39.質問してみる
やはり、強い。強いが、あの時の悪鬼ほどの強さではない。あの時のふざけた破壊力がこいつにはない。素早さは同じくらいだが、力は劣っている。それでも、ちゃんと受けきらないと怪我する威力だ。
強いうえにタフでもある。沙羅がそろそろバテてきたのか、動きが悪くなってきている。そろそろ、下がれと言おうとした矢先に、水龍お防御の膜を破って沙羅の腕を悪鬼の爪が切りつける。
水龍の膜のおかげで軽減されたとはいえ、二十センチほど服が切り裂かれ、血が滴り落ちる。
よくも、沙羅を傷ものにしてくれたな! 変な意味じゃないぞ! 小太郎が沙羅の前に移動し毛を逆立て、しゃー! と威嚇する。不謹慎だが可愛い。よし、小太郎、やれ!
「にゃ~!」
小太郎の焔攻撃の間に沙羅を下がらせる。取りえず、風月を一発。血が止まったようだ。完治させるのは戦闘の後だ。その前に、奴に落とし前をつけさせよう。
柳葉刀を構え悪鬼と対峙する。傷だらけのうえ小太郎の焔で所々焦げ付いているが、だが、まだ目は死んでいない。まだまだ
水月で悪鬼の横に幻を出す。幻に一瞬気を取られた悪鬼の顔に偃月を連続でぶつけ、完全に俺から意識が離れた悪鬼に柳葉刀を振り下ろす。右足で踏み込み右上から左下に包丁を使うように引いて切るを心がけ斬る。勢いを殺さず、刃を返して今度は左上から右下に斬る。
一撃は浅く斬った感じ。二撃目は粘土を斬った感じ。悪鬼の右腕が無くなっている。ここで攻撃の手は緩めない。偃月で顔を狙い、柳葉刀を首めがけてフルスイング。刃が首の骨に当たる感触があるが柳葉刀が壊れてもいいという気持ちで振り抜いた、パキーン! と音がして柳葉刀が折れるが、首なかばまで刃が刺さった悪鬼が倒れ込む。
すぐに沙羅の元に行き、風月を連発。傷が残ると駄目だからな。
「ありがとう、アキくん。もう大丈夫だよ」
袖をめくると傷のない綺麗な腕がある。よかった。そんな沙羅の腕を小太郎がペロペロ舐める。
「コタちゃん、くすぐったい!」
羨ましくなんかないんだからな!
「十六夜は回復持ちか、便利だな。あの丸っこいのを飛ばすのといい、幻術まで使えるとはいい加護だ」
「にゃ~」
小太郎じゃなくて、月読様のだけどね。
「ここはお前たちにはまだ早かったようだ」
鬼婆はなんとかなるが、悪鬼は二人でもきつい。錬さんの言うとおり、もう少し手前のエリアで力を付けたほうがいいだろう。
錬さんにここの悪鬼と、大宮駐屯地の地下で遭遇した悪鬼とでは強さが違ったことを話す。
「俺たちの
進化か……あれで、まったく手が出なかったのに、進化したらどうなるんだ? 俺たちでは瞬殺されるんじゃないだろうか。
沙羅が復活したので訓練再会。悪鬼が出たら羅刹が相手するということになった。沙羅がメインで俺がサポートは変わらない。
沙羅の戦いを見ながら、錬さんに質問。スキルってどうやって確認するのか? 加護によるアビリティーは何が使えてどんな効果があるのかわかるがスキルはどうなんだ?
「鑑定持ちの奴に見てもらうほかないな。だがな、今の日本に鑑定持ちは数人。それも年寄りが多いときたもんだ。そのうえ、鑑定スキルは
現在鑑定スキル持ちは日本に七人しかいない。仏や神に仕える人が加護を受け使えるようになったり、修行中にスキルが発現することが多いらしい。
数は少ないが、アビリティやスキルを調べることできる道具があるそうだが、国が管理してるのでそれこそコネがないと無理。
「じゃあ、どうなんだ? ってことだろう?」
はい、そのとおりです。そこが聞きたいんです。
「勘と感覚だな。スキルを覚えた時の違和感を感じ取るか、体の動きがよくなったり、キレのある動きができるようになったことで感覚的に覚えたのがわかるんだ」
スキルを覚えると急に動きがよくなるらしい。元の世界の戻った時に、元に戻るので尚更感じるそうだ。
勘ですか……。
もう一つ気になっていたことを質問した。
「レンさんはどのくらい稼いでいるんです? よく、
「俺は夜派でな、日中はあまり
レギオンとは、国から認められた優秀な探究者がなれる。ギルドの垣根を超えた活動ができ、国の要請で強制徴集がかけられることがある。代わりに給料が毎月支払われ、額は等級制で決まる。レギオンになることを断ることも可能。現在、光明真会には二名いる。
そんな話をしていると、そろそろ帰りの時間だ。
あれ? 俺、あんまり戦っていないよいうな……。
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