55.お馬さん
最近、月読様からの熱いラブコールに困っている。どこで調べているのか、新作スナック菓子の要望がある。ネットでも繋がっているのだろうか?
スナック菓子を愛してやまない月読様だが、アイス愛も引けを取らない。だが、アイスに関しては質より量のようで、カップアイスより業務用アイスを要望される。毎日……ね。みんなで食べているのだろうか? まさか一人で食べているわけでは……ないよね?
毎日、買いに行くわけにもいかないので、一週間分を一度に買うが、店員さんから奇異の目で見られる。見られるの構わないのだが、業務用アイスはデカイ! それを七つも持って帰る苦労を察してほしい……。
土曜日、沙羅を伴って人工ダンジョンへ出発。はにわくんを先頭に探索開始。リヤカーは俺が引いている。
「すごいね!。ゲームみたい」
何度か
沙羅たちも
前回見つけた下層に続く道はそれほど場所が変わらず、すぐに見つけることができた。
「どうする? 下りてみる?」
「もちろん!」
下層に下りれば
地下二階に下りてすぐ、骸骨に遭遇。鑑定するとスケルトンと出ている。明らかにこの国の地域
「スケルトンだね。益々、ゲームっぽくなってきたね」
と言いながら、スケルトンを攻撃。まったく容赦がない薙刀の一振りで粉々になり消える。餓鬼や邪鬼より弱いようだな。
代わりに遭遇回数が多い。わかったことは、胴体と頭が離れると撃破判定になる。ほかの場所を攻撃して破壊しても、徐々に元に戻るようだ。なので、はにわくんの魔改造バットが火を噴く。ホームラン! 無双状態だ。
地域
沙羅は、
「どこまであるか私たちで探検だぁ!」
と仰ってガンガン進んで行く……。
スケルトンのドロップアイテムは二つ。
石骨 固い。
石化液 徐々に石化 効果時間(微)
石骨は何に使うか皆目見当がつかない。
手に入れた石化液をスケルトンに使ってみる。投げつけると小瓶が割れ中の緑色の液体がスケルトンにかかる。白い骨に緑…カビみたいだ。
あえて倒さず様子をみると、徐々に動きが遅くなっていく。効果時間は十分くらい。全ての怪異に効くのか強い怪異にも効くのか要検証だ。強敵にも効果があるなら、凄いアイテムになる。
石骨はリヤカーに積む。石だけに重い。石化液はリュックに入れていく。
それから、なぜかスケルトンに水月(幻影)が面白いように効く。目がないのにな。ならばと、夢月(睡眠)と宵闇(視界を奪う)使うが全く効かない。残念。
俺も
地面がもこもこと動き始め何かを形作る。馬だな。
「お馬さんだ。可愛い」
埴輪の馬が主人の俺を差し置いて、沙羅にスリスリと媚びを売っている。はにわくん、ちゃんと教育お願いしますよ!
「はにゃ……」
なかなかのがたいのよさなので、戦闘でも役に立ちそうだけど、せっかくなのでリヤカーを引かせ、はにわくんを完全に戦闘要員に格上げしよう。
「はにゃ!」
「ヒヒィーン」
はにわくん用に作ったベルトとロープを組み合わせ、なんとかお馬さんに装着。また、ホームセンターに行ってお馬さん用のものを考えよう。小太郎はお馬さんの背中が気に入ったようで、背中でお昼寝。沙羅の水龍はお馬さんの頭の上に陣取っている。
探索を終えて
実は、俺たちも地下二階にいますよ?
アイテムもそこそこ出ているらしいが、聞く限り俺たちより出現率は低いようだ。サラと顔を見合わせる。
どうする?
沙羅は、目を泳がせながら、俺の耳元でもう少し黙っていようと提案。もちろん、了承。
公表したらしたで楽しくなるかもしれないが、説明が面倒だし何よりこのダンジョンを独占できなくなる。この先、下層に降りればもっと価値の高いアイテムがドロップするかもしれない。それを独占すれば、ウハウハだ!
それができないのは大いなる損失だ。もったいない。
お金は大事だ。
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