52.特訓
俺は戦いの中心から離れ、刀を持った
体術も覚えたので蹴りや投げも使い、
しかし、刀を振るっていると感じる。刀は集団戦には向かない!
こう周りに
目の前の一体だけに集中するなんてナンセンス。刀の耐久度を減らしたくなければ、全て避けるほかない。んなことできるかー!?
こん棒などはまだモーションがでかいので避けやすいが、槍が厄介だ。間合いが長いしモーションも小さい。穂先がすぅーと伸びてきて目前に迫るのにはビビる。
一対一ならどうとでもなるが、これだけ周りに怪異がいるとどこから攻撃されるかわかったもんじゃない。そのせいで心が乱れ、さっきの特訓の時のようになかなか自然体で刀が振れないでいる。正直、イライラだ。
いかんいかん、心を落ち着かせ広い視野で見るんだ。目の前の
見えてないものに気を配るなってどうやるんだよ! こんちくしょう! それができたら達人だよ!
いかんいかん、冷静になるんだ、俺。できないことを悩んでも仕方がない。まずは視野を広く持つことを意識しよう。見えない場所の対応は信頼できる仲間、小太郎とはにわくんがいるじゃないか。
「にゃ~」
「はにゃ~」
まあ、餓鬼や邪鬼は武器を持っていてもたいしたことがない。問題は天邪鬼だ。こいつは悔しいほど冷静に無駄な動きをせず、コンパクトに攻撃してくる。無駄に大振りをしない。してくるときはフェイントだったり、誘いだったりといやらしい。
切れ味の落ちた刀を天邪鬼に投げつけ、偃月で手を狙い武器を落とさせる。蹴りを入れて間合いを取り刀を拾う。目の前の天邪鬼が爪を伸ばし攻撃の構えを見せる。俺の間合いまで一歩踏み込み横薙ぎに一閃。手ごたえがないが邪鬼の両腕と首が跳ね飛ぶ。今までのなかで一番の会心の攻撃だ。
足元に今まで見たことがない、黒光りする鞘に収まる刀がある。近寄る
「いい動きだったぞ。実践にまさる訓練はないな。さあ、次行くぞ」
「わぉーん!」
「「「……」」」
脳筋だ、脳筋がいる……。
東西南北が終わったのは昼過ぎだった……。疲れて、立っているのもつらい。それでも、武器集めの武器を拾いにいかなければ……はにわくんと手分けして集める。
工業刀 品質 良 斬撃特性+20 突き特性+20 耐久100/100
なるほど、数打ち刀より断然いい物だ。耐久値も高い。無骨な感じがするが頑丈そうだ。
工業刀は五本 それ以外の武器で質のいい物は二十本だけゲートに持ち帰る。一旦、昼食をとりに戻るからだ。午後はどうするんだろう? まだ、続けるのだろうか? 戦々恐々としながらも食事をとり、一時間ほど小太朗と昼寝、爆睡……。
花音さんに起こされゲートをくぐる。午後は間引きではなく俺の特訓にするそうだ。あれは、特訓ではなかったと……?
ゲートからだいぶ離れた場所まで来た。途中の怪異は花音さんが倒した。今は餓狼たちが俺の特訓相手を探しに行っている。そんな中、餓狼の一頭が戻って来たので、その餓狼に付いて行くと、いた悪鬼だ。
もしかして、あれを相手にしろと?
花音さん、無言で顎で行けとのゼスチャー。
山姥でさえ一人では苦労するのに、沙羅と二人でやっとこ倒せる悪鬼を相手にするの? まじですか? まじなんですね? はぁ……行くか。
「小太郎は残れ。あと、埴輪禁止な」
まじぃー。鬼畜だ。鬼畜すぎるぞぉー!
「いいから、さっさと行け」
はい……。
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