119.所有権
物欲センサーが効きすぎるせいで、現れるのはゴブリン弓士ばかり。
だが、はにわくんを盾に近づけば、あっけなく倒せる。奪った武器は当たり前だが弓。和弓ではなく西洋弓だ。正直、玩具だ。でもこれで射られ当たれば怪我をする。飛び道具、恐るべし。
その後、物欲センサーが下火になってきて、ゴブリン剣士を数体倒し短剣、小剣を手に入れる。ほかには斧士と槍士が出てきた。だんだんRPGっぽくなってきた。手応えはまったくない。天邪鬼と同じくらいの強さだと思う。
マッピングしながら先に進むと、無手のゴブリンが出てきた。なんだ武器持ってないのかよ。はにわくん、やっておしまいなさい!
「はにゃ~」
はにわくんがゴブリンに向かっていくと、ゴブリンがはにわくんに手を向けグキャグキャ騒ぎだす。と思ったら、ゴブリンの手から火の玉が飛び出し、はにわくんが火に包まれる。
「はにゃ~?」
俺的にはびっくりしたが、はにわくん的にはダメージがないようだ。埴輪は土を焼いて作るものだから、はにわくんは火に強い。
「にゃ~」
はにわくんの頭上から水が降ってきて鎮火。
小太郎か? それよりゴブリンを倒そう。火を出す以外何もできないようで、倒すのは簡単だった。
小太郎を残月で見ると雫というのが増えている。試しに空いていたペットボトルに水を出してもらい、残月で見る。超純水と出た。半導体工場で働けるぞ! 小太郎! 試しに飲んでみると美味しくない……。飲むとしたら非常用だな。
しかし、ゴブリンが魔法? 理力? を使ってきた。今度はちゃんと残月を使って確認してみよう。
これは今までの
しかし、俺ははにわくんとは違いバットを持っていないので打ち返せない。刀で斬るか? 棟で打ち返してみるか? どちらにしても耐久値が減りそうだな。チャンスがあったら、一度試してみよう
そういえば、ふと思い出したことがある。マーブルは言っていた。
ゴブリン剣士が現れたので、剣を奪ってから止めを刺し消える前に自由空間に入れてみた。入ったような気がする。
出してみた。ただの屍のようだ……。
時間が経っても消えないね。持ち帰って貴子様に渡してみるか? 研究に使えるんじゃないか? というより珍しいから売れるか!? 剥製にすればウハウハか!?
これは集めねばならぬ。と言ってももう時間だ。
ゴブリンを数体自由空間に回収し、帰りに遭遇した餓鬼と邪鬼も回収した。
「集めたわねぇ……」
「買取りしてもらえます?」
「武器としては無理じゃない? 古墳時代じゃないんだから青銅製の武器なんて使う人いないわよ」
ですよねー。
「でも金属としてなら買い取れるんじゃないかしら? 銅ってキロ五百円くらいしたはずよ?」
「錫も高いですよね?」
「そうね。キロ千六百円くらいかしら? でも、青銅に含まれる錫の量なんてたいしてないわよ?」
オーマイガー! でも、これ百キロ近くあるよな? 最低でも五万円にはなるはずだ。まあ、いいか。買取をお願いして帰った。
月曜日、ショウさんに貴子様とのアポを頼む。
「急ぐのか?」
「そうですね。生ものなので早いほうがいいと思います」
「土産ものか?」
「そんなものです。喜んでくれると思いますよ」
「ず~る~い~! 私もほし~い~」
沙羅がもらっても嬉しくないと思います。
「わかった連絡を取ってみる」
その日の帰りに会ってくれることになった。
「それで、お土産ってなに? 凄い武器でも見つかった?」
「ちょっとここでは出せませんね」
いつもの執務室だから、汚れないとは思うけど出さないほうがいいだろう。
「わかったわ。いつもの部屋を用意するわ」
「段ボールか大きなビニールシートがほしいです」
「???……いいわ、言っておく」
内線をで秘書さんを呼び指示を出し、いつもの会議室に移動。
ぞろぞろと、いつもの貴子様の部下が集まってくる。会議テーブルを退かして、段ボールを敷いて、その上に大きなビニールシートが敷かれる。
「生ものじゃないわよね?」
「生もの……になるのかな?」
小太郎にゴブリン一体を出してもらう。
「「「キャ、キャー!」」」
会議室に絶叫が響き渡る。死んでますよ? そんなに驚くことか? 秘書さんはともかく、貴子様は特対室の室長でしょう?
そして沙羅さん、あなた貴子様になに抱きついているんですか?、いつも嬉々として斬り捨て御免しているじゃないですか。いったい何に驚いているんでしょうね?
逆に俺が驚きだよ!
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