かつんかつんと、ジェミナの靴の音がする。カインは、ジェミナを追いかけた。

「まったく、カルミナが急に孤児院から女の子を引き取ったのは、お人形さんにして、言う事を聞かせるためだったんだな」

 ジェミナは、そう言って、外へ出ようとしている。

「むしゃくしゃするから飲んでくる。早めに帰ろうと思うので、鍵は閉めないでくれよ」

「はい」

 メイドと執事が頭を下げる。

(ジェミナは、何も知らないようだな)

 カインは、そう思い、カルミナを探した。

 カルミナの部屋の前を通り過ぎようとした。すると。

「よくやったわ、フェドム」

 カルミナが酒に酔って大声でしゃべっている。

「まさか、こんなにうまくいくなんてね」

「カルミナ様、落ち着いて下さい」

「あの封筒の中身を変えたのに、ジェミナは気づいているのだろうけど、ジェシカは、気づかないわよね」

「カルミナ様……」

「だって、十三なんて悪い数字の当主なんてなりたくなかったの」

(それだけのことなのか?)

 少しでも気に食わないと平気で大きなことをする者がよくいる、カルミナがその最たるものなのだろう。

「ジェミナに、一瞬でも当主をやらせるのは、嫌だし、丁度良かったわよね、あはははは」

 高笑いした後、カルミナは、声を低くして。

「あの子には、死んでもらうわ」

 カルミナは、ドンと足をつき。

「私が、すぐに十四代目当主になってあげるわよ」

(暗殺か……)

 暗殺はよくあることだったので、何も珍しくはないと思っていた。

(ジェシカ様が危ない)

 ジェシカのもとへ、カインは走った。

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