37.能力について
錬さん、俺の武器強奪が見たいそうだ。
はにわくんがリヤカーを引っ張ているので、沙羅に武器持ち以外の
「任せて!」
現れた
沙羅はちゃんと武器持ち以外を誘導して、柳葉刀を持った邪鬼と俺が一対一になるように動いてくれた。
じゃあ、やりますか。
今、俺は武器を持たずに素手。偃月を出して一つを邪鬼の顔横を掠めるように飛ばす。邪鬼は大袈裟に避けてみせるが、その分こちらに対する注意が散漫になっている。残りの偃月二つで邪鬼の手を攻撃。すぐさま落とした武器を拾い上げ首目掛けて振り下ろす。邪鬼の首が落ちた。
柳葉刀は使いやすい。刀身が大きいので縦方向の衝撃に強く折れにくい。それに湾曲しているので長く刃を当てられていられる。残った柳葉刀もそうだがそれほど鋭い刃はない。それでもぶった斬るには適している。質が上がれば包丁のように斬れるものが出るのかもしれない。
沙羅のほうも余裕をもって
手元に残った柳葉刀を錬さんに渡す。
「本当に残るんだな……」
「すごーい! アイテムドロップだ!」
そういえば、沙羅にはこのことを言ってなかった。欲しい武器があったら取るけど?
「刀が欲しいなぁ」
鎧に陣羽織、小太刀は腰に差しているが、何か物足りない。やはり長物がないと締まらない。沙羅自身は刀を使う気はないらしい。家族に反対されたそうだ。素人が使うものじゃないと……耳が痛い。
今度は錬さんが挑戦すると言っている。さっきと同じように沙羅が武器持ち以外を受け持ち、錬さんが武器持ちと対峙する。
一度目、武器が遠くに飛んで行った。二度目、せっかく落とした武器を拾わず斬り捨てた。三度目、武器ごと叩き斬った……。
「やめた! こんな面倒くせぇことしてられっか!」
意外と気が短い人らしい。
沙羅も試すが武器を落とさせることはなんとかできるけど、持っている武器を捨てて落ちている武器を拾うということが何気に難しく、なにより自分の愛用の武器を捨てることが躊躇するらしい。
なるほど、俺の愛用の武器はどこでも売っている剣スコ。土木の道具だから、その辺に投げても心が痛まない。武器を狙うときは偃月も使うので、手を狙うのも簡単だし武器が遠くに飛んで行くということもほとんどない。意外と俺ってチートか?
武器集めをやめて、一休みして昼食をとる。錬さんが気配を殺さずにいるので、
昼食を食べた後は更に先に進む。途中から葛城さんのマギの飛燕の小型版が攻撃を仕掛けてくる。沙羅のマギの水龍と小太郎が迎撃。途中で俺の偃月が有効と気づいた。そこからはサクサク進み、途中で体が光った。レベルアップだ。
せっかくなので、レベルアップについて聞いてみる。
「レベルアップとは? だとぉ~。十六夜はゲームと勘違いしてねぇか? そんな都合のいいことがあるわきゃねぇだろう!」
ちなみに、スキルやアビリティも
ちなみに、スキルやアビリティはあちらの世界でマギを呼べないので使えないと言われているらしい。
ん? じゃあ、小太郎は?
「……」
「コタちゃんってレアなんだねぇ」
「にゃ~」
戻ったら検証してみよう。
「ギルマスにはちゃんと報告しろよ」
昼食後、見知らぬ
「鬼婆だ。このくらいが今のお前たちと同格だな。やってみろ」
鬼婆、まんまかい!
一体だけなので沙羅が一人で行くようだ。見た目は腕も細く華奢な老婆で、憎悪に塗れた表情は醜く武器は持っていない。
沙羅が薙刀を振るって斬りつけるが、まさかの白刃取り。沙羅が驚きの表情。どうやら薙刀がびくともしないようだ。
錬さん、同格って言ってませんでしたっけ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます