124.購入依頼
「どのくらい武器を仕入れられるかね?」
「各国に支店を作ってもらえるよう交渉中です。そこで集める予定です。職人に作製依頼を出すつもりでもいます。それが上手くいけば、それなりには集められるのではと」
「防具はどうだね?」
「いいものは完全オーダーメイドなので厳しいですね。中古品かオーダーして作ってもらい、こちらの世界でサイズ合わせをするしかないと思います」
このあいだ手に入れた火喰い鳥の鎧を出して見せる。
俺が装備しているファングベアーの革鎧は特注品ではなく量産品なので、サイズ調整できるバンド式で造られている。
それに対して火喰い鳥の鎧は金具でのロック式でサイズ調整は付いていない。
試しに忠道さんが装着してみると、鎧が大きくガボガボ。オーダーメイド品なんだとよくわかる。
それにしても、忠道さんは身長も高く体格もがっしりしているのに鎧のほうがかなりでかい。この鎧を着ていた人はムキムキマッチョだったんだろうな。
「この鎧を手直しするにしても、相当な技量が必要でしょう。こちらで直せるか微妙ですね」
「この鎧はどのくらいの性能なんだね?」
「前に見せた今私が使っている鎧の倍以上の性能です。火属性付きで火の攻撃を防ぐ代わりに、水氷の攻撃に弱いというのがありますが……」
「こちらの世界の鎧と比べてみないと、よくわからないね」
そう言うので、沙羅のチタン合金製具足とファングベアーの革鎧と火喰い鳥の鎧の性能を、数値化したものを紙に書いて見せる
「なるほど。凄い性能だな。だが、どうやって調べたんだね」
向こうの世界で鑑定してもらったと誤魔化す。鑑定ができるのは絶対に秘密だ。
そして、沙羅のチタン合金製具足はやはりかなりの逸品らしい。それを大幅に上回るファングベアーの革鎧と火喰い鳥の鎧は規格外と言っていいほどの良品ということだ。
「欲しいですね」
「量産品でもかなりの性能だ。
「このことを上層部に上げて圧力をかけましょうか? そうすれば、こちらの味方が増えると思いますが」
「最悪の場合そうなるだろう。だが、まずは相手の出方を見てからだ」
自衛隊を巻き込む作戦か。クーデターなんてないよね? ないよね?
「十六夜くんは量産品でいいので、君の装備している防具クラスの物をできるだけ集めてほしい。忠道から貴子様には伝えておく」
「期間は?」
「できれば早いほうがいい。君が政治家たちと話し合いを持つ前に実績を作りたい」
なるほど、自衛隊とはもう取引してんだぞ! ごらぁ! てことになるのか。いいアシストになりそうだ。多少高くついても、早めに集めよう。
その後は、普通に楽しくお酒を飲んだ。何か面白い品はないのかと聞かれたので、岩切丸と耐魔の腕輪を出して見せた。
「戦斧だね……さすがに隊員でも使っている者はいないね」
「でも、性能はいいみたいだね。忠道が使ってみればいいんじゃないか」
「そんな父さんにお譲りしますよ」
「私はもう前線に出ることないよ。じゃあ、紗耶香はどうだい?」
「二億円もする武器を使う勇気はありません」
普通なら俺もそう思うだろうな。でもこちらでは二億でも向こうの価値ではそこまでしない。実際の仕入れ値は一千万くらいかな。まあ、それでも高価だけどね。
「そう言えば、炎の魔剣の性能試験をしたんですよね? 灰神楽って剣の固有技があるみたいですがどうでした?」
「「「「!?」」」」
沙羅の持つ氷結の魔剣にも絶対零度という剣の固有技があるが、まだ試したことがない。灰神楽はどうなんだ? ってか、気づいていなかったようだな。鑑定してもらったと聞いていたんだが?
「そんなものがあるのか?」
「鑑定結果には書かれていませんでしたな」
「ということは水流の魔剣にもあるのか?」
「どうなのよ! アキくん!」
「水流の魔剣になかったと思います……」
「そうなのね。わかったわ。すぐに調べさせましょう」
鑑定で出なかったのだろうか? それにどういう風に見えるのだろうか? 興味があるな。
「剣固有の技まであるのか……」
「ますます、価値と需要が上がりそうですな」
価値と需要が上がるのは万々歳だ。どんどん上がれ! ウハウハだ!
「そしてこれが相手の理力攻撃を二割減の代わりに、自分の理力攻撃が四割減かね……装備するか迷うな」
確かに装備するか迷う品だ。俺みたいにアビリティーを多用する人は装備はしないだろうな。
アクセサリーに効果が付与されたものは、意外とこんな感じに何かしらの良い効果が付与されていても大抵、負の効果が付いてくる。良い効果だけが付与されたアイテムは非常に高価だ。良い効果だけを付与するのは難しく熟練した職人じゃないと作れないのだろう。
この手のアイテムも探すように頼んでみるか? 思わぬ値打ち物が見つかる可能性もあるからな。
忙しくなりそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます