128.DTキラー

 大学で学祭があったが俺はサークルなどには参加してないし、たいして興味もないのでスルー。


 学祭で恒例の大学クイーンを決めるコンテストがあったらしい。美人コンテストは女性差別と言われる今日こんにちによくやるな。


 クイーンは四年の経済学部の人に決まったみたいだ。学生だがモデルもしている才媛らしい。しかし、工学部の友人が見せてくれた裏大学クイーンコンテストという、本来のコンテストに参加していない女生徒も含めた投票では三位だった。


 沙羅は二位、さすがだ。清楚系美人。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花を地でいく女性だ。ただし、戦う姿は軍神だがな。


 ちなみに一位は俺は知らないが、地下アイドルをしている有名人らしい。


 土曜日は予定どおり竜の大回廊に挑戦。


 一階層に入るとすぐにモンスターに遭遇。巨大な豚が二足歩行で歩いている。武器を持っているのになぜか裸だ。あそこも丸見えで恐ろしく巨大だ。もげちまえ!


 沙羅はキャーキャー言いながらも、オークの攻撃を躱し剣を一閃。真っ二つだ……。


「あきっち! 回収にゃ! 美味しいお肉にゃ!」


 これを食べるのか? モンスターとはいえ二足歩行の人型だ。正直、忌避してしまう。回収はするけどね。


 それよりオークはファングベアーと同等とマーブルが言っていたが、沙羅はあっさり倒した。どういうことだ?


「オークは単体ではそこまで強くないにゃ。でも、数が増えると厄介なのにゃ。ファングベアーより知恵がある分狡賢いにゃ。それににゃ……」


 マーブルが珍しく口籠もる。


「オークは女の敵なのにゃ。オークは性欲が強いのにゃ。戦えば戦うほど性欲が高まって、見境がなくなるにゃ……」


 意外とラノベの知識って侮れないな。よくラノベに出てくるオークの情報と近い。違うところは女のオークがちゃんといることと、種族が違うから生殖はしない。たんに性欲を発散するだけらしい。


 もちろん女のオークもだ。女のオークは相手を殺さず襲うだけ(性的に)、特に若い男を襲いDTキラーとも呼ばれているらしい。恐ろしい……。十分に男の敵でもあると思う。


 それはさておき、オークは武器を持っていた。これは俺に奪えということか?


「あきっち、何を考えているにゃ?」


「オークの武器を奪おうかと」


「あきっちは無知だにゃ~。モンスターを倒しても素材しかドロップしないにゃ!」


 そうか、マーブルには武器を奪うところを見せたことがなかったな。


「ふっ……マーブルくん、君は駄菓子のチョコより甘いのだよ」


 沙羅も苦笑いしながらも頷いている。


「にゃんか知らにゃいが、あきっちが凄い自信だにゃ」


 ということで、次の獲物を探す。マップはマーブルが前に来た時に作ったものがあるので、下の階層に続く場所はわかっている。なので、マップ埋めのために別ルートで進む。


 運がいいと宝箱があるらしい。低階層なので見つかってもたいした物は入ってないらしいが、それはそれで面白い。


 そして、おあつらえ向きの単体の大剣を担いだオークと遭遇。股の下にあれがないから女のオークだろう。少し目つきが怖いんですけど……もしかして狙われている?


 先陣ははにわくん。六角棒でオークの大剣を受ける。俺は刀に氣をのせ、はにわくんの後ろからオークの横に出て、オークの手首を斬り落とす。


 素早く刀を納刀して、はにわくんがオークを突き飛ばした隙に大剣を拾い斬りぃ……お、重い。


 そりゃそうだ、二メートルはあろうかというオークが持つ大剣、軽いわけがない。


「宵月」


 なんとか振り上げ……殺さないでと懇願するようなウルウル目をした女オークの首を刎ねる。


 やりにくい。知恵がある分感情や表情も豊のようだ。


「あきっち、情けは無用にゃ! そいつらはモンスターにゃ」


 そうだな、そう割り切るのが一番だ。もしマギとして現れたらその時に考えよう。


 オークを回収して、大剣をマーブルに見せる。


「……」


 目が点(・_・;)。フリーズ状態だな。


 ●オークの大剣 品質 高 斬撃特性+60 突き特性+50 打撃特性+120 耐久600/600


 俺の持つ刀より格段に上だ。使っていないが興亜一心刀より性能がいい。だけど、重くて使えない。


 ●クロムモリブデン鋼の六角棒 品質 良 打撃特性+110 耐久1000/1000


 はにわくんの武器と同等だな。予備武器として……いや、こちらを主力のほうがいいかな? タダだから壊れても惜しくない。


「はにゃ~」


 一度戻して再召喚。


「はにゃ~!」


 大剣を掲げて登場。強そうだ。沙羅がおぉーとパチパチと手を叩いて囃し立てる。


「はっ! 夢かにゃ? 痛いにゃ……夢じゃないにゃ」


 お馬さんの上で一人漫才のマーブル。フリーズ解除されたようだ。


「あきっち! どう、やたにゃ! 誰にでもできるかにゃ!」


 やり方を教える。


「そ、そんな方法があったにゃんて……」


「慣れれば簡単。二人でやれば更に簡単。性能は落ちるかもしれないけど」


「嘘だからね、マーブル。アキくんだから簡単にやるけど、凄く難しいからね!」


 そんなことはないと思うぞ? ジミーたちなんかは俺より上手くやってたぞ?


「あの人たちは超が付く上級者でしょう!」


「あきっち。これをハンターギルドに報告するにゃ。そうすれば、歴史に名が残るにゃ。報奨金もウハウハにゃ!」


 歴史に名を残す云々はどうでもいいが、報奨金がウハウハかぁ……欲しい!!


「ギルドに報告にゃ!」


 そのため用にもう一本武器が欲しいとのこと。


 ●オークの剣 品質 高 斬撃特性+45 突き特性+40 打撃特性+70 耐久400/400 毒


 大剣の下位互換だな。剣だが俺にとってはこの大きさが大剣だ。そして、この剣、毒付だ。毒が塗られているのか、この剣自体にその能力があるのかまではわからない。


 取りあえず、証拠の品は手に入ったので先に進もう。






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