08.戦闘
周りはストーンサークルのような遺跡。そこにいくつものワイヤーで支えられた100mを超えるような電波塔が立つ。この先には中継基地もあり、電力はソーラー発電とバッテリーで運用している。
正直、似合わない。でも、これが俺たち
その命綱であるCDの本来の使い方である資源の確認方法を教わる。
「難しくないわよ? 適当に何か拾ってCデバイスを向けて、ここを押すだけ」
葛城さんが足元に落ちている何の変哲もない石を拾い上げ、CDにかざしてボタンを押す。worthlessnessと画面に表示された。価値なしか……。
過去に発見され価値のある資源の場合、something of valueと表示され現在の査定額が表示される。当然、持って帰れる量には限界がある。なので、価値の高い物を多く持って帰りたいと思うのは当然なので、ありがたい機能だ。
そして、未知の価値あるものをかざした場合は、to be confirmedと表示されるのだそうだ。略してTBC、大学でレポート提出して返された時、たまに線を引かれて書かれている文字だ。そう、要確認だ。レポートではあまりうれしくない文字だが、このCDで見れたら超ラッキーなのだそうだ。
そりゃそうだ。大昔から異界に探究者が入っているのだ、この辺のゲート近くなんて、隅々まで調べられているだろう。よほど遠くまで行き更には運にも恵まれないと無理。
「Cデバイスについては以上ね。あとはやらないけど、パスワードを打ち込んで赤いボタンを長押しすれば、緊急要請の送信が送られるから、誰かが駆けつけるわ。もちろん使うときは命にかかわる時ね」
基本はギルドから助けにくるそうだが、近くにCDを持った探究者がいればその人にも送信される。発信元の場所もゲートから見ての方角だけはわかるそうなので運が良ければ助かる。だが、命にかかわる時にCDを操作する余裕なんてあるのだろうか?
「さあ、ここからが探究者の本番よ!」
いい感じにくたびれたフェードラ帽をかぶり直して、腰に着けていた鞭を振るう。パチンどころかガコン! と音を立てて土などが飛び散り地面が陥没。先端に何か硬い物が仕込まれているようだ。
葛城さんは某冒険家教授に憧れていると言っていたが、凶悪過ぎる武器だ。
「じゃあ、
どこからともなく、葛城さんの周りを飛ぶ燕が現れ、どこかへ飛んで行く。
「あの子は飛燕。私の
飛燕は本当の燕より2~3倍大きい。今はモンスターを探しにいってるらしい。その飛燕は数分もせずに戻って来た。ここから少し行った先に、餓鬼と邪鬼というモンスターがいるらしい。葛城さんと飛燕は意思の疎通ができるそうだ。
俺と小太郎もできるのだろうか? 小太郎、起きろ! と念じてみても、小太郎は起きる気配がない……。
俺と葛城さんは飛燕に導かれ進んでいく。少し先に二足歩行の動く物体が二つ見えてくる。向こうもこちらに気づいたようで寄ってくる。
餓鬼と邪鬼と言っていたモンスターは身長120cmくらい、手足が細長く妙にお腹だけが膨らんだ異様な姿。顔は髪がなくのっぺりとした顔。表情は伺いしれないが餓鬼は目の下に大きな隈があり、邪鬼は目が吊り上がっている。年齢などは判別がつかない。まさしく
「餓鬼と邪鬼は最弱の
葛城さんが鞭を構え、射程に餓鬼が入ると情け容赦なく鞭を振るう。顔面に鞭の先端がヒット。頭が爆散した……。隣にいた邪鬼は飛燕が横を通りすぎると、首がコロンと地面に落ちた。
何がなんだかわからない間に終わっていた……。
ここで冒険家教授になりきった葛城さんの講義が始る。
例え俺が鞭を振るって同じことをできたとしても、同じようにはならない。この
一つが武器自体に理力を載せて攻撃するととんでもない威力を発揮する。それだけではなく、物理攻撃の効きにくかったり効かない
ただ、使えるようになるには相当な努力が必要。向き不向きもあるらしい。レベルアップしても理力の上がらない人も中にいるかららしい。ほかにも戦う方法はあるので、最初は気にせずレベルアップに励みなさいとのこと。
もう一つはマギを得ることにより
ちなみに
パッシブ型の『鞭』は理力が不要でアクティブ型の『爆』は理力を使うそうだ。レベルのようなものはなく、使っていくことにより熟練度が上がって威力、範囲、キレなどが上がるらしい。
加護は使わなくても己のレベルによって能力が決まる。
「じゃあ、次はアキくんがやってみる?」
「マジですか?」
「マジマジ。大丈夫よ。素手で殴ったって倒せる相手よ? それに相手は一体にするから。そんな心配そうな顔しない。ちゃんと危なくなったら助けるから!」
しょうがないやってみるか。戦う前に葛城さんとどう戦うかの話し合い。正直、素手で殴って戦う気はない。月彩の英気のことを話して、眷属召喚して戦わせその隙に偃月で攻撃することを伝える。
「へぇー、アキくんは加護持ちなんだ。コタちゃんって可愛いだけじゃなくて優秀?」
キラリンと葛城さんの目が光る。小太郎はあげませんよ!
話をしている間に飛燕が
じゃあ、やりますか。
「待宵」
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