51.奉仕活動
はにわ無双。レベルアップを繰り返したことにより、はにわくんはだいぶ頑丈になった。まあ、壊れても再召喚すればいいだけ。それにしても、最近沙羅と一緒に戦わせていたせいか、戦い方が沙羅に似てないか?
「にゃ~」
小太郎もそう思うようだ。
刀を振って
「十六夜はもう二体目のマギがいるのか?」
とのんびりした声で花音さんが話しかけてくる。こちは必死にやっているというのに……。
「マギではなく、加護による護法での眷属召喚ですよ!」
「眷属ねぇ…」
更に爆竹の音が鳴り、わらわらと
「こ、これを一人で倒せと!?」
「小太郎も埴輪もいるじゃないか」
鬼だ。鬼がいる。人の皮をかぶった鬼がいる……。
しかし、これは好機。花音さんがいるので、何も気にせず戦うことに専念できる。効率的だがこれは一人だと怖くてできない方法だ。ちゃんと危険になったら助けてくれるんですよね? 助けてくれるんですよね!
わらわらと寄ってくる
その後も休む暇も与えてもらえず、爆竹が鳴り斬り続ける。小太郎もはにわくんも頑張っている。気付けば体の力みがなくなり、意識しなくても自然と刀が振れている。刀が手に馴染んだって感じだ。
気付けばもう周りに怪異がいない。つ、疲れたぁ。DCで確認すると、時間にして一時間弱。そんなものか……もっと長い時間に感じていた。
「にゃ……」
「はにゃ……」
小太郎も疲れてぐったり。はにわくんの腕にもひびが入っている。再召喚だな。
「よーし。休憩したらもう一回いくぞ!」
鬼だ。鬼がいる。山姥だ……。
「なんか言ったか?」
「……いえ」
「にゃ……」
夢月 相手一体を眠らせる。
なかなかいい能力じゃないか? 動きを封じれるし、数が多いときに戦力を削れる。あとは夢月の効果時間だな。すぐに目が覚めるなら使えない。まあ、これもレベル依存だろう。最初は期待できないだろうけど、けん制くらいには使えるんじゃないかな。
休憩後、場所をゲートから見て西側に移動して、また爆竹を鳴らされる。はにわくんを再召喚。刀が一本しかないのは心許ない。そういえば後半、刀が自然に振れるようになっていた。自分を残月で鑑定すると剣術というスキルが発現している。これのおかげか。
レンさんはスキルに頼りすぎるなと言っていた。なのでスキルのことはあまり気にしないで、戦うようにしよう。まだ覚えたばかりでスキルに振り回されるほどではない。スキルを意識するのは、もっと修練を重ね強くなってからのことだ。
こうして、休憩を挟み東西南北で特訓が行われた……。
夢月は使える
刀も一度も駄目にすることなくずっと使えた。スキルの力は偉大だった。この感覚をスキルに頼らなくてもいいように体に染み込ませなければならない。今回の特訓は実りある訓練になりそうだ。きついけど……。
「にゃ……」
東西南北での間引きを終えたころ、ゲートの保守整備が始まった。俺たち以外の探究者さん四人は、ゲート近辺での作業員さんたちの警護をしてくれる。
俺と花音さんは休憩の後、今の場所から更に遠くに移動し、また北側から同じことをするらしい。マジか……。
「ここからは私がメインで倒すから、十六夜は怪我しない程度に攻撃に参加しろ」
と言うと、マギを召喚した。狼が五頭いる。一頭は大きい白い狼だ。四頭も大きな狼だが、この白狼は馬並みにでかい。
「真神の一郎と餓狼の次郎、三郎、四郎、五郎だ」
人のことは言えないが、花音さんはネーミングセンスに乏しいようだ……。
また、爆竹を鳴らすとわらわらと怪異が寄ってくる。
今度の怪異は武器持ちだ。さすがにこれほどの数の
心を鍛えなければならないというのは、こういう時にこそ心を平静に保てるようにならないといけないということだろう。これだけの数を相手に一人だったら怪我では済まないと思う。強くならないとな。
はにわくんを召喚して俺の背後を守らせる。考え方を変えよう。これだけ、武器持ちがいるんだ、武器の奪い放題じゃないか。そう思うと、少し心が軽くなる。
今回は花音さんがメインだ。俺は冷静に対処して武器集めに専念する。狙いは刀を持った
花音さんと真神たちは無双状態に入った。花音さんは縄鏢を縦横無尽に振り回し
気にしない気にしちゃ駄目だ。冷静に、冷静に、ヒッヒッフー。
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