56.個人指名依頼
俺たちの人工ダンジョンで手に入るアイテムは、地下一階層ではポーションの素となる仙人草と呼ばれる薬草。
ゲートから少し離れた場所の林や森などに生えていて比較的見つけやすく、ギルドでは常時買取していた。なのでダンジョンでドロップした仙人草は売ることにした。
地下二階層では石骨と石化液。どちらもギルドのデータに載っていない。騒ぎになりそうで怖い……なので、売らない。
今まで集めた分は、入口のそばに作った保管部屋に置いてある。石骨も石化液も当分保管。いつか売れる日がくるのだろうか……。
日曜日は一人で人工ダンジョンに潜る。昨日の帰りにホームセンターで買った道具でお馬さんにリヤカーを装着。ばっちりだ。
出てきた
盾は盾を奪って盾でぶん殴ればいいのだろうか? 取りあえずやってみよう。はにわくんがスケルトンの気を引き、その間に回り込み、剣スコで盾を持た腕を叩きつけ盾を落とさせる。あとは拾って盾でぶん殴る。頭蓋骨が飛んでいき、本体が消え盾が残った。
木製バックラー 品質 低 耐久20/20 防御+5 打撃特性+4
うん。使えない。これはゴミだな。見たまんま三十センチほどの木製の蓋だ。よしんば性能のいい盾だとしても、剣スコも刀も両手持ちなので俺には使い道がない。売れないよなぁ……。
そうだ! はにわくんに持たせよう。魔改造バットは片手で持っているから、片手が空いている。守ってよし、殴ってよし使い捨てにしても惜しくはない。
「はにゃ~!」
喜んでくれてなによりだ。
次は剣を狙ってみよう。マッピングしながら歩いていれば、カモがやってきた。今回も一体だ。
「はにゃ~!」
はにわくんが気合の入った? 声を上げればスケルトンが剣を振り上げはにわくんに迫る。狙いどおりだ。はにわくんはよくわかっている。ちゃんと相手の気を引いてくれる。できる子だ。
それにくらべ小太郎くん、敵が弱くて出番がないとはいえお馬さんの上でずっとお昼寝ってのはどうなのよ?
欠伸をしている小太郎をよそに、スケルトンが振り上げた腕の手首辺りを剣スコで叩けば、手首ごと剣を落とした。
剣がないことに気づいていないのか、そのまま斬りつけモーションを行う。その時にやっと手首から先がないことに気づく。目のないスケルトンがキョロキョロと手首と剣を探す姿は滑稽だ。
すでに剣は俺が持ち、手首は遠くに帰り飛ばしている。奪った剣で首を斬り落とせば剣が残った。
●錆びたショートソード 品質 低 斬撃特性+1 突き特性+2 打撃特性+2 耐久10/10
つ、使えない……武器なのに盾より弱いなんて、またゴミが増えてしまった。
武器集めは諦めて、下に降りる道を探そう。
しかし、結局下に降りる道は見つからなかった。武器持ちのスケルトンもドロップするアイテムは同じ、石骨と石化液。この階は旨味がないな。
宮内庁特別異威対策室室長の貴子様直々のご指名らしい。断れないな……。
日本、アメリカ、フランス、台湾の
この四か国は現在日本と
報酬は?
貴子様直々のご指名なので、報酬はこちらの要望を考慮してくれるらしい。これはチャンスだ!
刀のちゃんとした指導が受けたい。剣道や居合のような形ではなく、実際に刀で
あと。中国拳法も習いたい。特に気功法。
来週末から土日を利用して大宮駐屯地で行われるそうなので、金曜の夕方に移動だそうだ。今回は一人で行く。子どもじゃないから問題ない。経費は全て
それでも、気分は小旅行。
あっ、忘れずに沙羅に言っておかないとな。
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