19.装備の考察
「小学生か……」
錬さん、これでも大学生です。それに、今のはウイットに富んだジョークですよ。ジョーク……でもないか?
「新人研修会は再来週の土日だから、前の週に装備はギルドに預けてね。大宮駐屯地はそれほど遠くないから、土曜の朝出発で新幹線で移動だから、詳しくは決まったら教えるわ」
「し、新幹線!?」
「えっ!? もしかして、新幹線苦手?」
「いえ、新幹線に乗ったことがないので嬉しいです!」
「そ、そう。喜んでもらえて何よりだわ」
「どこの田舎もんだよ……」
だから、錬さん聞こえてますよ。しょうがないじゃないですか、遠くに出掛ける機会がなかったんですから。
あれからずっと天水さんとの関係が続いている。昼に天水さんと会っているのだ。俺が? いや、小太郎が……。
最近は天水さんが小太郎用のお弁当を持ってくるようになり、ついでに俺のお弁当も小太郎のおこぼれでゲット。お昼代が浮くしとても美味しいので嬉しいのだが……最近、周りの嫉妬の目が怖い。それも、男女問わずだ。
天水さんは黒髪ロングの和風切れ長の目美人。頭も良く、お金持ちのお嬢様。男にも女にも人気がある。一緒にいられて嬉しい反面、最近友人が天水さんに遠慮して近寄って来なくなりぼっち気味なのがつらい……。
そういえば、通帳に
さて、浮かれている場合ではない。今後のお金について見通しがたった今、この状況を継続し続けるためには怪我などをするわけにはいかない。怪我をすれば治療代がかかるし、
そうならないためにも、装備を一新する必要がある。多少の出費は経費と考えよう。今回は防具を考える。武器に関しては剣スコで保留。
俺も日本男児の端くれ、日本刀が欲しいと思ってもおかしくない。だが、
まず、値段がほかの武器より高額。そして、扱うにはそれなりの技量が必要。そのうえ、メンテナンスに目が飛び出るほどお金が掛かる。そして最後の一言が決めてとなった。それは日本刀は使い捨て……。
よほどの刀の達人でもない限り長く使い続けることは無理らしい。そんな達人は日本に一人いるかいないかというぐらいのことだそうだ。
現実はそう甘くない。
そこで、じゃあお薦めはと聞くとハンマーやメイスを薦められる。でも、結局値段が高く手が出ない。それに、ハンマーやメイスなら剣スコとそう変わりないのでは? とも思ってしまった。なので、武器は保留にした。
武具に関しては、餅は餅屋に聞けという言葉どおり、専門家に相談することにした。そして、その専門家がいるサークルのドアの前にいる。サバゲー部だ。
サバゲー部の友人がよく俺に現代軍隊装備のうんちくを語る。本人のサバゲー用の装備も一度見たことがあるが、なかなかに本格的な物に見えた。なので、相談してみることに。
「いや……まあ、ゲームだし、見た目だけの紙装甲だぜ」
ガーン! と打ちひしがれる俺。小太郎がそんな俺の頭をポムポムと叩き、慰めてるのか?
「まあ、普通使っているアーマー類はおもちゃだが、本物に近い物がないわけでもない」
もったいぶらずに教えろ!
友人が持って来たのは防刃シャツに防刃ズボンそれに防刃手袋、そして極め付けは防刃バラクラバ。バラクラバは目だし帽な。特殊部隊の隊員が被っている目だけ出ているやつだ。
防刃といっても切れないわけではなく、現にテーブルの上でカッターで切ると切れていた。要は切れ難いものらしい。それでも、普通の布に比べたら雲泥の差。サバゲー部で業者から直接仕入れるのでその手の店で買うより安く手に入るそうなので、俺のサイズに合った物を二セット買った。
おさがりだがアーマー類をただで譲ってもらえた。中のウレタンを金属板に変えれば使えそうだ。最後に防刃装備を買ったおまけに、米軍払い下げのヘルメットももらえた。顎紐部分が壊れているだけで、ほかに目立った傷はないのでいいもらいものだ。
さて、改造となるとあいつらに頼むのがベストだろう。ということで工学部の友人の元に来て相談している。
「戦争にでも行く気か……いや、みなまで言うな。任せとけ。立派に魔改造してやる。金曜に取りに来い」
と言うので任せてきた。
任せて大丈夫だよな? 魔改造するって言っていたが不安で仕方がない。
リヤカーほど手を加える場所もないから大丈夫か?
「にゃ~?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます