62.講習会の終わり
「マジかよ!」
「アキは干将、莫耶か!?」
「使い放題だが、質はよくないな」
「だが、覚える価値はあるな」
四者四様だな。確かにこの辺の
「それも凄いな」
「集める楽しみもできるな」
「普通に市場に出回っている武器は鋳造品だからな、正直使い捨てだ」
「日本と違って名工と呼ばれる職人がほとんどいないからな。俺たちの剣も日本の金属メーカーに依頼して、造ってもらった特注品だ」
なるほど、俺が手に入れた武器が売れるというのは、こういうことなんだな。
この四人はアメリカ組、フランス組と比べ、いとも簡単に武器強奪を覚えた。武器を持たせても達人だけど、武器を持たなくても武術の達人なので、俺と同じように最初から武器を持たずに
「「「「これは使える!」」」」
頭をわしゃわしゃされ、背中をバンバン叩かれ褒められる。兄弟がいればこんな感じなのかもしれない。
しかし、正直この四人にはもう教えることがない。ないというより、俺より格段に上手い。武器を拾った後も、無駄なく止めを刺しているので、質のいい武器が残る。
そして、見ていて彼らの攻撃に違和感を感じる。
「なんだアキはそんなことも知らないのか?」
「アキは師匠に何を教わってきたんだ」
「
「っていうか、アキは
「四か月……かな?」
「「「「……」」」」
マジかよ……という目で見られる。嘘は言っていない。
「ちゃんと師について学んだのか?」
ジミーがちょっと怒ったように聞いてくる。
「な、ないかな……」
「じゃあ、戦い方は誰に学んだ?」
アレックが呆れたように聞いてくる。
「我流……かな? 格闘の基礎はうさぎ師匠から叩き込まれた」
「うさぎ師匠って誰だよ!」
ニッキー、うさぎ師匠はうさぎ師匠だ。モフモフで料理が上手くて、強いうさぎさんだ。
「日本ではこれが普通なのか? あまりにも無責任だな。なり手が少ないと聞いていたが、これでは当然だ」
ジンがそう言うと、紗耶香さんたちがばつの悪そうな表情になる。
「これは早急に師につかせるべきだな」
「となると、やはり風老師か」
「ジミーのじいちゃんに話をしてもらおうぜ」
「俺、あの老師苦手」
なにやら、勝手に話が進んでいる。
それはいいのだが、この後どうするんだ? 完全に雑談会に変わっている。
そんな感じでダラダラと時間が過ぎていき終了。
今夜は今回この講習会に参加した全員での落ち上げ会。アメリカ組もフランス組も台湾組も明後日に帰国の途に就くからだ。
ちなみに台湾組は明日は休みになり、東京観光に予定が変更になった。もちろん、俺が案内役。
打ち上げ会では今回参加した全員と連絡先を交換。みんな快く交換してくれた。次は観光で来るから案内をしてくれと頼まれた。もちろん、俺も向こうに観光に行ったら案内をしてくれる約束だ。
海外か……本州からも出たことがない俺が海外に行けるのだろうか?
翌日、みんなと別れのあいさつを済ませて、ジミーたちと新幹線で移動。ジミーたちは今日は東京のホテルに一泊して明日帰国することになる。
午前中は家族や恋人へのお土産を買う時間にあて、午後からは相撲を見たいというので、国技館に移動。
残念ながら、小太郎は入ることができないということなので、近くのペットホテルに預ける。許せ、小太郎。変わりにトリミングとリラクゼーションコースをジミーが頼んでくれた。俺の散髪代の数倍の値段だぞ……。
その後、お弁当を食べながら結びの一番まで観戦して楽しんむ。
夕食は前回ジンのリクエストが叶えられなかったので、焼肉。スマホで店を調べて高級焼き肉店を選ぶ。もちろん、小太郎同伴OKの店。
実質お別れ会だが、お互いにしんみりとするのは苦手なので、結局いつもどおり騒いでの食事会。
それでも、別れの時間はやって来る。明日は見送りに行けないのでここで別れだ。
「いいか、無理はするなよ。ちゃんと己を鍛えるんだ」
「まずは師から基礎を学べ」
「力や技だけじゃないからな、心も鍛えろよ」
「俺たちは兄弟だ。何かあれば必ず相談しろ。何があっても駆けつける」
ヤバい。涙が出そうだ。でも、俺たちには涙は似合わない。グッと堪えて笑って見せる。
「哥哥たちもお元気で」
「「「「おう、また会おう」」」」
「にゃ~」
「ハハハッ、お前もな!」
こうして三週間に及んだ武器強奪講習会が終わった。
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