112.帰国
今日は日本に帰る日だ。たったの四日間だったけど、とても濃い旅行だった。まだ、終わってないけどね。
飛行機は午後出発なので、午前中は買い物。加奈ちゃんたちへのお土産を買わねばならぬ。月読様には毎日台湾のお菓子を奉納しているので。あえて買う気はない。屋台の食べ物もいっぱい奉納しているから必要ないだろうと思っている。
取りあえず、帰る準備はしておく。沙羅と紗耶香さんの荷物が大変なことになっている。ジミーが日本に送ってくれると言うが、自由空間に全部しまった。ジミーたちが固まって動かない。
あっ、やっちまった……。
もちろん、説明させられる。沙羅やショウさん、紗耶香さんまで参加だ。沙羅やショウさんは小太朗の自由空間については知っているが、まさか俺も使えるとは思っていなかった。
ジミーたちは異界以外でスキルが使えることに唖然。
「これだから日本人はチートなんだよ!」
などと理不尽な暴言を吐かれる。ジンだって半分日本人の血が入ってるだろうが!
ジミーたちには覚えられるかはわからないけど、時間がかかるが教えることはできるというと、次に日本に行った時に教えるということになった。
沙羅も覚えたいというので、今度教える。苦行だぞ。
「じゃあ、アキくんとコタちゃんもいるから、気兼ねなく買い物ができるね」
「にゃ~」
などと宣う、呑気なお嬢様。まだ、買うんですか? 買うんですね……。
飛行機の出発まで目一杯買い物をする女性陣。リンちゃんたちは別に買わなくてもいいと思うのだが、一緒になって買い物。
それにしてもショウさんはずっとこの買い物に付き合っていたのか……凄い精神力だ。間違いなく、あの苦行に耐えれると思う。
さて、俺もお土産を選んでいく。加奈ちゃんと葛城さんには台湾名物パイナップルケーキ。とても美味しそうだ。大家さんとギルド長には台湾茶。香りがいいので俺も気に入っている。
一応、貴子様に酒糀という香りのいい酒粕のような調味料を買った。あとは自分用と誰に渡してもいいように台湾ビールを箱でいくつか買い込む。結構な量だがトイレで自由空間にしまう。あら不思議、手ぶらになった。
お昼はみんなで軽く飲茶をしてから空港に。
小太郎と女性陣が別れを惜しみ離してくれないが、無理やり引きはがしみんなの荷物と一緒に自由空間に送る。凄いブーイングだ……。
「ちゃん修練しろよ。それから、風老師によろしくな」
「まあ、近いうちに老師の所に俺たちも行くけどな」
「世話になったね。ありがとう」
「気にするな。感謝は必要ない。俺たちは家族だからな」
ジミーとジンと拳を合わせる。名残惜しいが出発の時間だ。
何事もなく飛行機が着陸。空港には天水家の車がお出迎え。ショウさんとは空港で解散。沙羅の家で荷物を出し、お茶を一杯頂いてからすぐに帰る。
沙羅の母と祖母が婚前旅行はどうだったとか、ハネムーンベイビーは期待していいのかしらとか聞いてくるからだ。婚前旅行でもハネムーンでもないですから! まして、ハネムーンベイビーなんて……そんな雰囲気も暇もなかったよ。悲しいけど……。
そういえば、マーブルは縁側で座布団の上で大の字で寝ていた……。完全にケット・シーをやめて家猫になったようだ。完全に堕落して、ダークサイドに堕ちたな。
下宿先に帰り加奈ちゃんにお土産を渡すと喜んでくれたが、どちらかというと小太郎と再会したほうが嬉しそうだった。まあ、いいけどね。
次の日、大学帰りにギルドに行きお土産を置いてくる。
「いいわねぇ。大学生は休みが多くて。彼女と旅行? 私に喧嘩を売ってるの? 私の味方はコタちゃんだけよ!」
「にゃ~」
小太郎をモフる葛城さん、だいぶお疲れのようだ。最近僻み癖がついている。そんなに、
土曜日に横浜の風老師の元に行き拝礼。正式に弟子となることになった。しかし、形だけでいいと言われる。俺は俺なりの戦い方があるだろうから、無理に逍遥派の技を覚える必要はないと言われ、暇なときに遊びに来なさいとだけ言われた。
帰りに一度だけ組手の相手をしてくれたが、やはり手も足も出なかった……。風師父には見違えたと褒められたけど、なんとも微妙
日曜は事前にアポ取りしていた貴子様の所に沙羅と行き、お土産を渡すと喜ばれる。
「十六夜くんにしてはセンスのいいお土産ね。本場の酒釀湯圓が楽しめるわ」
しては、とはどういう意味でしょうか? ちょっと引っかかる言い方だ。
沙羅もお土産を貴子様に渡して、キャッキャウフフとしばらく雑談が続き、やっと本題に入る。
今回の旅行はショウさんから全て報告が上がっているようで、裏も全部取っているようだ。貴子様は報告書を持ち出し見ながら、こちらからの説明は必要ないと言う。
「沙羅ちゃんと紗耶香ちゃんは完全な旅行ね。羨ましいわ。問題は十六夜くんね。まさかあなたが華僑と繋がりがあるなんて盲点だったわ……」
なにか問題でも?
「はぁ……」
だからなんなんですか!?
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