトカゲ
途中からオーク二体が現れるようになったが、沙羅とはにわくんの連携がいいことから苦戦せずに倒している。この二人? は戦闘マニアだけに気が合うようで、俺と組むより連携がスムーズだ。
俺はマップ描きと補助に専念。悔しくなんかないんだからな!
オークは夢月がよく効くことがわかってからは狩りが作業になった。
結局、宝箱は見つからず二階層に移動。
そして二階層ではソードマンティスと遭遇。でかいカマキリだ。正直、虫は得意じゃない。
沙羅は平気のようだ。Gもパァーン! と叩けるのだろうか? 俺は無理……。
ソードマンティスの両手の鎌は、構えてから獲物を狙う動きがもの凄く素早い。鎌が動き始めてから躱すのは至難の業。なんとか目で追えるほどの速さだ。
だが、沙羅がはにわくんを何度か犠牲にして、攻略法を発見。ソードマンティスが攻撃する時は必ず構えるのだ。そして、なぜか途中で止めることができないことを発見。この発見までにはにわくんは五度ほどバラバラに砕けている。南無。
しかし、これがわかれば狩りは簡単。あえて、構えさせ攻撃範囲から出て、相手が攻撃してきたところを回り込んで攻撃すればいいのだ。
偶に飛んで攻撃してくることもあるが、猿猴捉月が効きやすいので混乱させても倒しやすい。混乱しすぎて暴れ回ることがあるが……。
お昼休憩を挟んで三階層に挑む。
三階層はファルスドラゴン。名前のとおり、西洋ドラゴンの姿というより大きなトカゲだな。火は吐かないが、力と防御力が高い大トカゲだ。
小手先技を使わず真っ向勝負で狩ってこそ、立派な中級レイダーなんだそうだ。
沙羅とはにわくんはやる気を漲らせている。戦闘マニアはそういうの好きだよね……。
沙羅が前に出てファルスドラゴンと向かい合う。一人で戦うらしい。
ファルスドラゴンが小走りで移動してきて、沙羅にに硬そうな尾が振るわれる。沙羅もそれに合わせて剣を振るう。今までモンスターを斬り裂いてきた剣が初めてぶつかり合い打ち返され、沙羅が踏ん張りながらも後方に押し戻される。
「さらっち! ファルスドラゴンは尾が一番硬いにゃ!」
「わかった!」
ファルスドラゴンはそれほど動きが素早いわけではなさそう。真っ直ぐ走るのは速いが、小回りが利かない。沙羅もそれに気が付いたようで、ファルスドラゴンの突進を躱し向きを変えるのに、あたふたしている間に剣を振るうとぼとりと頭が落ちた。
「ふぅ。真っ向勝負はまだきついかなぁ」
いやいや、沙羅さん。勘違いしてません? 今ので十分でしょう?
「はにゃ~!」
今度ははにわくんの番のようだ。
ファルスドラゴンが現れると、はにわくんも一人で前に出る。ファルスドラゴンと睨み合いになった。先に仕掛けたのははにわくん。
強烈な一撃がファルスドラゴンを襲う。六角棒と尾がぶつかり合いファルスドラゴンの尾が打ち負ける。パワーははにわくんが上だ。
はにわくんが六角棒を振り下ろしファルスドラゴンにダメージをあたえるがファルスドラゴンもやられていてばかりではなく、がら空きのはにわくんの足を尾が襲う。
ベキッと嫌な音がしたな。はにわくんの左足にひびが入っている。もう何度か攻撃を受けたら壊れるな。さあ、どうする?
両者どうやら真っ向からの殴り合いを選んだようだ。はにわくんはファルスドラゴンの頭狙い。ファルスドラゴンははにわくんの足狙い。
ファルスドラゴンの頭は尾の次に硬い場所なんだそうだ。そこを六角棒で叩きまくる。ファルスドラゴンの尾は左足だけではなく右足も攻撃。所詮、トカゲ頭なのだろう。一ヵ所を集中で狙えば勝ったのはファルスドラゴンだったろうに……。
はにわくんの強烈な一撃を頭に受け、ファルスドラゴンの目から光が失われていく。
「はにゃ~!」
と勝利の雄叫びを上げこちらを振り向くが、ガシャーンと両足が砕ける。うつ伏せでバタバタしている。
「「「……」」」
限界だったんだね……。
一度戻して再召喚。
「はにゃ……」
さすがに勝ったとはいえ、満足いく戦いではなかったと感じているのだろう。勝ったけど痛み分けってところか。
それじゃあ、次は俺だな
ファルスドラゴンが現れたので前に出る。偽物ドラゴンとはいえ、威圧感が半端ない。
刀を鞘から抜き対峙、刀は下げたまま。
なぜか、正眼に構えたほうが隙が多いことに最近気づいた。正眼の構えからだと上段からの斬り下げにしても、下段からの斬り上げにしても、一度構えを変えないといけない。
これは隙なのだ。攻撃するのに振り上げる、刀を下すという一工程が増えるということ。上段に構えていると疲れるので、必然的に下段の構えになった。まあ、これもTPOに合わせてだけどね。突きを狙うなら正眼の構えがいいに決まっている。
特にこのファルスドラゴンは重心が低い。そのため、斬り上げのほうが隙がなくなる。
突進してきたファルスドラゴンを躱すが、急ブレーキをかけ尾が俺に向かってくる。
なんで俺の時だけ違う動きをするんだよ! 目の前をブォーンと尾が通り過ぎる。当たったらただじゃすまないな。沙羅の使う氷結の魔剣と違って、俺の刀では受けたら折れるだろう。あれを受け流すなんて高等技術は俺にはない。
何度か躱していると、たいして脅威ではないことがわかってくる。勢いをつけるのに必ず反対側に一度軽く振る予備動作があるのがわかった。注意が必要なのは予備動作のない噛みつき攻撃だけだ。
そうとわかれば後は簡単、噛みつかれないように正面は避け、横に回り込み尾だけに注意する。予備動作に入ったところで尾の根元を斬りつける。三度繰り返せば尾が切れ落ちた。
最大攻撃を失ったトカゲなどもう敵ではない。首を落として回収。
まあ、こんなものだろう。
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