2
かつんかつんと、ジェミナの靴の音がする。カインは、ジェミナを追いかけた。
「まったく、カルミナが急に孤児院から女の子を引き取ったのは、お人形さんにして、言う事を聞かせるためだったんだな」
ジェミナは、そう言って、外へ出ようとしている。
「むしゃくしゃするから飲んでくる。早めに帰ろうと思うので、鍵は閉めないでくれよ」
「はい」
メイドと執事が頭を下げる。
(ジェミナは、何も知らないようだな)
カインは、そう思い、カルミナを探した。
カルミナの部屋の前を通り過ぎようとした。すると。
「よくやったわ、フェドム」
カルミナが酒に酔って大声でしゃべっている。
「まさか、こんなにうまくいくなんてね」
「カルミナ様、落ち着いて下さい」
「あの封筒の中身を変えたのに、ジェミナは気づいているのだろうけど、ジェシカは、気づかないわよね」
「カルミナ様……」
「だって、十三なんて悪い数字の当主なんてなりたくなかったの」
(それだけのことなのか?)
少しでも気に食わないと平気で大きなことをする者がよくいる、カルミナがその最たるものなのだろう。
「ジェミナに、一瞬でも当主をやらせるのは、嫌だし、丁度良かったわよね、あはははは」
高笑いした後、カルミナは、声を低くして。
「あの子には、死んでもらうわ」
カルミナは、ドンと足をつき。
「私が、すぐに十四代目当主になってあげるわよ」
(暗殺か……)
暗殺はよくあることだったので、何も珍しくはないと思っていた。
(ジェシカ様が危ない)
ジェシカのもとへ、カインは走った。
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