58.チームUSA
「……」
「グ、グレイト……」
「Oh! マジシャン!」
マジシャン? 手品師? いや、魔術師のほうか? ラルフさんだけがつぼに入ったのかバンバン背中を叩かれる。ほかの人は、どちらかというとなんだこいつ? みたいな醒めた目で見てくる。なんで?
「アキくん。ちょっとこっちに来なさい!」
えっ!? 俺なんか悪いことした? みなさんから少し離れた場所に紗耶香さんに連れてこられる。
「アキくん! 今の一連の行動でいくつの力を使ったの!?」
「えぇーと、小太郎のも合わせると五つ……かな?」
「アビリティーなのよね?」
「はい」
「ちなみにいくつ使えるの?」
「俺が八つで小太郎が二つ……かな?」
内容は教える気はない。鑑定できる残月なんて絶対に教えられない。
「成長してるのね……」
「
「にゃ~」
「コタちゃんも成長してるのね。大きくなってないけど」
「にゃっ!?」
みなさんの所に戻ると、俺が手に入れた柳葉刀をみんなで見ている。
「俺がやってみよう」
ビルさんが挑戦するようだ。
今度は餓鬼が武器を持っている。おもむろに胸元から銃を取り出し撃つ。邪鬼の額に穴が開く。続けざまに餓鬼の腕を撃ち抜き、武器を拾って止めを刺す。ちゃんとこん棒が残った。
銃て卑怯じゃないでかぁ?
「じゃあ、次は私ね」
パムさんはオーソドックスなナイフだ。あっさりと武器を持たない餓鬼の首を斬り裂き、邪鬼の腕を斬り落とす。ナイフで腕を斬り落とすってどんだけよ……。
だけど、ナイフをしまい武器を拾うのに手間っている。斬り落とした邪鬼の手が、しっかりと武器を握っているせいでうまくいかないようだ。最後には力業で、邪鬼の腕が握ったままの武器で邪鬼に止めを刺していた。
「これは難しいわ……」
いやいや、凄いと思いますよ。俺なら武器をあきらめて普通に倒すと思う。
「武器は逆にじゃまだな」
ラルフさんは格闘で挑戦。ボクシングスタイルのようだ。軽くジャブをするだけで、空を切る音がする。あれを喰らったら……ん? どこかで見たような? うさぎ師匠?
二体の
「Oops!」
ビルさんゲラゲラと腹を抱えて笑っている。やはり、ここの
自衛隊のみなさんも挑戦するが、結局成功と言えたのは世瀬一等特士のみ。ほかのみなさんは駄目駄目だった。
「武器を拾うというのがねぇ……」
「武器を落とさせるだけなら簡単なんだが……」
「拾うためにいちいち武器をしまうのも面倒だし。かと言って己の武器を捨てるというのも……」
「この辺の弱い
ちなみに世瀬一等特士は格闘スタイル。空手の有段者のようで、手には砂鉄入りのグローブを身に付けているだけなので、武器を拾うのは楽だったようだ。
「みなさんはアビリティーは使わないんですか?」
「「「……」」」
また、紗耶香さんに少し離れた場所に連れて行かれる。なんですか?
「相手の能力を詮索するのはマナー違反よ」
「えっ!? さっき、俺のアビリティーについて聞きましたよね?」
「聞いたけど、強制はしてないわよ? てへぺろ♡」
なんという詭弁……。国民を守る自衛隊員がこれでいいのか!?
「自分の手札を晒したくないという気持ちはわからないでもないけど、戦っている相手は
「まあ、そうなんだけど。アメリカは特にそういうことにうるさいのよ。向こうの
ランク制。実績によって
なら、あえては言わないでおこう。正直、後は実戦のみなのだけど、みなさんの希望によりこの後も手本を見せることになった。
「アキくんは、今どのくらいの
「そうですね。一対一なら以前の地下で戦った悪鬼くらいまでなら倒せると思います」
「本当に!? 男子三日会わざれば刮目してみよって本当なのね……沙羅も強くなってるの?」
「沙羅は元々強いですよ。あとは気持ちの問題ではないでしょうか」
「そうね……あの子は優しいから戦いには向かないのよね」
この人は何を言っているのでしょうか?
沙羅が戦いに向かない? 逆でしょう!?
戦神の生まれ変わりのような沙羅が、戦いには向かないなんて……。沙羅が戦いに向かないなら、この世の全ての人が向かないことになるぞ!
「にゃ~」
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