103.酸いも甘いも
「重曹を水で溶かしその中に黒ずんだナイフを少しの間漬けて置き、拭き取れば元に戻りますよ。もちろん安全です」
「「「!?」」」
三人の目線が俺を射貫く。沙羅は知っていたようだ。マーブルはなんの話て顔だ。
「商人は情報が命ですから。その液体は我が商会では扱っておりせん。あしからず」
親切のつもりで言ったが藪蛇だったかな? まあいい。こちらも呑気な商人だけではなく、それなりに酸いも甘いも知るんだぞということが示せたろう。
食器は結局、侍従長と料理長が選んだ皿に、この国の紋章を入れることで話がまとまった。カトラリーは蔦が意匠された物と何も意匠されていない物に決まる。各二十セットの注文だ。
相当高額になることは向こうも承知で引き渡しの際に支払うことで合意した。見本で持って来たのはこちらとしても使い道がないので差し上げた。凄い驚きようだったが、この程度で喜んでもらえるなら安いものだ。
今回注文を受けた物は向こうで注文しても、高額になると思う。それでも、利益はウハウハだろう。
そして、案の定料理長から缶詰の注文も入る。フルーツ缶以外にもあるなら見せてほしいというので、サバの水煮缶やスイートコーンやヤングコーン、グリンピースの缶詰、ホールトマトの缶詰を出した。全て味を確認して全て注文。特にホールトマトが気に入ったようだ。
侍従長が残りの支払いをしてくれる。手形と一筆書いた書類をもらう。
「陛下から短剣を授けられたので必要ないと思われましたが、些細ないざこざであればこちらをお使いくだされば大事にならずに解決できるかと」
「ありがとうございますにゃ。そうするにゃ」
帰りに王都の武器屋に寄る。氷結の魔剣、金剛の魔槌の二つを用意していた。さすが王都でも指折りの武器屋だ。
氷結の魔剣 品質 最良 斬撃特性+200 突き特性+190 打撃特性+100 理力特性+150 氷霜属性+180 耐久1800/1800 絶対零度
金剛の魔槌 品質 最良 打撃特性+300 理力特性+70 土石属性+100 耐久4000/4000 武器防具破壊+100
これも凄いの一言。沙羅が氷結の魔剣を見てうっとりとしている。刀身が氷で出来てるかのような美しい剣だ。
「使う?」
「いいの?」
「前に渡した幅広剣と交換ね」
「うん」
商業ギルドと魔術師ギルドとレイダーギルドを訪れ依頼の確認。魔導書を二冊手に入れることができた。依頼は継続してお願いする。
クレストの町の商業ギルドに行き、アディールさんに保存用の紙とガラスペンを渡し注文は後日として、取りあえず使ってみて確認してもらうことにした。
ぱっちょんのお店に行き商品を卸すと、
「マーブル、手紙が届いてるぜ」
ぱっちょんからマーブルに手紙が渡され、マーブルが手紙内容を確認。
「プッカ からにゃ!」
マーブルの弟なのだそうだ。マーブルは六人兄弟姉妹でマーブルは長女、プッカは三男らしい。
「プッカがマーブル商会を手伝ってくれるにゃ!」
弟のプッカが学校を卒業したので手伝ってくれるとのこと。マーブルの家族なら信頼は万全だろう。
「ぱっちょん、プッカを少しの間、鍛えてにゃ」
「任せろ」
「プッカは頭のいい子だからすぐに即戦力になるにゃ! ……そしたら、こっちを任せて、うちはさらっちの家にいられるにゃ~。ゴロゴロし放題にゃ~」
心の声がダダ洩れですよ。マーブルさん……。
魔術師ギルドとレイダーギルドを訪れ依頼を確認すると、一冊魔導書が手に入った。これで四冊目だ。武器のほうは駄目だった。
人工ダンジョンに戻り、鉱石をリヤカーに積んでゲートに戻る。
明日は沙羅はお休み。俺は人工ダンジョンに入り探索かな。
日曜、ギルドに行くと
「
短髪イケメンの自衛隊員さんだ。イケメンだ。なぜイケメンを護衛に寄こす…貴子様! 逆に目立つだろう!
「これから異界に行くのですが、天城三等特尉はどうなされます?」
「私も行こう」
ですよねー。さて、どうするか。人工ダンジョンに連れて行くべきか行かないべきか。できれば、人工ダンジョンの先に進みたいのだが……。どうせこれから当分の間ついて来るのなら、今回教えても同じか。遅いか早いかの違いだ。また、貴子様に何か言われそうだけど、今更だな。
準備を整えゲートを潜る。はにわくんアンドお馬さんおいでませぇ~!
「はにゃ~」
「ヒヒィーン」
「それが君のマギか?」
「いえ、違いますよ。俺の眷属です」
「はにゃ~!」
天城三等特尉は首を傾げているが気にしない。
天城三等特尉の装備は自衛隊装備の上にブレストアーマーを着けている。武器は槍だ。日本の槍ではなく西洋の槍のほうだ。
性能は俺が持つ興亜一心刀より少しいいくらいの性能。その性能がどのくらいなのかはいまだにわかっていない。最近凄い武器を見ているので更にわからなくなっている。
浮気はしないよ?
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