118.人工ダンジョン五階層

 疾風の槍と戦斧の岩切丸はなかなかの性能。ただ、岩切丸はでかくて重い。使い手を選ぶ武器だ。


 耐魔の腕輪と火喰い鳥の鎧は一長一短だがこれも高性能。耐魔の腕輪は理力を使わない探究者シーカーは喉から手が出る代物だろう。火喰い鳥の鎧は火に強いが水には弱い。ゲームでの火山装備だな。需要はあるだろうか?


 収納袋(小)これはヤバい。貴子様に提出するか迷う品だ。異界アンダーワールドの外でも使えるとしたら、青タヌキの四次元ポケットが現実になる。犯罪し放題だ。自由空間持ちの俺が言うのもなんだが。


 死者の魔導書は違う意味でヤバそう。これは使うのに勇気がいるな。どんな対価を払わせられるかが不安。おそらく、死霊魔法みたいな魔法が使えるようになると思う。ネクロマンサーだな。


 ちなみに一番値段が張ったのは収納袋(小)。残りの品が二セット買える値段だ。


 収納袋(小)を沙羅に渡す。


「いいの?」


「これを向こうの人間に渡すのは危険すぎるからね」


「そ、そうだね……」


 いくら金を積んでも欲しがるものだ。公表したら、下手をすれば殺し合いが起きる。悪人に渡ったら目も当てられない。貴子様のことはある程度信用はしているが、日本の政治家どものことはまったく信用ができないかからな。


 沙羅もそういうことを想像したようで、苦い顔をしている。



 待ち合わせ時間まで、まだまだ時間がある。一旦、俺たちは人工ダンジョンに戻り人工ダンジョンの探索をすることにした。着替えを済ませ前回の途中、地下四階に転移で移動。


「便利だねぇ」


「はにゃ~」


「ヒヒィ~ン」


「にゃ~」


 はにわくんとお馬くんは沙羅に抱き着かれて、嬉しそうに見える。そんなお馬くんにリヤカーをセッティングして出発。小太郎がお昼寝台に飛び移って、欠伸をして丸くなり寝てしまう。まあ、このメンバーならこの人工ダンジョンではオーバーキルだから、小太郎の出番はない。


 沙羅はいつもの薙刀ではなく、氷結の魔剣を装備したようだ。日本の甲冑に西洋剣アンマッチだ。


 出てくる怪異モンスターはゴブリン。沙羅にとっては初めての怪異モンスター。なのだが、武器を持つと戦神に変わる沙羅の前では無力。元々雑魚だが、武器の性能もあり一刀両断。


「手に斬った感覚が残らない!」


 沙羅が斬った後、怪異モンスターの体にある斬り口が凍りついていた。これはヤバい代物だ。


 そして沙羅の無双が始まる。俺とはにわくんは見てるだけ。俺はマッピングしてるからいいけど、はにわくんは恨めしそうに俺を見る。自分で沙羅に言いなさい。近寄れるならだけど。


「はにゃ……」


 遭遇した怪異モンスターは沙羅が瞬殺。下に続く道を探していると、こん棒を持ったゴブリンが現れる。武器持ちも現れたか、これは楽しくなってきた。こん棒はいらないけど。


 沙羅はゴブリンが武器を持っていようが関係なく、こん棒ごと粘土でも斬るように真っ二つ。俺もはにわくんも手を出す隙がない。何せ一振りで終わるからだ


 武器持ちが落とすドロップアイテムも腰巻。沙羅が興味があったのか近寄ってその臭いに反応して、魔導書を召喚して炎弾を放って焼却したのはお約束?


 怪異モンスターの強さはたいしたことがなかったが、それでもストレス発散したのか終始いい笑顔だった。待ち合わせ時間になり保管場所に戻った時に、


「なんかいいことあったにゃ?」


 とマーブルに聞かれたくらいだ。



 日曜日、今日は久しぶりに一人で異界アンダーワールドに来て人工ダンジョンにいる。


 武器持ちのゴブリンから武器を奪っても、錆びた○○系しか出てこない。


 怪異モンスターは、はにわくんに任せてマッピングしながら五階層に続く道を探す。小太郎はお馬くんが引くリヤカーの上で丸くなって寝ている。


 一時間ほど未探索の部分を探すと見つけた! 下の階層に下りる道だ。


 さっそく降りていく。武器を持ったゴブリンが現れた。上の階のゴブリンより幾分体が大きいか? 


 ゴブリン剣士 ゴブリンの上位種 剣の扱いに長けたゴブリン


 上位種だ。はにわくん、やってみなさい。


「はにゃ~」


 気合を入れて向かって行ったのはいいが、魔改造バット一振りで終わったせいで強いのか、弱いのか、わからない……。どうだった?


「はにゃ~?」


 はにわくんもわからないようだな。


 なら、武器を奪ってみよう。


 今度も現われたのはゴブリン剣士が一体だ。はにわくんが武器を持つ手を魔改造バットで叩きつけ、落とした七十センチほどの両刃の剣を拾いゴブリン剣士の首を刎ねる。 


 残った武器は青銅の幅広剣ブロードソード。性能は低い。青銅となっているが色はくすんだ金色に近い。教科書などで見る青緑色じゃないいんだな。


 売れるかな? 錆びたシリーズよりはいいよな?


 取りあえず、リヤカーに確保喫茶店ギルドで査定してもらおう。武器の価値がなくても金属として高く買ってもらえるかも。銅と錫って素材としてはかなり高かったはずだ。


 よし、そうと決まれば集めよう!


 と思ったら次のゴブリンは弓士。急に矢が飛んできてびっくりした。はにわくんが前にいたのでことなきを得た。当たっていたら怪我をしていただろうな。


 面倒だが常時気配遮断を心掛けることにしよう。はにわくんは囮役だ。



 それにしても、俺の物欲センサーは性能が良すぎないか?






サポーター専用ですがにゃ。

スメラミクニラビリンスBADENDバージョン

載せていますにゃ。

よかったら覗いてくださいにゃ。

プロットから急遽書いたものなので誤字脱字は勘弁してにゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る